第十八話「迷宮に眠る」
放送日:84年8月2日
脚本: 辻 真先
絵コンテ: 浜津 守
演出: 浜津 守
作画監督: 安彦良和
永い眠りから覚めた無数のラブルガーディアンが、世界に向けて侵攻を開始する・・・そんな光景を想像したドリスは悲鳴をあげる。
「そんな!イヤ!イヤよ悠宇!そんなおそろしいことなんて〜っ!」
「ウソじゃないよ!その気になればあの人たちは、地球の人間をみな殺しにすることだってできるんだ!早く探そう!マノンさんを!」
「ええっ!?」
「二度と・・・あんな乱暴しないように、何とか頼まなくちゃ!」
「・・・イヤ!こんなところ、はやく逃げましょう!」
「そんなわけにはいかないよ!マノンさんに会って、あやまるんだ!」
「あやまる・・・?」
「そうじゃないか!GAILのやつらが勝手に入り口を壊して攻め込んできたんだよ!?」
「そりゃそうだけど・・・言うこと聞いてくれるかしら?」
「そんなこと、やってみなくちゃわからないよ!」
とにかく遺跡の奥へ奥へと進む悠宇とドリス。いくつもの回廊と、分かれ道の奥でワナにかかった2人は、ただっぴろい原野のようなところに転移させられてしまう。混乱する2人。巨大な根っこのモンスターが登場し、追いかけられる。必死で逃げる2人は、原野の果てで何か透明の壁のようなところにおいつめられてしまう。
「だめだ!ここ何かあって・・・畜生!」
「きゃああーーっ!」
絶対絶命・・・ところが怪物や破片は2人の体を通り抜けて、消える。
「消えちゃったみたい・・・。」
「すごい・・・」
「何よ、これ・・・」
「ホログラフだよ、たぶんね。あれは立体映像だったんだよ。」
「どうして、こんな仕掛けをしたのかしら・・・」
「もしかしたら・・・?・・・ああ!」
悠宇は眼前の光の壁の向こうに、マノンの気配を感じるのだった。
『とうとう来てしまったか・・・。』
光の壁の中で一人ごちるマノン。
「ここだよ、きっと」
「この先にマノンさんがいるの?」
『ひきかえせ』
悠宇の頭にテレパシーで語りかけるマノン。
「悠宇?」
『帰れ。帰るんだ。』
「マ・・・マノンさん、おねがいします!僕の言う事を聞いてください、おねがいですマノンさん!・・・GAILが乱暴なことしてごめんなさい。でも、地球人は、あんなやつらばかりじゃありません!」
『これ以上近寄るな』
電撃が悠宇の体を吹き飛ばす。
「わああ!」
「悠宇!なんてことを・・・!」
『警告はしたはずだ』
立ち上がり、再び光の壁に近づく悠宇。
「聞いて、マノンさん!」
電撃が再び悠宇の体を撃つ。だがそれに耐えながら叫ぶ悠宇。
「ぼくらには・・・あなたと戦うつもりなんて・・・全然ないんだーっ!」
悠宇の根気に負けたように、電撃が止まり、光の壁が消え、マノンの姿が現れる。
『・・・不幸な出会いだった・・・。』
「・・・はい。で、でも、やり直せばいいんです!」
『・・・遅い』
「遅い?なぜ?」
『彼らの挑戦が、私の中で揺れ動いていた秤を一方に傾けた。我々がこの星で生存しつづける条件、それをハッキリと示してくれたのだ。それは・・・君たち先住民を・・・力でおさえることだ!』
「!?ぼくたちを征服するっていうの・・・?話し合ってください!ドリスのお兄さんとか、いろんな国の人たちと!」
『無駄なことだ。すべては予想されていたとおりだった・・・。』
「きっと、戦わずにすむ方法があるよ!」
『・・・時間の浪費はよそう。』
再び閉まる光の壁。
「マノンさん!?マノンさん・・・マノンさん!マノンさーーん!!」
(ゼノンよ・・・私たちの誰が、正しかったのだ?)
光の壁の向こうで熟考するマノン。30000年前の記憶がよみがえってくる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
雪原。3人の人間を見下ろすマノンタイプに乗ったマノン。
「待て!許さんぞ、私は!・・・どうしても行くというのか!?統制を乱すものはもう同胞では無い!」
ランチャーを引き抜き、3人に銃口を向ける。だが、その前に立ちふさがるゴーグ。
「ゼノン!?」
「彼らは何も持たない!武器も、ガーディアンの護りも何も無い!それを踏みにじることができるのか!?マノン!」
「我々は時を渡るんだぞ!?残されたものの、それがつとめだと、みんな決めたはずだ!ゼノン!」
逃げる3人、それを追うように去っていくゴーグとゼノン。
「行くなゼノン!ゼノーン!ゼノーーン!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ゴーグを整備・調査していた端末からの通信で、回想は中断される。
(・・・?・・・信じられん・・・。ガーディアンに異常は無いと・・・。あの地球人の子を何故ガーディアンは受け入れたのだ?何故ここへ帰ってきた・・・?)
「たいへんだ!たいへんだよ、ドリス!人間が、滅ぼされちゃう!はやくみんなに知らせなくちゃ!」
「でも、ここから出られるの!?」
遺跡を走って逃げていく悠宇とドリス、障壁を閉じられ、捕獲の為のマシンがあらわれる。だが、マシンは悠宇の体に触れると大人しくなってしまう。
その様子を見ていたマノン。(まさか・・・あの少年・・・)と驚きの表情を見せる。
マシンから逃げ延びた2人は、次に、ガラス製の棺の並ぶ静かな部屋に出る。
「なんだろう・・・これ・・・。」
ガラスを覗いたドリスは悲鳴をあげる。ガラスには人間が眠っているのだ。
「いやぁぁっ!何これ・・・!?」
「・・・マノンさんの仲間だ!」
「ここ、もしかして・・・。」
「冬眠室だよ、きっと・・・こうして3万年の間この人たちは、ずっと眠りつづけていたんだ・・・。」
さらにマシンに追われ、ついにガーディアンの整備室に到着した悠宇とドリス。
マノンはそれを見て 『捕らえろ、ガーディアン!その2人を!』 と端末から命令を下す。不気味に光る瞳。
そんなことも知らず、悠宇とドリスは、再会したゴーグの元に駆け寄っていく。
「ゴーグ!」
「ああ、よかった〜・・・」
「ゴーグ!ゴーグ!・・・はっ・・・もしかしたらゴーグは・・・。」
ゴーグは、巨大な体躯を動かし、2人に向かって腕を伸ばす!
「ゴーグ・・・おまえはやっぱり・・・!」
・・・gooorg・・・・
優しげな唸りをあげて、手のひらを差し出すゴーグ。
「大丈夫だよ、ドリス!」
「本当に?」
「ああ、心配しなくても、ゴーグはもとのゴーグさ!」
「そんなことが・・・」としばし絶句するマノンだったが、すぐに気を取り直して「出すわけにはいかん!」とマノンタイプを出撃させる。
広いホールに出たゴーグは、マノンタイプと対峙する。
「ああ!」
「ぼくらを出させないつもりだ・・・。」
GOOORG!
唸りを上げるゴーグ。怪しく瞳を光らせるマノンタイプ。
「た・・・戦う気だ。」
「ゴーグ、勝てるかしら?」
「・・・勝てるさ・・・。」
『・・・無駄だ。武器を捨てたおまえが、私に勝てるものか・・・!』
がっぷり手4つになるゴーグとマノンタイプ。
「勝つんだ!ゴーグ!」
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感想
ともかく、この回、「悠宇」「ドリス」「マノン」以外の登場人物は一切出ず、舞台もずっと遺跡の中・・・と少々特殊な回である。
あらすじは単純で、前回おお暴れしたマノンさんに悠宇が必死に説得するも、聞く耳もたぬ!というもの。
ただし、ゼノンの離反の一部始終が回想シーンで流れるなど、かなり重要な伏線も織り込まれていて退屈しない。
しかし見所はやはり終盤付近の一連の流れ。
途中のヘンなロボットとのおっかけっこや、ヘンなワナ(?)とかの演出などが、前半・中盤ともに、「悠宇とドリス=無力で逃げるだけしかできない」というのを思いっきり印象づけてくれる。
そしてクライマックス、ゴーグとの再会である。
マノンの指令、ゴーグの反応。
「すわ、ゴーグまでが敵に!?考えてみれば、それは当然だよな・・・本来はマノンさんたちのガーディアンなんだし、ロボットだし・・・」
と一瞬思わせておいてから、例の優しい「GOOORG・・・」という唸り声で手を差し出してくる、という一連の展開は、悠宇でなくともゾクゾクするシーンである。まさに「ゴーグ、おまえはやっぱり・・・!」だ。
で、最後マノンタイプとのとっくみあいで「次回へつづく!」。
この引き方には脱帽・・・こんなことされたら、絶対次回が見たくなるだろう。
そういや最近「ああっ次回はどーなんの?」と思わせるアニメ少ないよなあ。
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