[G] soter (σωτηρ, sooteer, ho)
[L] salvator, m,salvatrix, f,
[D] Salvator, der (ザルヴァートル)
[E] saviour,
[F] salvateur, le,salvatrice, la
グノーシス主義では、人間の魂は永遠なる「霊」
をその裡に秘めるのであり、永遠の世界より落下して地上の「悪の世界=此
の世」に居住する定めとなったものである。人間は「本来的故郷・本来的永
遠超宇宙」或いは「本来的な真の自己」について「無知」な状態にある。こ
のような人間に、宇宙と永遠世界についての「真実」を開示し、智慧(グノー
シス)を伝えて、永遠の故郷へと魂が帰還する契機として、永遠界より地上
に訪れる存在が、「ソーテール=救済者 sooteer」である。
グノーシスの教師たちは、「真実開示者」として、また「救済者」とも云えるが、永遠界よ
り派遣されて地上に訪れる救済者は、高次の霊・アイオーンであり、それは
例えば、キリスト教的グノーシス主義の多くの派では、イエズス・キリスト
がそうであるとされ、『ナグ・ハマディ写本』中の『アダムの黙示録』に登
場するポーステール(phoosteer,フォーステール,光り輝く者)と呼ばれる
霊などがそうである。また、アイオーン・
ソピアーは、人間の地上への落下と、救済そして永遠界への帰還のプロセス
の象徴的存在でもあるが、また救済者の役割も持っており、或いは、バルベ
ロ・グノーシス派の至高処女霊「バルベロ」も、救済者と考えられる。グノーシ
ス主義の原型においては、救済者は、「女性的霊」であったと考えられ、イ
エズスなどの「男性的霊」が救済者の位置に交代したのだともされる。
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