第十二話「グリーンマット」
放送日:84年6月14日
脚本:塚本裕美子
絵コンテ:菊池一仁
演出:菊池一仁
作画監督: 安彦良和
ニューヨークのGAIL本社からホワイトハウスに向かう、ロイ・バルボアは面白く無い様子。
オウストラル情報封鎖の見返りとしての、各国への資源提供が莫大な量になってしまっている。早々にプロジェクトが成功しなければ収支がつかないのである。
「ロッド・・・人型を捕らえておれば、重役の狸どももおとなしくなったものを・・・。あれをオウストラルにやったのは間違いだったか・・・?」
グリーンマットの広大な湿原を進むビーグル。
「わぁあ・・・綺麗・・・。」
「オウストラルにもこんな所があったんだなぁ。」
「GAILのやつら、まさかこちら側に抜けたとは思うまい?」
「まったく・・・ゴーグのおかげだ。」
そんな中、地図とにらめっこをしていたDrウェイブは快哉を叫ぶ。
「やった!見てくれ、謎が解けたんだドリス!」
Drウェイブの話では、さっきのトンネルは島の隆起による断層前まではもっと先まで続いていたという。そしてそれならば、ゴーグの目的地は、「馬の鞍」と呼ばれる山間部、地下300mだという。
「うむ・・・それが本当だとすると・・・こりゃあ、やっかいな事になるな?」
一方、レイディとともにダーク・ベイ付近を捜索するアロイ・サラ。
「そいでさ、その大きな神の使いゴーグの友達がさ、俺の友達の悠宇ってヤツなんだぜ。」
「・・・何でまた、その巨神と悠宇って子が友達になったんだろうねぇ?」
「そこまでは知らないよ。」
そのうち、ビーグルを見失ったという情報がGAILの無線から入る。
ビーグルではDrウェイブがおおはしゃぎ。目的地へ早く行きたい、嬉しいと喜んでいるが、ドリスに一喝されてしまう。
「もーーっ!ちっとも嬉しくないわ!ああ・・・よりによってGAILのメインストリートが終点だなんて・・・。」
ビーグル外装にへばりついたヒルを焼いて落とす作業をしていたトメニクは、この時身に付けていた鈴を川に落としてしまう。
その鈴を見つけたアロイとサラ。
「アニキのだ・・・どうしてこんなところにあるんだ?もしかしてアニキ、崖のこっち側に抜けたのかな・・・?・・・この川をさかのぼってみよう。何かわかるかもしれない!」
アロイの指示で川をさかのぼるレイディの船。デヴィがレイディに聞く。
「大丈夫ですかね・・・?」
「・・・悠宇って子さえ手に入りゃ、こっちのものさ。こう上手く運ぶとはねぇ・・・フッフッ・・・」
一方、夜が明けても進むビーグル。突然、何かに気づいたゴーグが空を見上げ、唸り声を上げる。
「・・・!」
「悠宇、どうしたの?」
「何か来るみたいだ・・・ビーグルを島の陰によせて!」
「どうしたんだ?」
「何か近づいてくる!」
隠れると、木々の合間から飛行機が飛んでいくのが見える。
「GAILの哨戒機だな。」
「この辺りはヤツらの巡回コースに入ってるんだろ。」
「どうします?」
「昼間はうかつに進めん。どっかで休んで夜になったら移動しよう。」
こうして、ビーグルとゴーグはいったん鬱蒼とした森に、川からあがる。
「しばらく休むとしよう。このところ満足に寝ていないからな。」
ビーグルをカモフラージュする作業が終わり、一息ついている悠宇に、ドリスは微笑みかける。「魚ぁあ〜〜っ!?」
「しーーッ!ダメよ。聞こえちゃうじゃないの。」
「あ・・・い、いけないよ、そんな。」
「だって・・・さっき大きいの見たのよ。食べられそうだったわ。アタシ料理は上手いのよ?フライもいいけど・・・ムニエルなんて素敵ねぇ・・・(うっとり)。」
「だ、ダメだよ、危ないじゃないか。それに船長に叱られるよ・・・。」
「アラ?遠くに行かなけりゃいいんでしょ?この辺をちょっとまわるだけよ。」
「けどさ・・・」
「何よ!いくじなし!わかってるわ。食べたくないんでしょ、アタシの作ったムニエルなんか!」
「あ、い、いやドリスそんなことないけどさぁ・・・」
「フン!いいわよ、一人で行く!あたし」
「ま、待ってよ〜」
「来てくれるの?好きよ。」
こうしてピクニック気分で魚とりに出かける二人。なんだかんだ言っても悠宇はまんざらでもなさそう。
だが、そのうち日が暮れ、とたんに不安になった二人。
帰路、 何かの気配を感じた悠宇。敵かと思い、銃をつきつけたのは、なんとアロイである。
抱き合って喜ぶ二人。
アロイから話を聞いた悠宇は仰天する。
「めちゃくちゃだよ!あんなヤツら連れてきて、最悪じゃないか!」
「え・・・そんなに悪いヤツなんか?アイツら・・・」
「悪いなんてもんじゃないよ!ヤツら、僕たちの後をずっと追ってるんだ。何度も命を狙われたんだよ!」
「え・・・あ・・・オレ、またエライことしちまったんだな・・・ゴメンよ・・・」
事は一刻を争う、とビーグルに合流しようとした悠宇たちだったが、すでにクーガー・コネクションに包囲されてしまっている。
「言うこときかないと、この子の命が無いよ・・・?」
「ち・・・畜生・・・」
「フフ・・・ひさしぶりだね。ボウヤ!」
こうして悠宇とドリスの二人は、縄で縛られレイディの船で連れ去られてしまう。
「手間をとらせたわね・・・でも苦労したかいがあったわ。ふふ・・・うふふふふふ・・・・」
TUNE IN TO THE NEXT
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感想
ジャングル冒険!の回。
ゴーグの活躍は、川を歩いている時底なし沼に足をとられてブクブクと沈んでしまうくらい。
しかし、この回。緑の濃さ、沼の描写、森の深さなどに関しては、見方によっては「もののけ姫」 以上の演出効果を出しているので、あたかも自分が探検しているような気分になる。私事で恐縮だが、昔カヌーで北海道の原生林(風蓮川)を下ったときのことを思い出してしまった。
見所としては、あとはドリスのはしゃぎっぷりだろうか。茶目っ気たっぷり。今風に言うと、なんというか萌え?である。