第十五話「旅の終わり」


放送日:84年7月12日
脚本:辻 真先
絵コンテ:菊池一仁
演出:菊池一仁
作画監督: 土器手司


夜霧の中、洞窟の前に立つゴーグ。

Goooorg・・・と、静かな唸りを上げると、再び歩き出す。

「また歩き出した・・・。」
「ああ・・・洞穴?」
「奥に泉があるんだ、きっと。」
「入るのかしら?」
「・・・たぶんね。」

洞窟に消えていくゴーグ。

そして、それを追うようにGAILは洞窟の前に集結する。

「あそこに入ったか・・・。あの穴は?」
「もちろん、調査済みです。解せませんなぁ。中は行き止まりで泉があるだけのはずですが・・・。」


一方、GAILの執拗な攻撃を受けるビーグル。レイディが根を上げ、 「早いところ降参したほうが、身のためだと思うけどね!」と叫ぶも、船長は「よけいなお世話だ。」と切ってすてる。

「煙幕弾だ!四方に張れ!・・・今のうちだ、ここから離れろ!エンジンを切れ!」
「こんな子供だましにひっかかってくれるかねぇ?」

ともかく、一旦はGAILの目をくらますことに成功した一行。だが、迂闊には動けない・・・。

「トメニク、アロイたちとおまえは、ここに残ってくれ。」
「あんたは?」
「俺は、ゴーグを追う。」
「一人で?!」驚くサラ。
「Drが一緒に来る。なぁ!」

突然話をふられたDr。最初は笑ってお茶を濁していたが、ハタとその意味するところに気づく。
「ぼくがーーっ!?」

「あははは!頼りになるだろうね、さぞかし。」
「おまえは黙ってろ!俺が行くよ〜・・・。」
「いや、おまえたちは残れ。」
「アニキがいるだろ〜?」
「いや、やつらを見張るには一人ではちいと手にあまる。」
「ふん、ずいぶん信用されたもんさ。」
「それにDrは来るなと言ってもついて来るだろうよ。なにしろ、待ちに待ったお宝が目の前なんだからな。なぁ、Dr。」
「・・・それを言われると・・・。」


洞穴の奥。泉のほとりで悠宇とドリスはたそがれている。

「ずいぶん、遠いところに来ちゃったわね。2人だけで・・・。」
「え?・・・うん。」
「馬の鞍の真下になるのかしら。」
「たぶんね。この泉が川の源になるんだ。地図でみると、川は馬の鞍で終わっていたもの。」
「兄さんはその地下300mに何かがあるって・・・。」
「そうだね。」
「じゃ、あたしたちのいる、この地面のずっと下のほうに、それがあるのね。異星人の残した、三万年前のすごい遺跡か何かが・・・。」
「ウェイブさんの推理が正しければね。」
「悠宇とあたしが、それを発見するのかしら。」
「・・・そう、うまくいけばいいけどね。」
「発見するのよ、あたしたちが!二人っきりでよ!・・・そうなったら、TV局や新聞社があたしたちのところへ殺到するわ!うふ・・・うふふ!」
岩の上にピョンと飛び乗ったドリス。
「”ミスター悠宇、ミスドリス、ご感想を”。”はじめて異星人の文明に接したときのお気持ちは?”。”お二人がお知りあいになったのはいつですか?”。””そのときどんなお気持ちが”。”今どんなご関係ですか?”・・・ウフ・・・・やだぁ、まるでTVタレントみたーい!あははは!」
「え?あ、ははは・・・」
「うふふ・・・ふふ・・・うう・・・ひっく・・・」
「?・・・ドリス、どうしたんだ?」

「・・・うう・・・・悠宇!怖いの!どうなるの、これから・・・」

飛びついてきたドリスを抱きしめ、悠宇は励ます。

「へ、平気だよ。ぼくが、ついてるじゃないか・・・何かあったって・・・ゴーグが、きっとぼくたちを護ってくれるよ・・・!」


一方、船長とウェイブ博士は、GAIL兵に成りすまして洞窟に侵入しようとする。

「落ち着け・・・下腹に力を入れるんだ。」
「そ・・・そんなことしたら・・・ぼく、漏っちゃうよ・・・。」
「もうすぐだ。辛抱しろよ・・・!」

しかし例によってウェイブ博士の凡ミスで、GAILに気づかれた船長たち。銃撃戦の末、エンジン付のゴムボートを奪い洞窟へ進入する。


水の底につくゴーグ。

「ついたの?」
「どうかな・・・?」

地面が開いて、さらに下へと落ちていく。そうしてついた底から、横穴が伸びている。

「こんなところに横穴がある・・・。」
「何かしら、入り口の所が光ってるわ。」

ゴーグが横穴にあしを踏み入れると、何か閃光が走り、何時の間にか水がなくなっている。

「水が・・・無いわ・・・!」
「すごい・・・!何かの圧力で、水を押し返しているんだ・・・!」

横穴を進んでいくゴーグ。いつしか天然の岩肌は人工の回廊へと姿を変えていく。ゴーグの頭の上でその様子を目撃する悠宇とドリス。

「すごいや、こんな所があったなんて・・・!ウェイブさんの推理、当たったみたいだね!」

いつしか回廊は終点につく。そこは巨大な人工の大空洞であった。

「わあ・・・。」
「これだわ・・・これなんだわ。兄さんが夢にまで見たオウストラルの秘密・・・。今ここに兄さんがいたら、どんなに喜んだかしら・・・!」
「ん・・・?」

ゴーグの足音以外に、何か巨大なものの移動するような音を聞く悠宇。

「ねぇ、ドリス何か聞こえるよ?」
「私には何も・・・。」

次第に大きくなる音。

「ほら、ね・・・。」
「ああ・・・ ああ! あそこ!」

ホールの中央の建築物から現れたのは、巨大な影。


それはまさに、紫色のゴーグであった・・・!

「ゴ・・・ゴー・・・グ・・・?」

 

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感想

ついに「起承転結」の「転」に突入する!

ゴーグの前にマノンタイプが始めて姿をあらわし、同時にGAILがオウストラルの秘密に接近する、いわば全編通してのターンポイントとも言うべき回である。

それゆえに、嵐の前の静けさ、とも言うべきような「これから何かが始まる・・・」という暗喩に満ちた演出が多い。とくに、ドリスと悠宇との会話では、「不安に押しつぶされそうな二人」というのが非常に個性的かつ丁寧に描かれている。必見だ。また、そのカラーのためか、ゴーグが暴れるシーンは一つも無くひたすら歩くだけ・・・。ロボットアニメとしては反則ものの演出であろう。

ちなみに、この回、全偏通しても珍しく、作画監督を土器手氏が手がけている(シリーズのほとんど安彦監督自らの作画監督)。 気のせいか、いつもよりちょっとドリスのスタイルがいい。



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