トランスフォーマーのどーでもいい話A
トランスフォーマーは生命体?



トランスフォーマーは「超ロボット生命体」です。生命だそうです。


ご存知の通り、生命の条件は「自己増殖ができる」ことです。この定義に従えば、単独でどんどん分裂するバクテリアやカビなどは生命ですが、宿主がなければ増殖できない(自分の遺伝子を複製できない)ウイルスは生命ではありません。

トランスフォーマー達が自らを生命体と言うからには、彼らは自力で子孫を作ることができなければいけません。ところがどうでしょう! 彼らがその能力を持っているかどうかは怪しいものです。

アニメ(初代)の中で新しく誕生したトランスフォーマーはたくさんいますが、その誕生の経緯は3種類に分けられます。
 1.トランスフォーマーによって作られた(ダイノボット)
 2.トランスフォーマーによって作られたボディにベクターシグマが生命を与えた(スタントロン、エアーボット)
 3.まったく不明(プロテクトボット)

ここでは2を題材にしたいと思います。他は別の機会に。

#41、42話の内容に従って考えます。

新しくトランスフォーマーを生み出そうとした時に問題となるのは「パーソナリティ・プログラム」、その個人の人格を作るコンピュータプログラムのようです。ボディを作ることは簡単で、はっきり言って問題ではありません。初代#52で、パーソナルコンポーネントを得たスタースクリームはガラクタからコンバットロンを誕生させることすらしたのです。パーソナリティ・プログラムさえあればなんとでもなるということらしいです。

さてここで問題となるのは#41にあるメガトロンの台詞:「ベクターシグマはロボットに生命を与えることができる唯一のスーパーコンピュータである」。この台詞を信じるとするなら、ベクターシグマ以外にパーソナリティ・プログラムを作り出せる者はいません。つまり生命の要であるパーソナリティ・プログラムを作成できないトランスフォーマーは、ベクターシグマなしでは新たなトランスフォーマーを生み出すことができません。

(・・・大変だ!かつては無私であったベクターシグマにサイバトロン主義のアルファートリンが融合した今、彼の個人的な好き嫌いによって、新たなデストロンは2度と誕生しないかもしれません。)

ベクターシグマはトランスフォーマーでしょうか? 多分違うでしょう。ベクターシグマはトランスフォーマーを生み出す物であってトランスフォーマーではありません(そもそも彼はトランスフォームしません)。彼は自分の意志と感情を持っていないように見えます。プログラムの器であるボディを作る能力も持っていないように見えます(もしかすると影にコンピュータ制御されたロボット工場があるかもしれませんが)。例えベクターシグマがトランスフォーマーであっても、万が一彼が消滅したが最後、もうそれ以上新しい個体を生み出すことができない他のトランスフォーマー達は、やはり生命であるとは言えません。

(彼らを生命と呼ぶためには、例えば、不幸にもデストロンとの戦闘によって根絶やしにされてしまったサイバトロンで唯一生き残ったコンボイ司令官が、自分とまったく同じ性質を持った/あるいは別のパーソナリティを持ったトランスフォーマーを独力で作ることができなければいけないでしょう。彼らの体が機械であるという性質から、ロボット(とあるいはプログラム*)を作るための工場は必要でしょう。しかしそれらは代替が利かなくてはなりません。)

*(新しいパーソナリティは、コンボイ司令官自身のパーソナル・プログラムから作り出すことができるかもしれません。そうであれば、その新しいトランスフォーマーはエアーボットのようなほとんど他人ではなく、彼自身の子孫と言えるでしょう)

(事をさらに複雑にする、トランスフォーマーの性別の話はまたの機会に・・・)


ロボットが自らの意思と感情を持つというだけでは生命ではありません。擬生命、生命に似たものと言うことしかできません。ベクターシグマなしで新たなパーソナリティを作り出せるようにならない限り、トランスフォーマーはベクターシグマの死によってある時突然宣告される絶滅の危険から決して逃れることができません。自分達を作り出した存在、言わば親の保護と支配を断絶し、自分自身の力で新たな物を生み出した時、人はその存在を生命と呼ぶかもしれません。


ではこれにて終了。