Chance Factor



テレトランワンからのレポートを受けて、メガトロンの新たな計画を知ったオプティマス・プライムは、部下と共に一番近い人間の町から数十キロ離れたある丘陵地に急行した。彼らはデストロンが臨時基地としていた大きな倉庫のような建物の中で、いつものように戦闘になった。施設の損傷を気にすることなく火器を使用できることと、急襲に成功した効果的な第一撃のお陰で、サイバトロンは優位に立っているように見えた。

「お前の野望もここまでだ。諦めて降伏しろ、メガトロン!」壁際に追い詰め、睨み合った仇敵に、オプティマス・プライムは油断なく言った。

メガトロンは余裕の笑みを浮かべた。「いやいや、まだこれからだとも。システムにこの誘導プログラムを組み込めば装置は完成だ。お前に邪魔はさせんぞ、司令官。」言うが早いか彼は踵を返し、フロア2階分の段差を一息に跳んで幅の狭いキャットウォークに上がると、そのまま施設の奥に消えた。

「待て、メガトロン!」オプティマス・プライムは彼の後を追うために動いた。少し離れた場所に見つけた梯子を伝ってキャットウォークに登った彼は、メガトロンが姿を消した通路へダッシュした。彼はすんでのところで、天井から降りて来る重いシャッターと床との隙間に体を滑り込ませることに成功した。

その部屋の中は大掛かりな装置で半分程が埋め尽くされており、メガトロンは部屋の反対側の壁面に設置されたパネルに向かって何かの作業をしていた。オプティマス・プライムは立ち上がりざまに、手にしたライフルでシステムの制御を司っていると見当をつけたコンピュータを撃った。そしてライフルを床に投げ出すと、振り返って融合カノンを構えようとしたメガトロンに、一瞬早く飛びかかった。重い衝突音を響かせて、彼らは諸共に床に倒れ込んだ。

「オプティマス・プライム!まったく、何としつこい奴だ!」仰向けになったメガトロンが肘を突いて上体を起こし、自分を踏みつけにしたままのサイバトロン総司令官に向かって、驚きと苛立ちの篭った声で文句を言った。

オプティマス・プライムはそれに何かを答える代わりに、彼の動きを封じるようにメガトロンの両肩を再び床に押さえ付けた。それから彼は何かを言おうとして口を開いたが、メガトロンと視線が合うと、そのままじっと彼を見下ろしたまま動きを止めた。

彼は体の内側から強い欲求が湧き出すのを感じてうろたえ、僅かに身じろいだ。重い金属同士がすり合わされる感触に、途端に彼は自分が下敷きにしたメガトロンの存在を強く意識した。

何かを堪えるような彼の様子から状況を察したメガトロンは、自分の胴を挟みつけた彼の白い腿にそっと手を伸ばした。

わざとセンサーの注意を引くように軽く接する掌の感触に煽られて、オプティマス・プライムは大きく体を震わせた。一瞬の間脳裏を過ぎった甘い想像に、インターフェイス器官を制御するCPUセクションが無意識の内に起動し、彼の体の内側で自動的に準備を始めていた。この前の機会を充分過ぎるほど鮮明に覚えていたそれは急速に温度を上げ、目の前の男の手で触れられるのを熱望していた。彼は思考を麻痺させるような強烈な飢えを感じて小さく息を詰まらせた。「メガトロン」

彼の内股を撫でていたメガトロンの手がボディの下端に位置する青色の装甲に触れると、オプティマス・プライムはもう我慢ができなくなって、慌しく亜空間にマスクを仕舞い込むと、メガトロンの唇に乱暴に口付けた。待ち構えていたメガトロンが彼を抱き止め、熱心に口付けに応えた。彼はオプティマス・プライムの後頭部を厚い掌で包んで引き寄せ、より深く唇を合わせた。

その間にもメガトロンは開いた方の手でオプティマス・プライムの体を探った。下腹から腰、背中と順を追って這い上がった黒檀の手が背筋を下り、再び強固な装甲に守られたインターフェイス器官に辿り着くと、オプティマス・プライムは切なげに息を震わせた。彼は装甲のロック機構を解除し、メガトロンの手が動き易いように少し脚を広げることで、自分がそれを待ち望んでいることを相手に伝えようとした。普段は清らかに輝く彼の青色の双眸が、今は欲求のためにほの暗く揺らいだ。周囲の状況はもう目に入らなくなっていた。

侵入を許されたメガトロンの手がインターフェイスや受容器の周囲を探り、彼の状態を確かめるように器用に動いた。オプティマス・プライムはエロティックな呻きを洩らした。「もっと・・・触ってくれ、メガトロン」

彼を待たせることをせず、メガトロンの手が高感度のセンサーの塊であるインターフェイスを捕らえた。オプティマス・プライムは衝撃と歓喜が半々の悲鳴を上げた。メガトロンの手が触れた部分からダイレクトに広がって伝わる強い快感が正常な制御を乱し、オプティマス・プライムの四肢は細かく震えだした。興奮のために普段の倍以上の速度と圧力で全身を巡るエネルギーが堰を切って流れ込み、彼のインターフェイスは見る間に形を変えていった。急激な変化に追いつこうとして合金製の皮膚が軋み、その危うい感覚が余計に彼の神経を煽った。

規則的に、時に強弱をつけて繰り返し上下するメガトロンの手の動きに合わせるように、オプティマス・プライムは無意識にメガトロンの体に自分のそれを押し付けた。彼は我を忘れ、断続的に熱い喘ぎを洩らしながら幾度もメガトロンの唇を貪った。

やがて、オプティマス・プライムの指先が強くメガトロンの肩を掴んだかと思うと、彼の体は興奮の頂点に達した。体の中で高まり過ぎたエネルギーを肩代わりして排出する役を持った特殊な冷媒が、沸騰したかと思える程に熱い流れとなってメガトロンの掌に噴出した。メガトロンは彼の構造の途中に取り残された液体がないことを確かにするように、膨張から一転して収縮に向かう金属の周囲に引き続き手を滑らせた。

神経回路を麻痺させた強烈な電気刺激の波が収まるまでの間、オプティマス・プライムはぐったりとメガトロンに全身を預けて快感の余韻を味わった。

ようやく口が利けるようになると、オプティマス・プライムはまだノイズの混じる掠れ声で言った。「お前の手にかかると・・・私は、情けない程我慢が利かないな」

「そいつは何よりだ」オプティマス・プライムの唇を親指でそっとなぞり、悪戯っぽくにやりと笑った。「お気に召したかな?司令官どの」

オプティマス・プライムは本気かどうかわからない彼の言葉に一瞬困ったような表情をしたが、気持ちを切り替えるように小さくため息をつき、彼に向かって微笑んだ。「もちろん」

彼は一度キスしてから彼の抱擁から逃れ、代わりに彼の両脚の間に膝を突いた。「これが、お返しになればいいんだが・・・」彼の嬌態の一部始終を目にしていたお陰で既にいくらか興奮したメガトロンのインターフェイスをそっと手に取ると、彼はそれを口に含んで愛撫を始めた。

魅力的な長さと大きさを持った彼のインターフェイスを含んだまま、舌でその先端に近い部分を強く擦るようにすると、メガトロンが満足そうな低いうめきを上げた。彼は気紛れにオプティマス・プライムの頬や顎、項を撫でた。「ああ、いいぞ、オプティマス。その調子だ」

快感に掠れた彼の低い声と手の動き、そして咽喉に感じる彼の熱に、オプティマス・プライムは収まりかけた自分の熱が再び戻ってくるのを感じた。自分でも驚く程に抑制の効かない情欲と、思考回路にまで押し寄せるエネルギーの濁流に正常な意識を呑まれながら、彼は懸命に舌と手を動かした。

彼は口内のセンサーが、馴染みのある物質を見出すのを感じた。融解した冷媒の一部がメガトロンのインターフェイスの先端から染み出し、じわじわと彼の内部器官に広がり降りていった。同時に、口の中に感じる彼の温度はますます高くなっていた。オプティマス・プライムは、彼が限界に近づいていることを知った。

メガトロンが一際大きく体を震わせ、ぐっと息を詰めた。彼はオプティマス・プライムの肩を強く押しやった。「もう充分だ、これ以上は保たん―――離せ、オプティマス・・・」

オプティマス・プライムは強情に首を振った。「いいから、最後までさせてくれ」彼はメガトロンの解放を促すように、繰り返し咥内と喉の奥を使って刺激を与え、強く吸い上げた。

よく聞き取れない呻きを上げて、メガトロンが蓄積したエネルギーを解放した。喉の奥に叩きつけられたエネルギー状態の高い刺激性の液体が、エネルゴン摂取のために引かれた配管を伝って体の中に流れ込んだ。熱い流れは内側からオプティマス・プライムの体と頭を痺れさせ、そして次第に熱を失ってただの冷媒に戻った。エネルゴンの代謝器官の途中に溜まった冷媒の始末は面倒だったが、彼はこういう方法で恋人の熱を感じることに特別な思い入れを持っていた。

メガトロンは息を付いて微笑むと、オプティマス・プライムの肩を抱き寄せて彼の頬にキスした。「上手かったぞ、オプティマス」彼は何度も、激しくはないが愛情の篭った口付けを与えた。

波立った心を落ち着けるような優しい接触に名残を惜しみながら、オプティマス・プライムはそっと体を起こした。彼は恋人の真紅の双眸から床の一点へと視線を逸らし、声を落として言った。「どうしてずっと会ってくれなかったんだ? 私は寂しかった」

メガトロンが起き上がった。彼はオプティマス・プライムの白い顔を撫で、もう一度軽く彼の唇を吸った。「それは儂も同じだ。だが、儂はずっとこうしてお前と遊んでいる訳にはいかんのだ」

「あんな馬鹿をしでかす暇はあるのにか」幾分かの嫌味を込めて、オプティマス・プライムは言った。「こんな無意味な戦いは早く止めて、一緒にセイバートロン星に帰るんだ、メガトロン。太陽のエネルギーで私たちの星を元に戻して、静かに暮らそう」

言い募る彼の声を、メガトロンは渋面を作ってわざとらしく聞こえない振りをした。「儂はお前のつまらん理屈には聞く耳を持たん」

オプティマス・プライムは小さくため息をついた。

「そろそろ仕事に戻るか」身支度を整えたメガトロンが宣言して立ち上がった。

彼は周囲を見回すと、両手を軽く上げて降参のポーズを作った。「やれやれ。折角作ったシステムが台無しではないか」彼はぶつぶつと文句を言いながら、破壊されたパネルに歩み寄って検分を始めた。

その彼の背中に、オプティマス・プライムは声をかけた。「私はもう戻る・・・またな、メガトロン」

メガトロンが後ろを向いたまま、片手を振った。「ああ、またな、オプティマス。」

次は邪魔をするなよ、という言葉は聞かなかったことにして、オプティマス・プライムは自分でも驚く程に満ち足りた気持ちでその部屋を後にした。『次』の機会を、今この時から待ち望みながら・・・








終わっちゃえ。






相思相愛なんだけど意見は合わない二人ってことで、
こんな所で逢引き。部下達超迷惑。

質問・苦情は一切受け付けません。



by.女転信者

※ウインドウを閉じて戻って下さい