■ 少子化?それでどうするニッポン 2000年9月記


先日発表された合計特殊出生率は過去最悪の1.34であった。
今や日本では、少子化にはどめをかけようと政治・行政でも対策案が練られている。 (昨年発表された新エンゼルプランや厚生省白書などの具体的内容については、厚生省の ホームページで閲覧できます。)

例えば具体例として、育児休暇中の手当て支給率を引き上げる。保育所の民営化をすすめる。 児童手当ての所得制限を緩和する、児童手当ての支給対象の拡大などである。
もちろん、日本だけではなく先進国における共通の悩みとなっているようだ。しかし、他諸国においては、子供を産み育てる環境整備が 日本よりもはるかに先をいっているようであるし、育児に男性も率先して参加するという姿勢がみられる。 最近イギリスのブレア首相が第4子誕生に際して育児休暇をとるという発言をされ現実に2週間の育児休暇を とられたのである。 アメリカにおいては、敏腕の報道官が育児に専念するために報道官を退任するということが話題になっていた。

そんな話題のなか、日本の国会議員の橋本聖子さんは産後1週間で議会に参加、職場復帰されたようだ。 これは、同じ女性の立場として、何か疑問を唱えたくなる話である。現在、「子供を産み育てる」 環境整備においても働く女性が育児休暇を気兼ねなく当然の権利としてとり、スムースに職場復帰 できるようにということで育児休暇中の手当て引き上げなどの具体策が決定してる中で、 出産後1週間で職場復帰するということを公人がまざまざと世間に しらしめたら、それこそ出産は病気ではないのだから、育児休暇を十分にとらなくてもいいのではないか?という 勝手な解釈をとられはしないのか?と心配になった。

男女雇用機会均等法が制定されているとはいえ、それは雇用する際の男女の雇用機会を均等するであって、 妊娠・出産する働く女性についてのケアや母性保護については当然の権利として女性はより強く主張すべきだと思う。 将来の国家の担い手である子供たちを産み育むのに、母親となる女性が安心して子供を身ごもれるような環境整備を して欲しいと切実に願う。 また、企業などにおいても子供をもった女性の再就職に対して門戸を開いてほしいものである。就職の面接に 来た既婚女性に対して子供の有無を問うことよりも実質の仕事に対する能力評価をしてもらいたいと思う。 それには、仕事に従事していても安心して子供を預けられる保育所の整備・改善を早急に対応してほしい。

保育所についても、ようやく「民営化」という方向に流れてきているようだが、 現状は、認可保育園に入れないかなりの数の待機児童が全国にいるという。保育所に入園するに際して、 働きにいくことで子供を預ける場合、働かなければ養育が難しいということなどが優先順位を決める ことになるようだが、そもそも保育園を希望する人に対して全員が入所できるくらいの定員枠を 設けていればと思うのである。 もちろん、母親の中には、ただ遊びに出たいがために子供を保育所に預けようなんていうふざけた 考えを持つ人もあらわれるかもしれない(現にいるらしい)が、それに対しては申請の段階で就職証明や内定証明などの 証拠と面接を実施して判別できないものか? より、子供を育みやすい環境を行政が生み出していけるのではないか?

小児救急医療にしても。 年々、小児科医は減少しているらしい。手数がいるわりに、大人ほど投薬料や入院費などの お金をとれないかららしい。 総合病院においても、小児科、産婦人科がなくなっていっているという事実もあるようだ。 小児救急医療などは、国がバックアップするべきではないか? 子供の病気は急変し重篤化する傾向があるということを大人の病気とは、差別化するべきである と思うのである。

とにかく、「おかみ」は上から物事を見て判断せず、現実の問題点について目を向け、 当事者の立場になって事態を改善していってほしい。 少子化による弊害をこうむるのは「おかみ」なのである。税金を納める労働者が減ることは、 国家にとっても一大事である。 とはいえ、我々女性は、国家のために子供を産むという訳でもないし、妊娠・出産を期に 社会から放り出された主婦層の雇用拡大によって、労働力を安価におぎなおうとも考えているかもしれないが、 女性の労働力は国家や企業の雇用調整に使い捨てされるのもしゃくである。 我々当事者も、もっと声を上げていかなければいけないのかもしれないし、権利を主張するからには、 義務も生じるし責任も伴う。しかし、自己実現にともなう苦労は苦労ではない努力は惜しまない。