以下の文章は所謂「女性向け」ファンフィクションです。やおい、BLといった分野に興味のない方の閲覧はお止め下さい。


 
 
荒野に吹く風(エピローグ)
 
 

〜 一年後 〜



「寝ちまったな。」

「もっと遊びたかったのに!」

「しーっ、静かにしろよ。起きちゃうだろ。」

「わりぃ。」

「もう行こうぜ。」

俺たちは覗き込んでいた赤ん坊の上からそーっと退いた。ついさっきまでおもちゃを掴んで振り回していた小さな手はぴくりとも動かない。エンストした車のように寝入ってしまった彼女は、しばらく目を覚まさないだろう。

「ありがと、また後で来る。」

赤ん坊のすぐ隣の椅子に寄りかかって俺たちを見守っていた母親は、にこっと笑って手を振った。

「待ってるわ。あなたたちが遊んでくれると、とても機嫌がいいの。」

彼女は兄弟の一人がどこかからか見つけて連れてきた、彼の妻だ。俺たちの家へ来てそろそろ1年になる。兄弟のほとんどは初めて見る赤ん坊に興味津々で、いつも入れ替わり誰かが彼女に会いに来ていた。

1年と少し前、俺は再びガスタウンに戻って来た。

偉大なるジョーが死んだ後、グラインダーはグレートウォッチャーにいた兄弟全員をガスタウンに移住させた。砦にあった食料や資材、スクラップ、小さな道具にコップまで、全てを持ち出した砦はからっぽで、もうここには誰も住まないんだって、寂しく思った。

しばらくの間、ウェイストランドはどこもかしこも大騒ぎだった。俺を含めた兄弟たちは、偉大なるジョーがいなくなっただなんて言われても、それがどういう意味なのかわからなかった。それでも、かつてなかった異様な雰囲気を感じて、皆不安そうにしていた。

グラインダーは、俺たちはもうイモータン・ジョーに守ってもらうことはできない、と言った。これからは住む所も、水も、食べ物も、燃料も、全て自分たちで手に入れなければならないと。しかし同時に、俺たちは周囲の人々と無闇に対立したり争ったりしてはならないのだと。

その話の意味が理解できた兄弟はいなかったと思う。ただ、今までとは全く違ったやり方をしなければいけないのだということだけはなんとなく理解した。

理由はわからなかったが、俺たちは不安で、兄弟みんな寄り集まって小さくなっていた。そんな俺たちが頼りにしたのは、やっぱりグラインダーだった。彼は俺たちのためにスクロタスの部隊が使っていたガレージを手に入れてくれた。全ての兄弟たちと車両、それに砦から持って来た荷物を全部運び入れて、俺たちはガスタウンの片隅に安全な住処を作った。

ガスタウンに落ち着いた最初の夜、グラインダーはまた俺たちに難しい話をした。

「俺たちはこれから、ジョーのいない新しい世界で生きて行かねばならん。そのためには、今までとは違うルールに従って行動する必要がある。」

兄弟たちは大人しく、緊張した顔をして、それぞれに頷いた。

「まず、一番大事なルールだ。兄弟を大事にして、協力して物事に当たれ。お前たちの最も強力な武器は、兄弟同士の絆と団結力だ。これから色々な問題に突き当たるだろうが、皆で力を合わせて立ち向かえば必ず解決する。わかったな。」

兄弟たちは頷き、口々に返事をした。思ったよりも簡単なルールで、俺はほっと息を吐いた。これなら今までと変わらない。しかしどうしてグラインダーが当たり前のことを確認するのか不思議に思った。

「次のルールだ。兄弟以外の人々との付き合い方を学ぶこと。今後、俺たちはジョーの子供たちだけではなく、他の人々とも交わって生きていかなければならん。ガスタウンの他の住人や僻地の貧民、それに外部のウェイストランダーともな。お前たちにとっては経験のないことだ。中には油断できない危険な人間もいる。慎重に、時間をかけて少しずつ慣れていくんだ。」

俺は幾分小さい声で返事をして、首を傾げた。兄弟以外の人間と付き合うってどういうことだろう?

「そして最後だ。俺はお前たちの主人ではなく、単に仲間の一人となる。俺はこれからもお前たちに指示をしたり助言をしたりするが、お前たちは俺のために死んだり、俺の言うことに絶対に従う必要はない。”sir”も不要だ。」

そして彼はそれまで人前で決して取ることのなかった覆面を脱ぎ捨てた。ざわめきが起こり、俺は兄弟と顔を見合わせた。何がなんだか全然わからない、と彼の顔にも書いてあった。

「以上だ。明日からの行動については明日の朝説明する。皆、ゆっくり休め。解散。」

まだざわざわしている兄弟たちを広場に残して、グラインダーは彼の寝床と決められた仕切りの向こうへ行ってしまった。俺は思わず彼の後を追いかけた。

「ボス、ボス。」

「お前か。どうした。」

グレートウォッチャーにあったものと同じように、床から一段高くした寝床に腰掛けて、グラインダーは落ち着いた声で俺に向き合った。

「あの、俺全然わかりません、ボスが俺たちの主人じゃなくなるって、どういうことですか? ボスは俺のこと……俺たちのこと、捨てちまうんですか?」

俺は不安のあまりグラインダーの膝に縋り付いた。気持ちが高ぶって、涙が出そうだった。俺の肩に温かくて大きな手が置かれて、優しく俺の肩を撫でた。

「そうじゃない。俺はこれからもずっとお前たちと一緒にいる。だが、お前たちは俺のために死んではならんということだ。」

「じゃあ、俺は何のために死ねばいいんですか?」

「何かのために死のうと思ってはだめだ。お前は一生懸命に生きて、お前の幸せを見つけろ。そうすれば、お前は死んだ後に天国へ行ける。」

「天国って何ですか? ヴァルハラは?」

「ヴァルハラは天国の中にある。どちらも同じ楽園だ。戦士はヴァルハラへ、戦士でないものは天国へ召される。」

「俺はどちらかへ行けますか?」

「行ける。この世界で一生懸命に生きれば、天国へ行ける。」

「先にヴァルハラへ行った兄弟とはもう会えないんですか?」

「会えるとも。ヴァルハラは天国の中にあると言ったろう。」

グラインダーの話はわからないことばかりだった。新しい世界には俺の知らないたくさんの言葉があって、そんな中で生きて行くのは本当に大変なことだと思った。

彼は俺がぐずぐずといつまでも質問を続けるのを許してくれた。夜が更けて、俺はいつの間にか彼の寝床で眠ってしまった。





その翌日から、グラインダーの言う”新しい世界”での生活が始まった。

彼は俺たちが知らないことを何でも知っていた。彼は車両の整備や機械の修理、製油所の作業の手伝いなんかの仕事を俺たちみんなに割り当て、その見返りを得たり、商人と取引したりして、どこかからか必要な食料や物資を調達していた。兄弟たちが他の住人とトラブルになってしまった時には、彼はすぐに間に入ってくれた。それも殴ったり殺したりではなく、しばらく話をするだけでほとんどの問題を解決した。

ほんの短い間に、俺たちはかつての俺たちがとても狭い、守られた世界に住んでいたのだということを知った。俺たちは兄弟と、戦いと、車のことだけを知っていればよかった。でもその狭い世界の外には、それ以外の全てがあった。厳しくて、広くて大きな世界だった。

グラインダーはその”外の世界”で生きる方法を知っていた。彼の望みに反して、俺たちはますますグラインダーを尊敬するようになっていた。きらきらした目で彼を見上げ、驚きと賞賛の声を上げる兄弟たちに、彼は複雑そうな微笑みで応えるのだった。

彼は変わったと、俺は思った。”黒い放浪者”が偉大なるジョーの全てをぶち壊した時からだ。

以前の彼は、強くて大きな尊敬する戦士で、俺たちにとっては遠い存在だった。兄弟たちは彼を敬うと同時に恐れてもいて、彼の手の届く範囲に近付こうとする兄弟はいなかった。俺は”専属”として彼の近くにいることはできたけど、今思えば、彼の視線は俺を通り越して、別の何かを見ているようだった。その時は何の疑問も持たなかったけど、彼と俺たちとの間には見えない壁があるみだいだった。

でも今は違う。グラインダーはまっすぐ俺を見てくれる。彼が知っているたくさんのことや、彼の考えていることを俺たちに話してくれる。引き締まって格好いい顔には、以前と違って色々な表情が現れて、しかも俺たちに向かって笑いかけてくれる。俺たちのことをウォーボーイと呼ばなくなり、そして俺たちに”生きて、幸せを見つけろ”と言う。

グラインダーは俺に”専属”の仕事はもうしなくていい、と言った。それまでも、俺がグラインダーへの奉仕と言えるような働きができたことはなくて、彼の手で俺だけが喜ばせてもらっているだけだったけど、今度こそはっきりと俺は用なしになってしまった。

グラインダーは俺たちに、もしも”外の奴ら”と仲良くなって、そいつと一緒に暮らしたいと思ったら、俺たちの家へ連れて来ればいいと言った。食べ物や寝床の心配はしなくていいと。あの赤ん坊を産んだ女の人――彼女は俺たちの”姉妹”になった――も、そうやって兄弟の一人が連れて来た。彼と同じように、お前もいつか、一生を共にできるパートナーを見つけるのだと、グラインダーは度々俺に言い聞かせた。

でも俺はグラインダーの傍を離れたくなかった。俺はどの兄弟よりも彼が好きだったし、外の世界にだって、彼よりいい人なんていないに決まってる。確かに、俺はもう”専属”としての役割は果たしてなかった。でもあの痛ましいケガで性器を失ってからも、彼はずっと俺を近くに置いてくれた。前にオーガニックが言ったように、グラインダーには慰めが必要で、俺はその慰めになっていたかもしれないんだ。そうでなきゃ、どうして彼は何も言わずに俺を抱きしめて、あんなふうに何度もキスしてくれただろうか?

だから今グラインダーが俺を遠ざけようとするのは、俺のためだ。少なくとも、そうすることが俺のためなんだって、彼は考えてるんだ。彼がもう俺を必要としなくなったからじゃない。そう考えると俺はほっとして、勇気が出た。

一日の仕事が終わって休む時間になると、俺は毎晩のようにグラインダーの寝床を訪ねた。彼は困ったような顔をしつつも、決して俺を追い返したりはしなかった。大抵は寄り添って眠るだけだったが、俺がしつこく頼んだ時には、キスしたり体に触ったりしてくれた。そしてそれが済むと、彼は静かに俺を諭すのだった。

グラインダーの隣に腹ばいで寝転んで、俺は話をする彼の顔をずっと眺めていた。壁にかかったランプに照らされて明るい部分と、陰になった暗い部分が、彼の顔を昼間見るよりももっと魅力的に見せていた。俺はグレートウォッチャーの彼の部屋で初めて彼の素顔を見た時から、こうやって彼を見るのが大好きだった。

遠くで風が唸り声を上げているのが聞こえる。冷たくて厳しいウェイストランドの夜だ。でも俺がいるのは、寒くて危険な荒野ではなく、暖かくて安全な住処だった。

「お前たちはこの世界で人間らしく生きて、お前たち自身の幸せを見つけなければならん。いつまでも俺のような……過去の遺物に捕らわれていてはいけないのだ。」

「でも、俺はボスと一緒にいたいです。あなたと一緒にいることが俺の幸せです。それに……それに、俺たちのだけじゃなくて、ボスの幸せも見つけなきゃいけないです。ボスは俺と一緒じゃ、幸せじゃないですか?」

グラインダーはとても驚いた顔をした。「俺の幸せだって?」

「そうです。」

「……俺はいい。」

彼は溜息を吐くように、元気のない声で言った。いつも勇敢で力強く前に進んで行く彼がそんなことを言うなんて、信じられなかった。

「ボス、何言ってるんですか……俺たちはみんな、幸せを見つけなきゃいけないんでしょ?」

「……俺は昔、幸せだった。だが俺はそれを失ってしまった。もういいんだよ。」

「そんなこと言わないでください。なくなってしまったなら、もう一回探せばいいじゃないですか、」

グラインダーは目を閉じて、黙って首を振った。彼の考えが全然わからなくて、俺は急に怖くなった。俺は思わず起き上がり、両膝を突いて彼に迫った。

「どうして諦めるんですか? 俺たちは幸せにならなきゃいけないのに、ボスだけは幸せじゃなくていいなんて、俺、思いません。そんなの悲しいです。」

グラインダーは再び目を開けて、俺を見た。興奮した俺とは違って、彼は冷静だった。

「いいんだよ。お前たちの行く末を見守ることが、俺の生き甲斐なんだ。」

「でも、ボスは寂しそうです。慰めが必要なら、俺がその役目をしたいです。」

「ありがとう……だが、お前はもう充分俺に仕えてくれた。これ以上、俺に付き合わせる訳にはいかない。」

彼は落ち着いていて、俺に向けてくれる表情は優しかった。それなのに、彼はまた以前のように見えない壁の向こうに行ってしまいそうだった。彼を引き止めたくて、俺は思わず彼の手を掴んだ。

「俺がしたいんです、ボス。」

「俺にその価値はない。」

「あるに決まってます!」

グラインダーはしばらく黙っていた。彼は体を起こして寝床に座った。そして寝床の端の辺りに目をやった。

「俺は今まで、多くの人の人生を奪い、他人の幸せを踏み躙ってきた。その俺が今さら――」

彼自身を見捨てるような、諦めの態度に我慢ができなくて、俺はそれ以上の言葉を遮った。

「そんなこと関係ないです。ボスは幸せを見つけるべきです。」

「俺の……幸せなど……」彼は呆然と呟いた。

「俺は、あなたに幸せになってほしいです。」

彼にとっての幸せとは何だろう。俺は知らなかったし、彼自身にもわからないようだった。何でも知っている彼が、どうしてだろう?

グラインダーは黙っていた。彼はじっと何かを考えているようだった。遠くを見て、何かを思い出しているようだった。きっと俺の知らない、ずっと前のことだ。

その時、グラインダーの頬を何かが伝い落ちた。俺はぎょっとした。彼は泣いていた。

「昔、お前と同じことを言った人がいた。”あなたには幸せになってほしい”と……その人はずっと前に死んだ。俺の最愛の人だった。お前も……いや、お前は、俺の幸せを願ってくれると言うのか。」

「もちろんです、ボス。」

両手で顔を覆って俯いてしまったグラインダーを、俺は一生懸命抱き締めた。

「俺はあなたと一緒にいられれば幸せです。そしてボスにも幸せでいてほしいです。」

「お前には、俺よりももっと相応しい人がいる。」

俺の腕の中で、彼は苦しそうな声で言った。俺を思い遣る言葉でも、俺は全然嬉しくなかった。

「あなたより好きになれる人なんてどこにもいません。」

「俺はお前の倍も年寄りだし、お前を満足させてやることもできない。」

「そんなの、全然問題じゃないです。」

俺は本心でそう答え、両腕にますます力を込めた。彼がそんなことを負い目に思っていたなんて、俺は想像もしていなかった。俺は今のグラインダーが一番好きだった。

「俺はずっと、お前を虐げてきた。」

「何のことですか?」

「俺は権力を盾にして、決して逆らうことのできないお前を力で犯した、」

それが”専属”の仕事を指しているのだとようやく理解して、俺は慌てて否定した。

「それは違います。俺はただの一度だって、あなたのすることが嫌だと思ったことはなかったです。」

「お前は騙されていた。間違った教育のために、そう思わされていたんだよ。」

「それでも、俺は本当に幸せだったんです!」

俺はグラインダーの両肩をぐっと掴んで離した。それから驚いている彼の顔を両手で捕まえて、彼の唇に深く口付けた。俺が必死で求めると、彼も応えてくれる。煙のような彼の匂いを間近で嗅いで、頭の奥がじんとした。夢中になってしまう前に、俺はなんとか唇を引き剥がした。

「ボス、いい加減に諦めて、俺とこの先ずっと一緒にいるって、俺をあなたのパートナーにするって言ってください。」

彼は呆然として俺を見上げていた。濡れた緑色の目が俺の上を彷徨い、それからそっと閉じられた。

グラインダーの腕が俺の背を抱いた。最初は恐る恐る、そして次第に強く、俺の体を引き寄せて、太い両腕で包むように抱き締めた。

グラインダーが俺の名前を呼んだ。それだけで俺の頭の中は熱くなる。なんてすてきな響きだろう!

「お前を愛し、お前と少しでも長くこの世界で一緒に生きることが……俺の幸せだ。俺の傍にいてくれるか。」

「もちろんです! えっと、あいし……っていうのはよくわかりませんけど、俺、ボスから離れません。ずっとボスのために働いて、何でもします。あなたが大好きだから……」

俺が一生懸命訴えるのを最後まで聞いて、彼はとても嬉しそうに微笑んだ。

「愛するとは、相手の幸せを願って、何でもしてやりたいと思うことだ。」

「じゃあ、俺もあなたを愛してます。」

俺たちはちょっと体を離して、もう一度キスした。グラインダーの温かい腕と、俺を受け止める揺るぎない体、そして思いのこもった口付けに、俺はこれ以上ない喜びを感じた。

グラインダーが優しく微笑んだ。目元や頬に残る涙が、彼を傷つきやすく見せていた。でも俺はそれが彼の弱さだと思わなかった。彼が好きだという気持ちと、彼に寄り添いたいという思いがますます強くなった。

俺はもう自分の幸せを見つけた。グラインダーと、そして兄弟たちと共にこのウェイストランドで幸せに生きることが俺の望みだ。かつて俺を捕らえて放さなかったヴァルハラへの憧れは、荒野に吹く風の中へといつしか消えていった。





おわり





またしてもパロディなんだかオリジナルなんだかよくわからない話を読んで頂いてありがとうございました。まさかのハッピーエンド(腐女子的ご都合主義)になりましたが、グレートウォッチャーをスルーしてのスクロタス撃破はゲーム内(プレー2週目)で起こった実話ですw 中ボスを無視しても普通にクリアできるという自由すぎるゲームPS4版MAD MAX、廉価版もあるのでぜひプレーしてみてください。

グラインダーの公式設定
『スクロタス配下、グレートウォッチャーのリーダー。不能者のスタンプ・グラインダーは粗暴なトップドッグで、性的に不満を抱えている。昔の戦いで性器を失って以来、自分に証明できるものがあると性的な考えのもとで信じている。そして証明する方法といえば暴力しか知らない。』
(PS4のゲーム内BIO「スタンプ・グラインダー」より全文そのまま引用)

というだけの人物像から、よくもまあこんなにも捏造したと我ながら感心しました。しかもこの設定文章、元が英語の妙な言い回しのせいか、読んでも意味がよく解らなかった……やっぱり「で、それってどういう意味だってばよ?」というのは妄想の原動力ですなー。

ウォーボーイの方はゲームとか映画に出てくる彼らをなんとなく平均的にイメージしたキャラクターで、まあこういうのが所謂ウォーボーイっていう生き物だよねって感じなのですが、グラインダーの方はもう何から何まで嘘八百です。設定では『昔の戦いで』とありましたが、話の都合で最近の戦いにしてしまいました。

あとウォーボーイの語り部分は、もっと語彙が少なく、拙い文章にしたかったのですが、能力不足でわりと普通の文章になってしまいました。あと女性を知らない設定だったので、相対的に”男らしい”に類する言葉が使えず苦労しました。でもとりあえず”例えが全部車”という私的設定を完遂できたのでよしとしますw

グラインダーは世界崩壊前は一般社会で家庭を持って仕事もしてて、学校教育も受けた普通の人だったので、当時の一般的な知識は備えています。と言ってもこれは崩壊後に生まれたウォーボーイとは比較にならないほどの知識の多さで、思考力の元にもなっています。でも世界崩壊の混乱期にあまりに酷い目に遭ったため、彼は長年(20年ぐらい)、思考停止して感情も抑圧して冬眠したような状態になっていました。そうやって必死で自分を守ってた訳です。それが色々あって、人生を取り戻した、という話でした。という訳でこの話の主人公はグラインダーです。

まあね、ウォーボーイも原作中で酷い目に遭ってるってか死んだりしてるけど、崩壊前の世界を知らない彼らには「昔は良かった」っていう意識が全くないので、ある意味幸せというか、少なくとも現状を不幸とは思ってないと思うんですよ。でも崩壊前の世界を知ってる世代は辛いと思います。ああ、平和で豊かな日常に感謝。そんな話でした。