第五話「神のいる島」


放送日:84年5月3日
脚本:塚本裕美子
絵コンテ:鹿島典夫
演出:鹿島典夫
作画監督:安彦良和


新島に向かって歩く巨神、その頭上に悠宇はいた。太陽がギラギラと照りつける。視界の端に泉がちらりと見える。

「み・・水だ!」

悠宇はたまらず叫ぶ。

「ねぇ、頼むから行ってくれないか?ボク喉がカラカラなんだ・・・。」

だが、完全に無視して通りすぎる巨神。

「!?・・・ひ、ひどいよーっ。どうして行ってくれないの!?」

巨神の傍を歩いていたアルゴスは、その間に泉に行くも、それは火山の硫黄泉が涌き出たものであった。

「・・・今のは飲めない水だったのか・・・」

だがいつのまにか、巨神は悠宇を岩清水の涌き出る場所へと連れてきていた。喜び勇んで涌き水を飲む悠宇。だが、落ち着くと同時にハタと気がつく。

「・・・ぼく、友達を見つけなきゃいけないんだ。ねぇ、一緒に探すの手伝ってよ!」

無反応の巨神。

「・・・でないとボク一人でも・・・!」

だが、この時GAILの航空部隊が空を横切る。岩陰に隠れる巨神と悠宇。GAILの部隊は旧島へと向かって行く。


GAILは、ロッドの指揮の元、旧島の反抗勢力に対して武力制圧に乗り出したのだ。パニックに陥る現地人たち。これを仕切ったのはやはり船長。

「やめろ、まずは様子を見ようじゃないか?」

GAILは、航空部隊と海上からの揚陸ホバー・歩兵部隊からなる勢力。船長の指揮で、反抗勢力はゲリラ戦を展開し、圧倒的な戦力差をはねかえしていく。現地人の青年・トメニクはこの様子を見、「あの人がきっと・・・オレたちの島を取り戻してくれる・・・!」と思う。
敗色を悟ったロッド。「ふー・・・やれやれ。尻尾を巻くよ。」と、意外にアッサリと引き下がる。


そのころ、悠宇は言うことを聞かず新島へ向かう巨神の頭上から、アルゴスに命令する。旧島へ行き、ドリスたちと合流しろと。


勝利の後、反抗勢力のアジトから出発しようとする船長、Drウェイブ、ドリスの3人。一行は新島へと向かうつもりである。これに同行すると言い出したのは、最初に一行を捕獲した現地人ゲリラの少年・アロイと、少女・サラであった。

「オレたちも行く!」
「行くことならん!!!」

一喝したのはそれまでほとんど喋らなかったホツ・マツアだった。彼は銃を抜き、一行につきつける。新島は、禁忌の島、何人たりとも近づけさせないつもりである・・・。


いつしか島は夜を迎えていた。新島のGAIL防衛拠点では、警戒網にかかった謎の影を確認する。

「!?」
「ひ・・・人型だ・・・!」
「例のヤツだ!」

青い巨神はよりにもよって、GAILの前線基地を横切っていこうとしているのだ。

「第三火口に向かっています!」

こうしてスポットライトを浴びる巨神。

「ひ・・・人がいる・・・なにが・・・何がはじまるんだ?」

突然の機銃掃射。

「!?・・・逃げるんだ!やられちゃう!」

全然聞かない巨神。
ただ、悠宇の乗る頭部を手で隠し、銃弾から守る。そこを戦車の砲撃が直撃する!だが・・・青い巨神にはまったく通用していなかった。


「お休みのところ申し訳ございません・・・人型が出現しました。」

Mrゴトーの突然の通信に睡眠を妨害されたロッドは、不機嫌そうに「何だそれは・・・。人型の意味は!」と聞き返す。

「口で説明しても納得していただけないでしょう・・・。」

巨神が戦車を持ち上げているシーンが、TVに映り出される。

「こ・・・これは・・・!・・・お、オレは夢を見ているのか!?」


一方、牢屋に閉じ込められた船長たちは、アロイの手助けで抜け道を通り、アジトから脱出する。

「終点だぜ。」
「こいつは・・・!?」

海につながる洞窟の砂浜にとめられた、巨大な戦車!

「ちょっとした武器だな・・・。戦利品か・・・?」

船長は、そのGAILの特注品・水陸両用最新鋭戦車キャリア・ビーグルをいたく気に入ったようだ。中に入ると、運転席にはトメニク。

「やあ、トメニク。偉大なホツマツアを裏切っていいのかね?」
「・・・う、裏切ってなどいない。あんたと一緒にいけば、島を取り戻せる・・・!」

だが、脱走に気づいた反抗勢力が、銃撃で彼らを追う。

「発車オーライだ、トメニク先生!」

こうしてキャリア・ビーグルは海へと乗り出した。
危機を脱した一行。アロイは、現在位置を地図で説明する。

ゴーグはこの上に出るんだ。」
「・・・ゴーグ?」

そのとき、GAILの監視船に発見されるキャリアビーグルは、砲撃を受ける。

「アロイ!弾込めろ!」
「OK!」

照準機を操作する船長。だが・・・

「しまった!(砲頭に)防水カバーをつけたままだ・・・!」
「あたい外してくる!」

外に飛び出したサラは、砲塔にしがみついてカバーを外し、帰って来る。

「いいわよ、船長!」
「すまんな、サラ。・・・こんなところか?」
トリガーを引くと、主砲から強力な徹甲榴弾が射撃され、一撃のもとに監視船を轟沈させる。
「すげー!一発だ!」
「俺は無駄弾を使わん主義だ。」


そのころ、GAILの戦車・武装ホバー・武装ヘリ相手に大暴れの巨神。はたくだけでヘリは落ち、地面を蹴るだけで岩石が散弾となり戦車を襲う。
しかも一切の攻撃が通用しない。

「すっごいパワーだ・・・もう何が来ても怖くないぞ!」

その様子を歯噛みしながら、司令室で眺めていたロッドは、一瞬モニターに映ったものに気がつく。

「・・・今のは!何だ今のは!」

モニターをアップにする。そこには悠宇の姿がハッキリ映し出されていた。

「!?」

ロッドの脳裏に、ニューヨークでひき殺しかけた日本人の少年の容姿がよみがえる。

「・・・あの・・・ニンジャの子・・・!?」


キャリアビーグル内、一行はGAILのあわただしい通信を傍受する。

「・・・GAILの連中、何かと戦っている・・・?どうも、相当大きなモノのようだ。」

それを聞き、アロイは顔を輝かせる。

「ゴーグだよ!またゴーグが出たんだ!神の使いのゴーグが現れたんだ!」
「・・・神の使い・・・?」


ワイヤーを使い、大型輸送ヘリ2台によって捕獲しようとした作戦にも失敗したGAIL。例によってあきらめが早いロッド。

「こりゃダメだ。ぜんぜん手に負えんじゃないか。・・・下げろ!」

こうしてGAILの部隊は全機帰還する。

「ざまぁ見ろ!弱虫GAIL−−っ!」

と、はしゃぐ悠宇。だが、すぐに冷静になって、「・・・案外、アッケないな・・?」と不審にも思う。

この時、大平洋に朝日が昇り、ゆっくりと歩き出す巨神。実質一晩眠らずに巨神の戦闘につきあっていた悠宇は、ホッとした拍子に眠りに落ちていった・・・。

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感想

序盤において最大の盛り上がりを見せた回。

非常に多くの要素を持っている回で、一瞬たりとも見逃せない。

まず、ゴーグの大暴れが見れる。悠宇を頭に乗っけたまま、GAILの前線基地を何の思慮もなく通り過ぎようとするゴーグのアホっぽいことったら無い。空中の敵に対する攻撃手段が無いのもおちゃめだ。しかも、対GAILもおおよそ戦いと呼べるものではなく、単に暴れてるだけにしか見えないところも、圧倒的でいい。

次に、今後一行の貴重な足となる水陸両用重戦車キャリア・ビーグルの入手・トメニク、アロイ、サラの3人の合流などが描かれている。

今まで、GAILが圧倒的有利であったのが、この回を境にほぼ対等の立場になるのである。これにカタストロフィーを感じない者は、たぶんいないだろう。



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