序章  「トンネルを抜けると、そこは普通の田舎だった」

 

 

列車は日本一長いというトンネルを抜け、かの「雪国」の舞台にもなった新潟県の温泉街・越後湯沢に入った。

おせじにも雪国とはいえなかった。うっすらと雪が積もる、ふつーの田舎である。

白銀の世界を期待していた気持ちが急速に萎えていく。

 

「・・・あー・・・」

 

「あーあ・・・」

 

今、汽笛とともに列車がゆく。ガタンゴトン、ガタンゴトン。

車窓からは、2人の男の落胆した顔がのぞいていた。

 

本編1

 

 


 

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