[G] pneuma (πνευμα,
pneuma, to),
[L] spiritus, m, [H] ruach,
[D] Pneuma,
das (プノイマ), [E] pneuma, spirit,
[F] esprit, le
人間を構成する三要素の一つ。肉と心魂、そして神的性質を持つ、この
「霊」より人間は構成される。「魂(プシュケー)」は、一般に諸文化にお
いて、人間の意識的側面を表現する主体で、時に、影・亡霊などの意味も含
む。「霊」もまた、「魂」とよく似た実体であり、魂がそうであるように、
個人の「生命」の本質のごときものとも考えられた。(つまり、魂や霊が、
人の身体を離れると、その人間は生命を失い、死ぬ。一度死んだ者でも、魂
や霊が身体に戻って来た場合、人は甦る。或いは、魂や霊の喪失で、人の身
体は死ぬことはなくとも、主体的意識が消え、狂気に陥ったり、植物状態に
陥ったりと様々な欠如が起こると考えられた。魂や霊は、人間の生命や「生
気」「正気の自我」の主体だとも考えられた)。
霊が魂と異なるのは、霊は、「高められた魂」あるいは、次元の高い、
乃至次元を異にする何かだと云うことである。人間よりも高次の精神的存在、
例えば、神や精霊が備える特質は、その「霊」に依るとも考えられた。霊は、
畏怖感・ヌミノーゼをそれと出会う人に与えることがある。人間であっても、
特別な人、例えば、シャーマンや、王、霊的能力を持つ者などは、魂だけで
はなく、「特別な霊」を持つとも考えられた。「霊」は、魂と或る程度相似
し、身体・肉に対する意識や心・いのちの源泉と考えられたが、魂と異なり、
普通の人間にとっては異常な何かであり、或る意味で、恐るべき何かだとも云
える。
――グノーシス主義における人間の「霊」は、至高神・至高原理の「霊」
の分与と考えられ、人間の魂の奥にある「霊」が、プレーローマへの救済の可
能性を保証する原理となる。
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