■ 気ままにShort*Short

■ Short*Short Vol.10 [ 2001/03/24:本に埋もれて暮らしたい] ■

本が大好き。
読む事も、眺める事も。
初めての本との出会いは、物心ついた頃から。絵本だった。松谷みよこさんの絵本や、 幼稚園で毎月渡される「ひかりの国」の本など。小学生になると、毎日のように図書室に通っていた。 図書室にある本を全部読破したいなどとだいそれた夢を描いていた。

幼稚園くらいから漫画もよく読んだ。萩尾望都さんの「ポーの一族」などは異文化へのバイブルだったかもしれない。 小学校を卒業するころには、漫画が数百冊あったのだが、ほとんどが古本屋さんへと売られてしまった。 (今考えると、もったいないことをしたと後悔)。 小学校に入学して教科書を初めて手にした時、うれしさのあまり何度も何度もページをめくっては眺めていた。 そういえば、卓上辞書をめくることも大好きだった。その後、英英辞書をめくることも大好きになった。 知らない単語に出会うと、その意味をしりたくて単語を引く。その意味がまたわからなくて、さらに単語を引くというような繰り返し。 それがたまらなく好きで。で、結局、最初に調べていた単語がなんだったけ?とわからなくなることも暫し。

本屋が大好きで、高校生になってからも、学校から自宅までの途中にあった国道沿いの本屋に毎日のように通っていた。 多感な十代は、小説、哲学書などを読みあさっていた。
大学に入り、美術書、展覧会カタログなどを集めるようになった。 一番のお気に入りは、ボルドー美術館のカタログ。画廊に勤務していた頃に、なけなしのお給料をはたいてボルドー美術館のカタログを全て 取り寄せて購入した。

本屋、図書館が大好きで、本の背表紙を眺めているだけで幸せな気分になる。
一時期、仕事をやめて次の仕事がみつかるまでの数ヶ月を毎日のように大阪中ノ島の中央図書館に通ったことがある。 とてもレトロな建築の図書館で、蔵書数も大阪府内で屈指。そこで、日長一日本を読み、お昼に中ノ島公会堂の地下にある これまたレトロな食堂で、「ハイシライス」(ハヤシじゃなくてハイシなのだ。)を食べ…という生活をしていた事がある。
今となっては懐かしい思い出。あのレトロな食堂は今も健在なのだろうか?もう6年ほど行っていない。

床一面に大好きな本に埋もれて日長一日本を読むだけの生活を送りたいものだと夢想することもある。
アイルランドのトリニティカレッジに行ったときにも、天井までの高さの本棚が整然と並びその中にきっちりと立てられた本、本、本、本、本を見て、 単純に気持ちが良かった。

本が好き。多分、本の重さや、大きさや、紙の質や、そういった物質的な面も含めて本が好きなのだと思う。

友人宅や、知人宅など他人のおうちにお邪魔しても、ついつい目がいくのが本棚の中の本の背表紙。 そこにある蔵書を眺めるだけで、その人の趣味思考を垣間見るような気になる。
雑誌なんかで、作家や、著名人のおうちの蔵書拝見なんていう特集だったりすると食い入るように 見てしまう。ましてや、私が尊敬、敬愛する人(サカモトさん何て特に)の蔵書などといったら、同じ本を手にとりたいと思い購入してしまうのである。

あぁ、本に埋もれて暮らしたい。