第二話「西へ・・・」


放送日:84年4月12日
脚本:辻 真先
絵コンテ:鹿島典夫
演出:鹿島典夫
作画監督:安彦良和



川に逃れた悠宇たち三人は、泳いで約束の場所まで向かおうとする。

「もう泳げないよ、休もうよー。」と弱音を吐くDrウェイブ。
「がんばって!いそがないとまた来るよ!」
「その前にボクおぼれちゃうよ・・・」
「ダメなアニキ!」
だが、ホッとしたのもつかの間、GAILの刺客が2台のモーターボートに乗って銃撃してくる。
「どうするの!?」
「逃げ切れない・・・っ!」
絶体絶命の危機を救ったのは、突如現れたクルーザー。避けきれずモータボートの一台は大破する。
「な・・・なんだ!?」「畜生!」
残ったモーターボートに乗っていたGAILの刺客はライフルでDrウェイブに狙いを定めるが、引き金を引く瞬間、逆にマグナムに頭を撃ち抜かれてしまった。撃ったのはクルーザーの先頭に立つ大男。
「せ、船長だ!」

「・・・あの人が・・・船長・・・?」



「まぁ、無事で良かった。一杯おごるぜ」。

クルーザーの中で船長はDrウェイブに缶ビールを放り投げる。助けるのが遅れたのは、相手の戦力を見極めたかったからだという船長に対し、「その前に僕らが撃たれていたら?」と反抗的な態度をとる悠宇。だが、「まぁ、運がなかったとあきらめるんだな・・・」とあくまで船長は涼しい顔をしている。「GAILの網はニューヨーク中に張り巡らされている。空港は特に危険だ。」と今後の国内脱出経路を話し出す船長。

一行は電車でワシントンまで行き、そこから長距離バスでロスアンジェルス(西海岸)に出て、空路でサモアへ行くことになる。



メトロライナーの駅で、怪しい男に気がついた悠宇。船長が「におうな・・・」と言うのを聞くと、「今のやつでしょ?」

「なかなか目がきくな」
だって、映画によく出てくるもん、あんなの!」。
子供離れした洞察力を持ちながらも、子供っぽい悠宇の言動に、船長は微笑するのであった。



一方、Drウェイブを追うGAILの情報は、ラスベガスに根城を持つギャング団クーガー・コネクションの女ボス・レイディ=リンクスのもとに漏洩していた。
「レイディお嬢様・・・。」
「・・・そうかい。運が回ってきたね・・・!」



ワシントンで長距離バスに乗り換えた一行。

悠宇・ドリスは、最初は窓の外に見えるアメリカの雄大な景色に息を呑んでいたが、夕方には、長く続くバス旅行に飽きはじめる。船長はビールを飲んでばかりだが、ちょっとした機転で泣く子をDrウェイブにあやさせたりと、頭はハッキリしているようだ。

そのうちバスはラスベガスのドライブインで停車する。30分の休憩を利用してカジノに遊びに行く悠宇・ドリス・Drウェイブ。自販機でしこたまビールを買いこむ船長は「時間に遅れるなよ」。と興味は無いようだ。カジノではDrウェイブがヒートアップしてしまい、ルーレットにつぎ込んでいた。すってんてんになる直前、「8」に置こうとしたDrウェイブを制止する悠宇。「7の方が・・・」。これが大当たりで調子にのった一行はバスの時間にギリギリになってしまう。

走ってバスに乗り込むやいなやバスは走り出す。何とかセーフ。

「でも、何かヘンだ」
「さっきとお客が違うみたい」

不安になり、隣の席で寝ている船長の、顔にのっている雑誌をソっと取ってみると別人!気がつくと銃に囲まれている。

「ほほほ・・・Drウェイブ。レイディ・リンクスのバスツアーにようこそ・・・」



一方、はめられた事に気がついた船長は、Drウェイブの替え玉から強引に真相を聞き出すと、バスを降り、街道沿いのモーテルでキャンプカーを奪い、追跡を開始する。



オウストラル島の秘密をDrウェイブに尋問するギャング。

「あたしはね、ケチな島なんてどうでもいいのさ。ただGAILだけは気に食わないのさ。」



そのGAILでは、ロッドとロイがエレベーターで中枢室へとやって来ていた。ロイはホットラインでロシアの首相と会談し、ロッドを紹介する。

「わかったか、オウストラルの重さが・・・」



「もし、考え直すならこれがラストチャンスだよ。協力するか・・・それとも!」

ピンチのDrウェイブ。だが、追ってくるGAILのトラック2台とレィディのバスは交戦状態になる。2台のバスにはさまれたり、体当たりをしたりの連続に悠宇は悲鳴を上げる。

「ムチャだよ、こんなのーっ!」
「こうなったのも兄さんのせいよ!私恋もしないで死ぬのはイヤよーっ!」
「そんな、いまさらボクにそんなことを・・・」。

どさくさでレイディが落としたバズーカ砲。「ほう、しゃれた落し物だ」と、それを拾ったのは追ってきた船長であった。船長は小高い丘の上に先回り、道沿いの大岩に狙いをつける。

「おあつらえ向きか。・・・やり損じたらゴメンよってとこだな。」

バズーカの砲撃による大岩の落下で、バスは横転、GAILのトラックも大破される。

「いたた・・・」
「せ、船長!助かった!」
「さあ、行った行った。あっちの車のほうがずっと乗り心地がいいぞ」。
行こうとする船長を呼び止めるレイディ。
「おまち!やっぱりあんたかい。よくもでしゃばってくれたね!」
「いや、それはこっちが言いたいぜレイディ・リンクス。手を引かねえととんだ怪我をするぜ。この件に関してはな。」
「よく言うよ、このハイエナ野郎が。今度は誰に雇われた?」
「寝言はテメーのマヌケな部下にでも言いな。」
「・・・この仕返しは必ずするからね、覚えておきーっっ!」



キャンプカーで旅を続ける一行。だが悠宇は、ギャング団やGAILと互角に戦う船長に不信を抱いていた。

(あの船長は、何なんだ・・・何を考えているんだ、一体・・・?)

TUNE IN TO THE NEXT
THE SAME GORG TIME
THE SAME GORG CHANNEL


感想

船長登場・大活躍の回。

作品初の記念すべき死人第一号は、船長にこめかみを撃ちぬかれたガイルの刺客だった。初登場から胡散臭さプンプンの船長。ランバ・ラルからヒゲを取って、2倍の大きさにしたような印象だ。

この回も、アクションは洋画ばり。ラスト近くの荒野でのカーチェイスでは、めまぐるしく変わるカット(船長、レイディ、ガイルの刺客、悠宇の4者主観)がいやがうえにでも緊張感を高めてくれる。こういった手法は、アニメでは結構珍しいかもしれない。

しかしレイディの最後の憎まれ口。「おぼえておきーっ!」って、「ああ、こいつはドロンジョ役か。」と思わすのに十分だった。


1話前に戻る