T-500A ホーンの研磨 |
今回長年使ってきたT-500Aのホーンを研磨することにした。 これには理由があって、オリジナルの音をさらに良くするために実施したわけでは なく、言わば仕方なくである。 購入してからもうかれこれ10数年になるが、今から6年程前、どういうわけかホー ンの部分が黒ずんできたのである。 酸化しているの訳なのだが、きっとなにかのせいで表面処理が取れてしまったの だろう。 しばらくはそのままで使っていたのだが、数年後、とうとう真っ黒になり表面もざら ざらになってしまった。 気がつけば出てくる音も違っていた。 そしてとうとう現役リタイヤ、新品を買う資金も無いので以前D-70で使用してい たコーラルのH-105に交換した。 しかしその後どうしてもT-500Aを使いたくなり何度か交換してみたが、やはり音 がおかしくなっている。 磨いてみようかとも思ったが分解できない! もうほとんどあきらめかけていた時、ある方のHPの掲示板で「T-500Aのホーン部 の取り外し方法」が掲載されていた。 なんでも「組み上げる際にねじの締め具合で測定しながら調整しているので分 解はしないほうが良い」と書いてあったが、状況が状況だけにどのみちこのまま何 もしないでおいてもいずれゴミ箱行き。 それならというわけで、駄目もとでやってみることにした。 作業としては、ただ単に分解して磨いて組立てる。 それだけである。 使用したものは、ウエス、コンパウンド(中目・細目・極細目・超鏡面仕上げ)、 シリコンリムーバー、手袋等。 作業工程は 分解→コンパウンド中目→細目→極細目→超鏡面仕上げ→シリコンリムーバ ーで脱脂→組立て 振動板を壊さないように注意して作業する事以外、これといって難しいことはな いと思う。 表面処理はしないことにした。 今回分解して思わぬアクシデントがあった。 というのも片方のユニットに、もう片方に入っている振動版を抑える樹脂製の薄 いスペーサーが使用されていないのである。 しかしながら使用されていた形跡はある。 なぜか? 実は購入して2年目に片方のユニットを壊して修理に出したことがある。 どうやらその時に入れ忘れたのだろう。 しかもそのユニットの止めねじ3本の頭も潰れかかっていた。 仕方が無いので同じような素材を見つけてきて自分で加工して使用した。 ねじのスプリングワッシャーも何故だがM3用とM4用が混在している。 しかもユニット2本に対してM3、M4計6個のスプリングワッシャーと3個の平ワッシャ ーが出てきた。 一体どういうことなんだ? ちゃんと修理してくれていたのだろうか・・・ 仕方が無いのでねじは全部交換。 手持のステンレスのM3X35に平、スプリングワッシャを入れて使用した。 1.黒くなったT-500A 2.内部 3.組立後 測定器が無いので初期状態に戻すのは不可能。 それでもこの磨き終わったT-500Aを聴いて、このスピーカーってこんな音がしてた のかと思わず自分の耳を疑ってしまった。 透明でシャープでみずみずしくて、厚く、自然で、なんだか別のスピーカーを聴い ているみたいだ。 完全復帰! 予想外の大成功! 多少変わるとは思っていたが、まさかここまで良くなるとは思いもよらなかった。こ れでしばらくはツイーター交換の心配はなさそうだ。 ただこれはあくまでも僕の手持ちの、かなり痛んだT-500Aでの話であり、オリジナ ル完動品と比較してどうかということはわからない。 |