TRG Pro → KX-HS100 ケーブル作成
ご存知Panasonicのデータ通信ケーブルKX-HA10は、V系のPalmデバイスとH"端末KX-PH35S/KX-PH935S、Feel H"端末KX-HS100を直接接続してデータ通信を可能にする、なかなかエポックメイキングな製品で、以前はこのケーブルをPsion S5用に改造したわけですが、今回は、私の愛用のTRG Pro用に改造します。

準備した部材
・Panasonic KX-HA10 データ通信ケーブル
・イケショップPalm III用Hot Syncケーブル
・ハンダゴテ(20Wの安物) 1本
・ハンダ(スズ50% 1.2mm径) 少々
・ホットボンド 1セット
・デジタルテスター 1台(導通テスト用)

 

Step 1
まずは、前回同様、KX-HA10のコブを割ってみます。
特に何も変わっていないようです。この様子なら、普通にハンダをはずしてPalm側のケーブルごとコネクターをV系ようから、III系ように変更出来そうです。
次に、PalmのHotSyncケーブルを確認します。
写真のようにHotSyncボタンが付いていますが、これは設定で色々なアプリケーションに関連付けできるのでこのまま残しておくことにします。
コネクターのピン配置については、Palm Computingのサイトにある関連資料を参考にします。
V系のデバイスは、製造番号により1番ピンの仕様が異なるようなのですが、とりあえず無視していきます。
HotSyncケーブルを適当な長さに切り、シールドの網線を適当に処理して、ホットボンドでまとめておきます。
ここで念のために、各配線の導通テストを行っておきます。
配線は全部で6本、Palm側のピンは、1,3,4,5,6,10番ピンがシリアル通信で使用されています。始めてみるといきなり1番ピンの通がとれません。
「おりょ?」っと驚きながらも、残りのピンをあたります。1番ピン以外は問題ないようです。
さて、ここは思案所です。
配線は確かに6本あるので、考えられる事は2つです。1つは、1本は別のピンに接続されている場合。もうひとつは、1本は、使用されていない場合です。
実はそれ以外にも、コネクターの中で何らかのロジックもしくはアナログ処理がなされている事が考えられるのですが、前出の関連資料に書かれている仕様から、これはなさそうです。
とりあえず、すべてのピンとの通をテストしてみたところ、どうやら、この配線(燈)は使用されていないようです。確認のためには、コネクターをバラしてみなければいけないのですが、データケーブルのコブのように簡単に開けることができるしろものではなさそうです、というか、隙間から接着剤が見えているので、開けるのには、ある程度の破壊を伴いそうです。

 

Step 2
眺めていてもしょうがないので、こじ開けてみると、中はこんな感じになっていました。やはりケースは接着してあり、メキメキッっという感じで開けたので、なんらかの手段で接着しないと元には戻りません。
手前の白いリングは、HotSyncボタンのガイド用に入れてあるようです。
結線を確認してみると、やはり1本(燈)は未結線でした。(左写真、中央部参照)
PanasonicのKX-HA10とちがい、こちらはケーブルのシールドが、ちゃんとコネクターのFGに結線されています。SGとの間には、ノイズ対策用のコンデンサーまで入れてありました。(コネクターハウジングに収まらなかったのか、コンデンサーの一部がカットしてあるのには、ちょっと驚きました。)
イケショップのHotSyncケーブルは、ちゃんとシールドしてあったり、ノイズ対策のコンデンサーが付けてあったりと、贅沢な作りになっているのが仇となって未結線の配線を簡単には接続できそうにないので、初期の予定を変更してIII系用のコネクターのみを移植することにしました。
とりあえず、III系のコネクターから配線をはずす作業をしておきます。
HotSyncボタンはコネクターにケーブルとは独立した配線で取り付けられているので、そのまま残しておくことにします。

 

Step 3
もともとKX-HA10データ通信ケーブルに付いている、V系用のコネクターですが、こちらもしっかり接着されているようで、開ける際に破壊が行われてしまいました。どのみち再利用する予定はないので、思い切り良く破壊しました。
こちらのコネクターは、基盤にしっかりピン番号がエッチングされているので、ピン番号と配線の色をちゃんとメモっておきます。
メモが終わったら、配線をはずしていきます。特に難しい所はありません。簡単にはずすことができます。

 

Step 4
Step 3でV系コネクターを外したデータ通信ケーブルに、Step 2でHotSyncケーブルから取り外したIII系用のコネクターを、ハンダ付けします。ケーブルのブーツはうまい具合にそのままでピッタリと収まります。
HotSyncボタンは位置を合わせて、ホットボンドでコネクターに固定しました。ホットボンドはたいていの物はくっつきますし、後から剥がすことも出来るのでこういった工作には最適だと思います。
コネクターハウジングも適当にホットボンドで張り合わせて出来上がりです。
はい、このようにピッタリ!(あたりまえですが・・・)
私は現在feel H"端末のKX-HS100を使用していますが、ちゃんと32kbpsでの通信が可能です。以前使用していたNTT DocomoのNM502iを使用したIR通信とくらべると圧倒的なスピード差が体感できます。
さて、HotSyncボタンなのですが、本来Palmではクレードルに付いているHotSyncボタンと、モデムに付いているHotSyncボタンは、区別されそれぞれにアプリケーションを割り当て出来るのですが、このケーブルはモデムとして認識されず、ちょっと残念です。(クレードルのボタンはHotSyncとして機能してもらわないと困るので・・・)
モデムとして認識させるには、8番ピンに20kΩを介して2番ピンのVcc供給すればよいと前出の関連資料に書いてありましたが、面倒なのでこのまま使うことにしました。
以前使用していたNM502iでは、貧乏な私は通話料が気になって、ほとんど使用できなかったのですが、PHSは通話料が安めなので、もう少し活用出来そうです。

毎度の事ですが、この工作を行うにあたって、貧乏な私に部材代を
気持ちよく融資して下さったあじぽん氏に感謝いたします。

文責:Ten