■ 美術展の個人的感想
最近行った美術展の感想などを書きとめていきたいと思います。

■「12人の挑戦 − 大観から日比野まで」水戸芸術館 2002年12月01日(土) ■

ヴェネツィア・ビエンナーレに出品した日本人作家歴代78名の中から、茨城にかかわりのある12名の 作品を紹介した展覧会。

私個人的には宮島達男さんの作品が本命。出展されていたのはエメラルドグリーンの鏡の裏からデジタル・カウンターが 光る新作。
鏡に映る自分自身と浮かび上がるデジタルカウンターを見つめると言う感じ。

日比野克彦さんの作品はワークショップによって作られた紙製の橋。 トキオにはミニチュアな世界で楽しかったようだけれど壊さないかとドキドキであった。

カタログがヴェネツィア・ビエンナーレの回顧録もあり読みごたえがあった。



■「サム・フランシス展」川村記念美術館 2002年10月06日(日) ■

川村記念美術館で開催中の「サム・フランシス」展に行ってきました。
出光美術館所蔵の作品を中心に約60点、90年代の晩年の大作などもありました。

やはり、彼が活躍した50年代、60年代の頃の作品は良かったです。 その時代の抽象表現主義的作品。

数が揃うとなかなか見ごたえがありました。ダンナは軽井沢のセゾン現代美術館でサム・フランシスの 絵を見て好きなようです。

この展覧会は全国数箇所へと巡回予定になっています。

しかし、箱がかわると作品の見え方も三者三様となりうるので、お気に入りの美術館の空間にて 見られることをお薦めします!

トキオはダンナが手をつないで一緒に館内を鑑賞しました。バタバタと走り回ったり、大声をだしたり、ぐずったりすることは 今回はありませんでした。
まずは3人で早足に回ってから、下のロビー部分でダンナと順番にトキオと一緒に待って、一人で館内をぐるりと 再度見て回りました。

水戸芸術館の12人展と、ハラミュージアムアークの倉俣史郎展が次に見に行きたい展覧会の候補です。 水戸には近々行くかなー。



■「余談:子連れで美術館巡りについての一考」 2002年05月02日(木) ■

子連れで美術館へ行くことについてあらためて考えてみる。

トキオが0歳の時から美術館に一緒に連れて行っているが、 小さな子供連れの鑑賞者に対する美術館の対応も様々だということを経験した。
及び、展覧会内容(観客数によっても)によっても。

現代美術の展覧会は比較的すいているために、ベビーカーでそのまま館内をまわることを許してもらうことが 多かった。しかし、近代作品のメジャーなものなどでは観客数が多く館内が混雑しているためにベビーカー入場などは断られることも 多々ある。

子連れに優しいと感じた美術館は、
■ 水戸芸術館
■ 川村記念美術館
■ ベネッセコンテンポラリーアートミュージアムなどである。
この3館は子連れでなくてもスタッフの方の対応がとても丁寧かつ親切であるとは思います。 且つ、展覧会の内容が優れているので文句のつけようがありません。

ただ、子供を連れて行く側としても「基本的な社会ルールを守る」ことをきちんと念頭においています。
■ 走り回ったり、作品に手を触れたりなどはさせない。
■ 大声を出させない。(機嫌が悪く泣いたりしたら休憩室などに連れて行って落ち着かせる。ダンナと順番に 子守りをして見て回る。)
■ 子供がどうしてもじっとできないだろうと思われる設置状況(映像作品)などの場合は、最初から館内に連れて入らない。 など。

美術館に行って作品を鑑賞することがごく当たり前のこととして経験を重ねてくれればそれでいいかなーと思う親心なのでした。 決して敷居が高いものではなくて、日常生活の楽しみの一つとしての美術館巡りを親と一緒に楽しんでくれれば・・・。



■「スクリーンメモリーズ」水戸芸術館 2002年05月02日(木) ■

水戸芸術館で開催中の「スクリーンメモリーズ」展に行きました。

『「フィルム」をイメージにして「記憶」テーマに』と、今回のキュレーターの飯田氏の展覧会主旨のようです。
いつ見ても良い杉本博司氏の「劇場シリーズ」の写真。
それ以外の作家、作品についてはこれといった目新しさも感じず・・・。

ドミニク・ゴンザレスの「アン・リー」の映像作品については、日本の架空アニメキャラクターという設定もあり、つい見入ってしまいました。
ハモニー・コリンの映像作品(ドキュメントフィルム)については、精神的に障害を持っていると思われる人を固定カメラで写していたりしていて、 消費社会から取り残された下層階級の子供達の現況を映し出したというようなことが説明書きされていたのだけれど、 見る側にとってみると何ともいえない不安定な気持ちにさせるものであった。

水戸芸のインスタレーションの良さは行くたびにいつも思う。 今回も各作家、作品ごとに部屋を完全に仕切っていたのでフィルム作品も落ち着いて丁寧に見ることができた。

映像作品の斬新さは見られない展覧会ではあった。というより、現代の映像が満ち溢れた世の中で、斬新なアイデアをもった芸術的な 映像作品を作ることの難しさを感じました。

トキオは今回はダンナと順番で子守りをして一人ずつ中に入って鑑賞しました。 映像系の作品展示の時は、子供は一緒では見れないなと痛感。



■「三鷹の森 ジブリ美術館 & 川崎市岡本太郎美術館」 2002年01月23日(水) ■

ジブリ美術館へ行きました。美術展・・・という範疇にいれてしまっていいものか?と思いましたが、「美術館」と銘打っているので 一応、こちらにも記載しておこうと思いました。
知る人ぞ知る・・・宮崎駿氏が構想した美術館で、ジブリ作品の絵コンテや、原画などが展示されていました。 その数や膨大。
また、美術館オリジナルの短編映画も見れました。
2歳の息子が喜ぶかと思って連れて行ったのですが、「猫バス」には子供がたくさん居て人見知りの強い息子は私の足元から離れませんでした。 しばらくしてもう一度行ってみると今度は入場制限の列待ちまでできていました。しばらくは、このフィーバーがさめないのでしょうね。ちょっと残念。

美術館の建物や内部装飾、建材などどれをとっても宮崎氏のこだわりが感じられました。
トイレも扉の取ってやその他アメリカン・カントリー風なインテリアで居心地よかったです。
子供の視点にたって建物内部も作られているような気がしました。子供の冒険心をそそるようなちょっと入り組んだつくり。

館内は写真撮影は遠慮してくださいということになっていました。開館当初は写真撮影ばかりする親子連れやカップルばかりで、 きっと館内に目を向けずに、写真撮ることばかりに気持ちがいってしまった人が多かったのでしょうね。

美術館カフェ「麦わらぼうし」で食事とお茶もしました。
メニューのネーミングがとってもチャーミングです。 「食いしん坊のカツサンド」「ふぞろいのイチゴのショートケーキ」などなど。すべて無農薬野菜や果物を素材にして作られているそうです。 ジュースについてくるストローは本物の自然の麦わらでできていました。食べ物の味は薄味で体によさそうな感じです。 小さい子供に安心して与えられるという感じがしました。
細部にまで「こだわり」抜かれたという感じがして好感大です。
また是非是非行きたいです。

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宮崎駿作品について。
きっと、世の中の人のほとんどが好感を持てる作品なんじゃないかと思います。 私個人的には、「風の谷のナウシカ」「トトロ」「天空の城ラピュタ」が好きです。 アニメという日本的サブカルチャーを芸術まで高めているといっても過言ではないでしょうか。 息子には、まず「トトロ」を見せたいなぁと思います。
「ナウシカ」は、何度見ても泣いてしまいます。名作です。
「もののけ姫」はテーマは重いけれど、やっぱり殺戮シーンが多く、また小さい子供には理解しがたい難しい内容であるように 感じています。
やはり、ほんわかとした内容のもの、そして愛に満ちた話が宮崎氏の名作といえるのではないでしょうか。
セル画もたくさん展示してありましたが、芸術作品に近い緻密な仕事だと感じました。
すばらしい手仕事です。
宮崎氏は原画製作であって、セル画は実際には描かれてはいないのでしょうが、顔の表情や体の部位の動きの細部にまで こだわってスタッフに指示している現場のドキュメンタリーをテレビで見たことがあります。 そうやってこだわりぬいた仕事であるからこそ、人々の心をも揺さぶるすばらしい作品へと完成するのでしょう。

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ジブリ美術館の帰り道に川崎市岡本太郎美術館に立ち寄りました。東京青山の記念館へは年末行ったのです。
建築も立派で、展示もしっかりしたものでした。
記念写真が撮れる場所があり、太郎氏デザインの手のひら型の椅子に座れます。 あまり期待せずに行ったのですが、期待以上に良い美術館でした。
何事も、先入観にとらわれずに行って実際体験することの大切さをまた実感いたしました。
大阪出身の私としては、「太陽の塔」で慣れ親しんだ岡本太郎氏なのです。



■「横浜トリエンナーレ2001」 2001年11月04日(日) ■

横浜トリエンナーレに行ってきました。お昼から行ったために時間があまりなく、結局、「パシフィコ横浜展示ホール」「赤レンガ1号倉庫」の2会場のみを 回りました。
会期終了1週間を切っていたのと、晴天の日曜日だったためか、赤レンガ倉庫の方などは、入場待ちの列。パシフィコの方もたくさんの入場者でにぎわっていました。 その盛況ぶりに、正直いって驚きました。ここ15年近く、現代美術の美術展などを回ってきましたが、これほどまでに、「現代美術」の展示で人が集まる状況を見たことがありません。 (日本において)
客層は、美術系大学生が主流かもしれませんが、一般の方も多いような気がしました。 そのことが一番心に残っています。
作品一点一点については、語りつくせませんが、遠藤利克さんの作品はインパクトがありました。
彼の実直な制作活動を垣間見る気もします。

横浜トリエンナーレと聞いて、最初は行く気がしませんでしたが、公式サイトを見てアーティスティック・ディレクターの顔ぶれを見て行く気になりました。 河本信治氏、建畠暫氏、中村信夫氏、南條史夫氏の4名です。現代美術に携わったことがある人間であれば名前を知っていると思います。

トリエンナーレというからには、これからも3年毎に続いていくことを願います。1年限りの夢で終わらぬように。



■「イームズ・デザイン展」東京都美術館  2001年9月14日 ■

イームズ・デザイン展を見に上野の東京都美術館へ行きました。あいにく息子の機嫌が悪かったので、 ダンナと順番交代で展示室を見てまわりました。合板のあのシンプルな形の椅子が、これでもか、これでもかというくらいに 並んでいました。
時代背景的に、イームズのデザインが評価されるのは分かる気がしますが、私個人的にはイームズ以外にも 色々といいなぁと思う椅子はたくさんあるけど。。。という感じです。
デザインとは、その時代の背景によって生み出されるものであるような。
あと、展示が窮屈な感じがしました。大阪天保山のサントリーミュージアムに巡回して11月から開催されるので、 サントリーミュージアムのほうが広々として見やすいかもしれません。
週末と平日の午後は混雑するという情報をもとに、平日の午前中に行きましたが、結構人が入っていました。 それはさすが東京という感じでしょうか。



■「Cute 亜細亜散歩」 水戸芸術館 2001年8月12日 ■

福島からの旅行の帰り道に、お気に入りの水戸芸術館に立ち寄りました。 「Cute」というコンセプトで、亜細亜のアーティスト9名の作品が展示されていました。 これといって新鮮な感じのする作品はありませんでしたが、やはり水戸はいつ行っても、質の高い 展示をされているなぁという感じがします。
あとは、なんといってもスタッフの方々の心配りに敬服です。子連れで美術館に行って、スタッフの方に 色々と気をつかっていただいたのは川村記念美術館に並ぶ、という感じです。
子供を乗せてベビーカーで展示室を回っていると、数名のスタッフの方が、「階下に降りられる際は エレベーターまでご案内します。」と言って声をかけてくださったのだ。 とても丁寧な対応に恐縮してしまうくらいであった。 やっぱり、質の良い美術館はスタッフの方のサービス面でも質が良いのだと実感しました。



■「藤本由紀夫展」 現代グラフィックアートセンター 2001年8月11日 ■

偶然、福島県のマップルを見ていてみつけた美術館。CCGA現代グラフィックアートセンター。
大日本印刷のメセナの一環らしいです。ゴルフ場の敷地内にあって、建物もバブリーチックではあるのだけれど、アメリカの 版画工房のタイラーグラフィックス社の作品をコレクションしているということです。印刷会社のコレクションだけあって、 なかなか収集コンセプトとしては直球的で好感。で、タイラーのコレクションを楽しみにして行ってみたら、 その期間は藤本由紀夫さんの個展が開催されていました。年数回は企画展をしているそうです。
福島に来て、藤本さんの作品を見るとは。。。ちょっとトホホという感じ。(藤本さんの作品は好きですが。) 関西出身の私なので、藤本さんの作品は 関西でたくさんお目にかかっていたので。。。タイラーの版画コレクションを見てみたかったです。



■「ロバート・キャパ」いわき市立美術館 2001年8月10日 ■

いわき市立美術館に行きました。キャパの写真は色々な所で見たことがあるので、作品については あまり深くを語りませんが。
いわき市立美術館には現代美術も多々コレクションしているとあって一度行ってみたかった美術館の 一つです。地方の市立美術館にしてはフロアスペースなどもまぁまぁかなぁという感じでした。



■「ゲルハルト・リヒター ATLAS」 川村記念美術館 2001年5月4日(木) ■

独身時代に3回ほど行った川村記念美術館。今年はGWということと、つつじが見ごろだということで 散策路を一般無料開放していたのもあってか、たくさんの人出でにぎわっていました。便乗して 美術館もたくさんの人でした。
展覧会の内容を語る前に、川村美の子連れに対する配慮に本当に感謝しました。
まず、入場口で子供を抱いているのを見て、ベビーカーを無料でレンタルしてくださったり、 マーク・ロスコルームからエスカレーターに抜ける扉を開けてくださったり、子連れで来たことへの 配慮をスタッフの方々から感じられてとてもありがたく思いました。 これまでにトキオを連れていくつかの国内の美術館に行きましたが、こんな風に「子連れへの配慮」を してくださった美術館はなかったです。

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余談ですが、
某美術館などは、トキオが展示室でうれしさのあまりに声を出していると「静かにしてください。」などと 注意されたくらいです。このことについては、私はとても悲しく思いました。 美術館の館長さんに手紙を書こうと思ったくらいです。 もちろん、公共の場でのルールや礼儀をもつことは大切です。なので、小さい子供連れの場合はベビーカーに乗せているか、 手をつなぐ、抱っこするなどして、美術品に触れたりしないように親が注意するのは当然だと思います。 また、はしゃぎすぎたり、大泣きしたら、休憩室などに行ってなだめたり他の方に迷惑にならないよう配慮することも 当然だと思っています。そういう「当然のルール」をふまえた上で、美術館に子連れであえて行っているのですが、 その某近代美術館では、トキオがうれしくて「あぁー」と言葉を出していることに対して、「静かにしてください。」と注意された のです。うーん…何かがおかしい。 日本の公立の美術館の敷居の高さはそれも一つの要因であるかもしれません。 海外では、小学生くらいの子供達がスケッチブックをかかえて美術館の床に寝そべりながら模写していたり、 もちろん、おしゃべりに花を咲かせていたりして、とにかくワイワイ、ガヤガヤとした活気のある雰囲気の中で、 美術品の前で思い思いに鑑賞しています。
ただでさえ、高い入場料を払って、観客もほとんど入っていない日本の美術館で、1歳の子供が美術館の雰囲気が うれしくて「あぁー」と声を出しただけで、「静かにしてください。」っていうのは、「何かそれってちがうんちゃうの?」と 感じてしまいました。公立の美術館を建てるためにかかった費用や維持費は国民の血と汗と涙の税金が使われていて、ついでに 高い入場料を払って見にきた人に対して、子供の感動の声とただうるさくしゃべることを同じように取り扱ってほしくはなかったです。
私はその一件があってから、美術館に子供を連れて行くことをやめようかと悩んだのですが、ルールを守っているのだから気にせずに、 子供にもたくさんの素晴らしい作品を感じてもらおうと思って、懲りずに美術館に行っています。
そんな折の、この川村記念美術館でのありがたい対応に、本当に感謝せずにはいられません。
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と、余談が長かったのですが、
1階は常設展示、2階が企画展示室なので、2階でリヒターの作品を見ました。 「ATLAS」とよばれる、ライフワークともなっているスナップ写真や新聞・雑誌の切り抜き、展示プランのスケッチなどをまとめた 作品で、これからもどんどんと増殖していく勢いを感じました。 あとは、リヒターの初期の作品から近作まで見ることができました。 肖像画を手ブレ写真のように見せるためにわざと輪郭をぼかして描いた、リヒター独特の作品も展示されてあり、やはり雑誌や本でみるよりも、本物を直接 目の前で見ると、感じ取ることが多々ありました。



■「MINIML MAXIMAL」 2001年5月4日(木) ■

今年のゴールデンウィークは、千葉市立美術館と川村記念美術館へ。ということで、 まずは、千葉市立美術館で行われている「MINIMAL MAXIMAL」へ行きました。
ミニマルアートの作品を紹介する展覧会で、ブレーメンのウェーザーブルク現代美術館が企画したものの 日本での再編制版という感じ。展覧会カタログには多数の作品が掲載されていたが、展示されていたのは その一握りであった。作品数が少ないことが残念。予算の都合があるのだろうけれど、元々オリジナルの企画構成とは かなり縮小されてしまったのではないかと?思う。
ゴールデンウィークの天気が晴れた日ではあったが、観客数は少なかった。
トキオが「ダンスフロア」という作品の上で楽しそうに踊っていたのだが、これを作者が見たらきっと喜んでくれたに違いないと 思う。
我々以外に会場にいた親子連れの子供も親も「これが美術作品????」と「?????」のオンパレードで 作品を眺めて回っていた。感じるように感じればいい。それが美術館賞だと私は思っています。 難しく考える必要はなし。作品から何かを感じ取ったり、そこから自分自身に喚起するものがあればそれでいいんじゃないかな。



■「近代彫刻 オブジェの時代展」 横浜美術館 2001年3月17日(土) ■

横浜美術館で3月31日まで開催されている「近代彫刻-オブジェの時代展」を見ました。
ロダンから20世紀半ばまでの西洋近代彫刻の歴史を概観するもの・・・という企画でした。 教科書的、わかりやすいカテゴライズされて説明されてあったので、展覧会としてのまとまりを 感じました。 ブランクーシの「空間の鳥」は、美術の教科書などでもよくとりあげられている作品ですが、 それも間近で見ると、作品と照明で作られた影、取り巻く空間を体感できて、やはり実体験とは 大切なことだなぁとあらためて思います。

色々な作品をそれぞれ体系だててみていくと、学ぶ事多々です。 彫刻とは光と影を3次元に表現する芸術。正面から、横から、後ろから、斜めから、下からと 色々な角度から作品をながめ、その光と影から作られる輪郭やテクスチャーを追っていくと、 作家に近づいた気分に浸れます。

しかし、入場料1000円ってのは高いっすよね・・・。どうにかならないものか。



■「スヌーピーとチャーリー・ブラウンの世界」 2001年1月27日(土) ■

大丸ミュージアム・梅田で開催している「スヌーピーとチャーリー・ブラウンの世界」展を見てきました。 漫画「ピーナッツ」の誕生50周年を記念したもので、原画約60点を中心にリトグラフの作品やセル画なども 展示されていました。
スヌーピーを原画のタッチで間近で見るということもなかなか貴重な体験で、 作者のシュルツ氏の筆使いやスクリーントーンの貼り方、ホワイトの入れ方などなど、ちょっと漫画をかじったことが ある人にしてみれば、なかなか楽しめるものでした。
やっぱり、世界的に愛されるキャラクターの原画の筆のタッチも独特の味わいでした。
かなり観覧客で一杯の会場でした。暖房が効いていたので、一緒に連れて行った1歳の息子にはちょっとしんどかった ようです。
現代美術ではないのですが、名作と言われるものの原画を見るということもなかなか良い勉強になりました。



■「太田 三郎 展」 大谷記念美術館 2000年12月23日(土) ■

西宮大谷記念美術館で行われている太田三郎さんの個展に行ってきました。
太田さんの作品は、非常にコンセプチャルなもので河原温の影響大のような感じではあるのですが、 しかし、その数と量、仕事の時間、経過を考えると、やはり「継続は力なり」で「太田さんの作品」として成立していてなかなか 見ごたえがあるのです。
切手を素材にした作品はもちろん。植物の種子のシリーズの作品やその他新作の羊(ドリー)の作品などもありました。 羊の作品も納豆の作品もそこにある現代の科学に対するアンチテーゼ的コンセプトは深いものがあります。

私は6年前くらいに、種子のシリーズの作品を個人的に2点購入しました。 太田さんの素朴さや優しさ、自然に対するまなざしを感じるものです。
あと、クローバーの柄のレターセットが大のお気に入りで、今回も2組買って帰ってしまいました。 時々中に、四葉のクローバーが混じっている...といううれしい偶然があるのです。



■「安斎重男の眼 1970-1999」 国立国際美術館 2000年12月2日(土)■

千里万博内の国立国際美術館で12月17日まで開催中の「安斎重男の眼 1970-1999」展に 行ってきました。

安斎氏は現代美術の現場を記録しつづけてきた人で、現代美術の展覧会があればひょっこりと現れ 作家や作品、作品設置現場を写真を撮られてきています。今回の展覧会では、1970年から1999年までの 現代美術の展覧会などでの制作現場や作家や作品を撮影した写真が約2500枚ほど展示されていました。 それをみるだけで、その30年間の現代美術の動向を垣間見れるような感じです。 「あれ!この人が写ってる!」という楽しみもあったりしました。(デヴィッド・シルヴィアン、ピーター・バラカン、 デヴィッド・リンチ、デヴィッド・バーンなどなど)

あと、「FREEZE」という一連の作品で、100人の美術関係者(作家や画廊関係者など)の肖像写真を 展示されていました。 その説明書きの中で、「ライカで撮影するのはシャッター音が小さくて相手がいつ写真を撮られたのか 意識しないですむので」というようなことが書かれてあり、ふーんなるほどと思った。 展示された100人の美術関係者のうち7-8割の方を名前もしくはご本人を知っているので、個人的には別の 意味で楽しめたのでした。

やはり30年という時間の蓄積はそれなりの力となって見る人をひきつけるものがありました。 とても興味深い展覧会でした。土曜日というのに、入場者が少ないということに、日本人の美術に対する 偏愛を感じたのでした。偏った愛。。。片やフェルメールの展覧会は2時間待ちなどというのに…何かどうも納得できないものが 私の心の中にあるのです。
日本の公共の美術館の入場料が高すぎるために敷居を高くしているのでは? よって、よほどの「みもの(フェルメールのように)」ではないと足が遠のいていくのが現状なのか?などなど、頭の中で色々考えるのでした。 (断っておきますが、私は近代美術ももちろん大好きです。)

強制するのも、されるのも大嫌いだけれど、もっと足を運びやすい現代美術の展覧会のありかた。。とは?と、考え込んでしまいます。



■「エドワード・ホッパー展」 福島県立美術館 2000年9月10日(日) ■

ホッパー展に行って来ました。
渋谷の文化村での期間中に本当は東京に行くつもりだったのですが、トキオが 初めての病気(突発性発疹)にかかったので、あえなく断念。 ってことで、福島県立美術館まで足を伸ばしました。 美術館自体もとても広大な敷地に恵まれた、広広とした美術館で、なかなか よかったのです。

展覧会も、作品点数が多く、見ごたえもあり満足しました。 ただ、NYを舞台にした作品が来ていなかったのが残念。 あの、独特の暗い感じが、ホッパーの作品の中でも好きなので、それが生で 見られなかったのは残念でした。
われわれ家族は、10月の広島の巡回にも追っかけする予定なのです。

同じ展覧会も、美術館(箱)が変わると、また違ったおもむきになるのです。 顕著な例が、10年ほど前のロバート・メープルソープ展でした。 水戸現代美術館で見て、「おぉ!すごい!」と感動したのですが、それが 滋賀県立近代美術館にいってみると、同じ作品なのに、なんだか、水戸で見たときの 印象と違うのです。 やはり、壁や床の素材や色。フロアープランや採光などというのも展覧会の 印象にとっては大きな要素です。



■ 「新潟妻有アートトリエンナーレ」 2000年9月9日(土)■

日程の都合で、滞在時間はわずか1時間弱もなかった。 カタログとはがきを購入して、数点だけ作品を見ただけとなった。 あまりにも、多数のアーティストの参加。そして、その作品が点在していること。 また、地元の一般の人にはあまり知られていなかったので、 道をたずねても、すぐには行き着けなかったのです。

うーん。やはり最低でも2泊3日くらいで、ゆっくり見たかったです。 ジェームス・タレルの宿は、また機会あれば泊まりにいきたいけれど。



■ 植田正治写真美術館 2000年8月14日(月)■

鳥取県大山のふもとにある高松伸設計の美術館。 鳥取郷土の写真家 植田正治氏の作品が収集された美術館である。
写真は構成写真と呼ばれる分野だそうだが、地元鳥取の砂丘での写真や、 地元の子供の写真などが撮られていた。つくりこまれたシュールレアリズムという感じが した。

後日、シドニーオリンピックの民報の番組で福山雅治がこの美術館に訪れているシーンが あった。CDジャケット撮影で知り合い、その後懇意にしてもらっていたようだ。