第六話「ゴーグの秘密」


放送日:84年5月10日
脚本:辻 真先
絵コンテ:浜津 守
演出:浜津 守
作画監督:安彦良和


船長、Drウェイブ、ドリス、アロイ、サラ、トメニクの6人を乗せたキャリア・ビーグルは、海上で一隻の船と遭遇する。

「GAILのやつら?こんな所まで・・・」

船は砲撃を行い、警告を行う。

「そこの船、お止まり!おとなしく白旗をあげな!」

その船に乗っていたのはGAILではなく、レイディ・リンクスひきいるギャング団クーガー・コネクションだった。

へいへい、今探しますんでちょっとお待ちを・・・あいにく白旗は品切れのようですぜリンクスのお嬢サン。
「!」

レイディは、相手がGAILではなく船長であることに驚く。

「遊んでるヒマは無い。一発でしとめるぞ!」

必殺のキャノンが火を噴き、レイディの船はあえなく轟沈する。

「船長!よくもやってくれたわね!このカリはきっと返すから!」


悠宇が夢から覚めると、巨神は今まさに新島の第三火口の底に降りていこうとしていた。

「ど・・どこ行くの?」

無視する巨神。

「・・・聞こえてんのかな・・・」

底につくと、巨神は悠宇を降ろし、自らの左胸を扉のように開く。

「あ、開くの、そこ・・・?」

岩陰ということもあり、巨神の胸の中の空洞は最初暗くて見えない。だが、しだいに陽光がさしていく。そこには白い宇宙服(?)のようなものを来た若者が眠るように座っている。

「・・・?」

しかし、陽光に照らされるやいなや、男は砂となって崩れ去っていった。

「あ・・・ああ・・・・」

服のみ残して砂となる男。


ニューヨーク。GAIL本社のロイのもとに、ロッドから連絡が入る。

「相手があんなすごいレスラーとは知らなかった。知らずにケンカを買ってしまったおかげで散々ですよ。正直に言ってください。一体何ですかあれは?どっかの国の秘密兵器ですか。ソ連か中国かそれとも日本かは知らないですが、ムーの御神体といわれても信じてしまう・・・。」

こうしてロッドは、@最新鋭の機甲大隊A第一級の機甲中隊の派遣Bそして不可解な少年を調べるように、依頼する。ロイは通信を終わった後も怪訝そうに「少年?・・・少年・・・。」とつぶやく。


タンポポの綿毛の舞う火口に悠宇が寝そべっていると、巨神がやってくる。

「どこかへ行くの?一緒に行こうって言うのかい・・・?よーし、どこへでも行ってやる!」

こうして再び悠宇は巨神の頭部に乗る。


キャリア・ビーグル内。Drウェイブが興奮しながらアロイやサラに新島について講義していた。

「(前略)・・・この島には、我々の知らない文明の痕跡が残されていたんだ!想像してみたまえ。もしもだよ。そんなモノが残されていたとしたら、それは世界を根底から揺り動かすスゴイものなんだ。だからこそ、GAILはアメリカやソ連といった大国と取引してまで、この島を秘密のヴェールで覆い隠そうとした。・・・(中略)・・・この島の為に人間の歴史が変わるかもしれないのだ!」

そうしているうちに、一行は浜辺で吠えるアルゴスと再会する。

「アルゴス!生きていたのね!」

海に飛び込んでアルゴスの再会を喜ぶドリス。

「ね、アルゴス、悠宇のこと知らない?」
「ついて来いって言ってるのか?」

こうして、アルゴスの後を追いうことになる。現地人に『悪魔の階段』と呼ばれる溶岩流の冷えて固まった地帯を行くキャリア・ビーグル。

岩山を越えようとしたとき、彼らの眼前に突然青い巨神が姿を現す。

「なんだアレは!?」

驚く船長。

「あ、あれはゴーグ!」
「・・・!?」
「怖いわ、兄さん!」

ドリスは兄の腕にしがみつくが、すでに「ほええ〜・・」と気絶同然のDrウェイブ。

「見て、頭の上に誰かいる!」
「あ・・・ああ・・・悠宇だわ!

一方、悠宇は眼前に現れた戦車をGAILのものかと思い、巨神も警戒を行う。が、キャリア・ビーグルの拡声器から聞こえてきたのは、なつかしいドリスの声であった。

「悠宇、聞こえる!?」

ホッとした悠宇につられて、近づこうとする巨神。しかし、ビーグルの中はパニック状態であった。

「はやくしないと、悠宇が握りつぶされちゃう!」

砲塔を向けるキャリア・ビーグルに気づいた悠宇は、必死で叫ぶ。

「う、撃たないで!こ、これは、敵じゃない!ぼくを守ってくれたんだ!」

悠宇の声は届かない。

「違うんだ!違うんだよーっ!」

意を決して巨神の頭から飛び降りる悠宇。

「撃っちゃいけない!味方なんだーっ!」と叫びながら走るが、巨神は戦車から守ろうと、悠宇をつかもうとする。巨神が悠宇を攻撃すると勘違いした船長は、制止するトメニクやアロイの言葉に耳を貸さず、戦車砲を射撃する。が、砲弾はそれ、崩れた岩石がビーグルの上に体を出していたドリスを下敷きにしようとする!

だが・・・落ちてくる巨石からドリスを守ったのは巨神であった。

「おーい!ドリス!」
「悠宇!」

巨神は、ドリスと悠宇を持ち上げ、不思議そうに見比べる。それを見てアロイは「やっぱり、神の使いだ!」と喜ぶ。「ふ・・・負けたよ。」と肩をすくめる船長。

「ど、どう言うことだこれは!?ダメだ、ボクの頭には刺激が強すぎる・・・!」

またまた気絶するDrウェイブ。

「ありがとう、ゴーグ!」

巨神の手のひらから話しかけるドリス。それを聞いた悠宇は、巨神の名前をはじめて知るのだった。

「ゴーグ・・・?そうか、ゴーグっていうのか・・・。」

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感想

問題のトラウマシーンである、ゼノンの風化描写がある回。

いや、このシーンは誰が何と言おうと名シーン中の名シーンだ。ゴーグが左胸を開くと、暗闇のコクピットに男が眠るように座っている。「誰だ・・・コレ・・・」と思わす時間を与えて、唐突に砂と化す男!・・・子供の頃、これを見て小便をちびりかけた人は多いであろう。私自信、ゴーグは忘れていても、そのシーンだけは克明に覚えていたものだ。

また、有名な両手に悠宇とドリスを乗せるシーンも、この回。考えてみれば名シーン目白押しの回である。


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