Prime-Optimus #1 ラブコール
地球。時代は20世紀終盤。
この惑星で二番目に大きな大陸の内陸に大昔に墜落したサイバトロンのスペース・クルーザー「アーク」をそのまま利用して建造されたサイバトロンのHQがあった。
「オプティマス・プライム。」400万年におよぶバージョンアップなし・クロックアップなしにも関わらず今も現役の不思議なスーパーコンピューター・テレトランワンがいつものようにリーダーを呼んだ。「外部から通信が入りました」
ラチェットと基地の医療施設の拡張について相談していたオプティマス・プライムは、話を中断してコンピュータに歩み寄った。「どこからだ?」
もののあわれを理解しない計算機は事務的に答えた。「デストロンの海底基地です」
オプティマス・プライムは言葉を失った。彼は心を落ち着け、何が来ても動揺しないよう心の中で身構えた。「わかった。テレトランワン、スクリーンへ」
一拍を置いて、テレトランワンのスクリーンに、嫌になる程見慣れたメガトロンの姿が映し出された。
「やあ司令官。元気そうで何よりだな」ゆったりと椅子にかけた彼は、楽しんでいるかのような声音で挨拶した。
オプティマス・プライムは露骨に不機嫌な声を出した。「またお前かメガトロン。今日は何の用だ」
「お前の決心が固まったかどうかと思ってな」
「何のことを言っているのかわからん。早く用件を言え。お前の望みは一体何だ」
「お前だよ、オプティマス・プライム。」メガトロンは彼をまともに見て、はっきり言った。「儂はお前が欲しい」
「またその話か。いい加減にしろ。私はもううんざりだ」
「お前にとっても損のない話だぞ、司令官。お前のサイバトロンのため、セイバートロン星のためにできる最良の選択だ。そして同時に我がデストロンのためでもある。お前の望む、平和的な戦争の終わりだ。」
「ふざけるな、メガトロン。お前の言葉を私が信じられると思うのか」オプティマス・プライムは地を這うような押し殺した低音で答えた。
「お前はもうわかっていると思うがな」メガトロンは意味ありげにとぼけた顔をしてみせ、その後で笑った。「まあいい。次は色好い返事を聞かせてくれよ」
「次などない」オプティマス・プライムは獰猛に唸った。
メガトロンは構わず続けた。「良いか司令官、覚えておれよ。儂はお前を手に入れるためなら何でもする。では、今度お前に会うのを楽しみにしているぞ」
「・・・・。」
通信画面が消えても、オプティマス・プライムはその場に固まったように突っ立っていた。
司令室に居合わせて今のやり取りを後ろから見ていたサイバトロンのメンバーは彼らのリーダーの不審な挙動に、どうアクションを起こしたものかと構えた。
皆の期待した視線を受け、自他ともに認めるムードメーカーのホイストが意を決して口を開いた。「やれやれ、今年に入ってもう3回目だ。冗談にしてもしつこい奴です。ねぇ、司令官」
彼は凍りついたような雰囲気を払拭しようと、努めてなんでもないように言ったが、オプティマス・プライムは黙ったままだった。マイスターは、彼の固く握り締めた拳が震えているのに気付いた。
オプティマス・プライムは突如くるりと向きを変え、ラチェットを始めとする周りの兵士たちに目もくれずに司令室から歩き去った。
司令室に取り残されたメンバーは、いつもの彼らしからぬ乱暴な態度に顔を見合わせた。
「珍しいな。司令官が今さら、メガトロンの戯言に腹を立てるなんて」
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