第二十話「とらわれの巨神


放送日:84年8月16日
脚本: 塚本裕美子
絵コンテ:鹿島典夫
演出: 浜津 守
作画監督: 安彦良和


鎖にぐるぐる巻きにされ、ヘリで運ばれていくゴーグは、GAILタウンの大型格納庫に収納されていく。

「あんなことして・・・」
「乱暴だなぁ・・・!」

結局、悠宇だけがドリスたち一行とは別のジープに乗せられて連行される。錯乱するドリスをなだめるDrウェイブ。

「・・・だいじょうぶだよドリス、船長がいるよ。」
「船長!?」
「シッ・・・声が大きい・・・。船長はまだつかまっちゃいない。あの人のことだ、きっと助けてくれる、心配いらん。」
「だといいけど・・・。」


GAILの社長室に連行された悠宇は、ロッドと対峙する。

「GAILタウンにようこそ、忍者の子孫くん。ニューヨークで一度お会いしているが、お忘れだろうな?」
「・・・誰なのさ、あんた!」
Mrゴトーが割って入る。
「口の聞き方が乱暴じゃないかね?こちらの方はオウストラル支社長・・・。」
「ロッド・バルボアだ。」
「あんたが支社長・・・・。支社長?・・・じゃあ、あれは、あんたがやったんだな、なにもかも、そうなんだな!あんたって、本当にひどい人だ!何であんなことするんだよ!あんたは自分が、何をしたかわかってんの!?もしも戦争になったりしたら、それは全部あんたのせいなんだからね!」
「戦争?何のことかね。きみたちとのゴタゴタはもうおしまいだよ。田神ジュニア。」
「終わりなもんか!あんたが火をつけたくせに!」
「そうとも。そうして勝ったのはこの私だ。君たちはそろって大人しく降参したというわけだ。・・・あの人型を操れる、そうだな坊や?
「どうだっていいだろ、そんなこと!本当に、本当に大変なことになるんだよ!」
「なるだろうなぁ。」
「わかっちゃいないんだ、あんたは!」

テーブルの上のコーヒーを乱暴にひっくりかえす悠宇。コーヒーをまともに浴びたのはやはりMrゴトー。 立ち上がるロッド。

「確かにわからん。この島とか、君とか、人型とか、わけのわからんことだらけだ。きみには色々と教えてもらいたいのさ、どうやって手なづけたのかね?あの人型をだ!」
「そんなの知らないよ!・・・あんたたちはマノンさんを怒らせちゃったんだ。せっかく話ができて、そして、もうすこしでぼくたち解りあえるところだったのに・・・早く謝ってよ!でないと、みんな、地球上のみんなが滅ぼされちゃうよぉ!」

顔を見合わせるロッドとベーム。

「あの、もう一体の人型にか?」
「だから、あれはね、マノンさんのガーディアンで・・・」

Mrゴトーがコーヒーを拭きながら「ガーディアン?」と聞く。

「ゴーグのことさ。まだたくさんいるんだ!」
「ほぅ、まだあるのか!?」
「そうさ、マノンさんは宇宙人なんだ。ずっと進んだ文明を持ってるんだ!戦争なんかしたって、絶対かないっこないんだからね!」

しらけるGAILの面々。

「・・・どうやら、頭の検査を念入りにしてもらったほうが、よさそうだな。」
「本当だったら!マノンさんのガーディアンの力を見たくせに、信じないのか!?」
「話はゆっくり聞こう。だが、それは君の気持ちが、もう少し落ち着いてからにしよう。」
「そんな!・・・ぼくは・・・!」
「いいかね、君の体と頭のしくみにも、我々は大変興味を持っているのだよ。まずはそのへんを調べさせてもらうことにしようか・・・!」
「バカ!ちがうったら!わからずや!・・・・人殺し!

突然、ロッドは悠宇のむなぐらをつかむ。

「・・・気をつけて物を言いな!きさまの親父のことなら、俺は知らないぜ!この俺をそこいらのアホどもと一緒にしやがったら、もう承知しないからな・・・いいか!」


そのころ、牢屋に放り込まれたトメニク・アロイ・サラと別に、Drウェイブとドリスは、Drヘッケルの研究室へ連行されていた。

「ウォルター!」
「ようこそ、トム。うれしいよ、こんなところで会えるなんて思わなかった。」

ヘッケルの用件は、ウェイブを自らの研究チームにスカウトすることだった。
だが、Drウェイブは「そりゃあ、興味が無いわけではないが・・・ぼくにもプライドがある」と、GAILに協力することを断固拒否。
ドリスの頼みで、2人は体の検査を受ける悠宇の様子を見せられるのだった。


牢屋に放り込まれてきた船長。ボコボコに殴られている。

「船長!」
「元気そうだな。」
「つかまっちゃったのかよ〜」
「助けに来てくれると思ってたのに」
「あんまり歓迎しておらんようだな・・・先生と悠宇はたちはどうした?」
「連れてかれちゃったよぉ。・・・無事だといいけど。」
「そうか・・・。」

牢屋のベットに横になる船長。

「なにさ、のんきに昼寝なんてしてる場合なの!?」
「まぁ待て。昨日から寝てないんだ。みんなも休め。果報は寝て待てだ。」

寝てしまう船長。トメニクは窓の外の噴火する火口を見ながら、「そうだ・・・今にきっと天罰がくだる・・・。」とつぶやく。


「ようするに、とりつくしまは無いということだ。」

ゴーグの調査を進める格納庫で、Drヘッケルに渡された報告書を一瞥するロッド。

「は、はぁ。ガンマ線を受けつけないものですから、中がどうなっているのやら・・・。しかし順次探りあてます!場合によっては分解してでも・・・なんとか・・・。」
「かまわん。が、あとはしっかり元通りにしてもらわんと困る。」

「・・・輸送機の準備が整いましたが、どうなさいますか?」
Mrゴトーが報告にやってくる。
「そのまま待機させろ。」
「本社へお送りになった方がよろしいと思いますがな。あちらの方が、設備や専門家も豊富ですし・・・。」
「なんなら好きにするさ。だが、騒々しい娑婆に送り込んで、人型の秘密が全部ばらされることになっても、俺は知らんぞ?」
「・・・ごもっともですな。ではしばらく調査を拝見させていただくとしましょう。」
「そういうことだ、急げよ!先生!」

マノンゴーグの恐怖を思い出し、タバコに火をつけるロッド。

(今にわかる・・・何もかもだ・・・フッフッ・・・大層なことさ・・・)


だが、ゴーグの調査は全く遅々として進まない。どうやっても装甲にキズひとつ負わせられないのである。

「サンプルを採取しろと言われましてもね・・・。ダイヤモンドドリルも受けつけないんじゃ、レーザーを使うしかありませんが・・・やっかいなことに継ぎ目が見当たらんのです。おそらく、可動時には可塑性となるような物質が、関節部に用いられていると思います。しかし・・・・これはまったくカルチャーショックですなぁ・・・。」

格納庫の大型トレーラーに鎖で縛り付けられたゴーグ。その姿と同じようにCTスキャナーに縛り付けられ、麻酔を打たれ、さまざまな検査を受ける悠宇。ゴーグとのかかわりを調べるために、医師団は悠宇の体に人工的な負荷をかけていく。

「心拍はノーマル状態です。」
「負荷、プラス3。」
「負荷、プラス4。」
「心拍に異常、続行します。」
「負荷、プラス5。」
「血圧異常、負荷一時停止。薬液注入します。」

麻酔と人工的な負荷によって、悪夢にうなされる悠宇。

(うう・・・苦しい・・・ゴー・・グ・・・ゴーグ・・・ゴーグ・・・!)

「波形にイレギュラーが出ています」
「ようし、これだ。負荷、プラス3!」

(ゴーグ!)

GOOOORG!!

悠宇の心の叫びに答えるように、唸りを上げて目覚めるゴーグ。

体を縛っている鎖をぶちぶちと軽くひきちぎると、逃げ惑う研究者や工員にかまわず、ゴーグは格納庫の天井をやぶって立ち上がる。

その前には、巨大なGAILタウンのドームがそびえたっていた・・・!

TUNE IN TO THE NEXT
THE SAME GORG TIME
THE SAME GORG CHANNEL

感想

次第に加速していくストーリー。

この回、GAILに捕獲された悠宇とゴーグが、徹底的に調査される。あかされるゴーグの秘密。(1)ガンマ線を通さない (2)装甲はダイヤモンドもレーザーも受けつけず、関節部すら継ぎ目が無い。
なるほど、確かにゴーグのあの動き方は「ソフビ製?」と言うほど躍動感があった。納得か。

しかし、もう一つの見所はやはり、ドリスとレイディ・リンクスとの口喧嘩ではなかろうか。
勝ち誇ったようなレイディに向かって「おばん」だの「ぶすキツネ」だの「お嫁になんて一生いけない」だの、よくもまあアッというまにこれだけ口が回るものだというほどのスピード感あふれる罵倒!
そりゃ怒るわ。レイディ。

さてラスト、悠宇の呼びかけに答え、ゴーグが立ち上がったところでヒキ。
くぅう・・・またいいところで・・・。
毎回なんでこんなにヒくのが上手いのだろうか・・・。



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