■ 気ままにShort*Short

■ Short*Short Vol.2 [ 2001/02/01:常連になるお店 ] ■

私とダンナが一緒に楽しめるお店がある。
結婚前はよくコンサート帰りに一杯という感じで立ち寄っていたお店。
イギリスのパブそのもののようなお店で、ダーツがおいてあり、いつも常連のお客さんたちが 楽しそうにダーツをしている。
イギリスのパブそのもののようなので、メニューにはもちろん「フィッシュ&チップス」もある。 我々がいつもオーダーするのは、フィッシュ&チップス、特製サラダ、鴨とねぎ焼きにギネス黒生のハーフ・アンド・ハーフの ピッチャーで(2人でピッチャー2杯は確実)。
ここのフィッシュ&チップスが結構イケル。大きさは本場イギリスよりは小さ目だけれど、味は美味しい。 できたてのホヤホヤでアツアツ。ちゃんとビネガーを瓶ごともってくるあたりもイギリス風。

ちょっと話はそれるけれど、 イギリスに1年居たときは、ほんとにワラジのようなフィッシュ&チップスを食べて胃がもたれそうに なったのだが。。。(同居人が買ってきてくれたものが、特にまずかったと思うのだが。。。しかし 彼は生粋のイギリス人であった。美味しそうにそのワラジのようなものにケチャップをたくさん かけて食べていたのだが。) その思い出を背負ったまま、一昨年の新婚旅行でロンドンに行ったときにエンジェルのフィッシュ&チップス専門店で食べた のは珍しく美味しかった。地元民でにぎわっているお店であった。お酒持込OKなのもなかなか良心的で イケているなぁと感じたし、そこの店主のおじさんがわざわざ声をかけにきてくれる気さくな感じも 好感をもてた。

話は戻って、我々お気に入りの日本の英国風パブの話のつづきを。
そのお店はオフィス街にあるので、平日の夜は会社帰りのサラリーマンが多いのだが、逆に 土日はすいているので、先週の土曜日に久しぶりに子連れで立ち寄った。
2月末には引越ししてしまうので、しばらく数年は立ち寄れない。なんとなく寂しい気持ちもあり、 ダンナと息子と3人で記念に立ち寄ったのだ。そういえば、この前来たのは、結婚式間近のころだったけ。

イギリス風パブなので、はっきりいって子連れには似つかわしくない場所なのだが、土日でお客さんが少ないだろうということを 見越しつつもおそるおそる店内に入った。
スーツ姿の男性が2人、ほろ酔い気分で楽しそうにダーツに興じているのだが、我々がベビーカーを押して お店の中に入っていっても怪訝な顔ひとつ見せず、逆に笑顔で迎え入れて奥の席まで案内してくれる。 常連同士、「同じ釜の飯」を食っているというような親しみがそこにある。
ということで、そのうちの一人の年取ったほうの40代くらいの男性が忙しいスタッフにかわってオーダーをとりにきてくれた。 「すみません子連れで。。」と一言かけると、「いいよ。いいよ。」と気さくな返事。
そうこうすると、どこかに出かけていたらしい オーナーがお店に戻ってきて、子連れできたことに喜んでくれる。子供が手持ち無沙汰だろうからと、楽しめそうなものを もってきてくれてプレゼントしてくれた。
子連れで恐縮している我々だったが、さらに恐縮。本当にその心配りが温かく、うれしかった。 (うれしさのあまりお酒がすすんで、2人でピッチャー3杯もあけてしまったのだが。)
温かく和めるお店、だからやっぱりまた来たくなる場所なのだ。
もちろん、イギリス好きにはたまらない場所でもある。 付け焼刃ではない本当にイギリスのパブを愛しているというお店なので。
帰り際に先ほどの40代の男性客に、「3年後に関東から戻ってきたらまた子連れできますが、息子にダーツを教えてやってくださいね。」 と、話し掛けると、「いいよ、あと20年はここにダーツしにくると思うし。」と陽気に答えてくれた。 「えー!20年ですか!」と笑うと、「20年くらいはまだまだ。当然!」と笑いながら返してくれた。 (この感じは、関西人特有の気さくさが醸し出しているのだが。)

3年後に関東から戻ってきたら、また子連れで行こう。
いつもの席でいつものメニューで。