写真館設計
第21号 (第62図より第64図に到る)



 管理人所見
 明治40年頃の住宅(大邸宅、一般住宅、別荘)、店舗(いろいろな形態の異なる店舗、ショウルーム)ここでは写真館を取り上げてみました。
 古谷三代吉も大正2年頃に京都四条寺町で春長寺の借家を3軒設計しています。
その一軒は階下に写真館、階上に写真撮影スタジオを設計しました。北側に面した建物のため平面図はそう気になりませんが、ここで掲載する建築物はわざわざ北側に大きく開口部をとり、大きくデザインされた窓を三面、玄関ホールには大きな一枚のガラス窓(ステンドグラス等)を二面配したデザインとし吹き抜けに設計されています。当時の設計に就いて述べれば、現在とは異なり大容量の光、熱、又それらを制御する、空調等がまだなく、自然の流れ(自然光、換気)にまかせて設計されていました。
管理人はこのシリーズの洋風折衷設計図面の外観イラストと平面図、その解説を掲載していますが、特に今回の外観は今何処かの住宅メーカのデザインに良く似ています。100年も昔にこのような設計図が公開されていました。解説の方も現在使用されている材料に置き換えて、又平面も自由に考えて頂ければと思います。2004・8・25



建坪52,5坪  総工費・・・・・・




第64図 階上平面

解説(小野武雄)
 写真館を設計する際に於いては、撮影室は必ず北向きにするのが第一の要件です。一般美術家の書斎、アトリエ、作室等も亦北向きを必要とするのは、一日中北方は光線の度合い平やかな為です。焼付け室は南向きにし、出来れば建物より稍突き出し、一日中太陽の直射を受ける所を選定すべきです。次に家族の住居とスタジオとは全く区別した方が宜しい。
 本設計は腰積みに花崗岩を用い、其の上を木造下見張りとし、草色のペンキにて塗り屋根は赤色瓦或いはアスベスト葺きとし、階下は主として家族の住居に充てます。客待合室は、階上階下に設けたれば、優に数組の客を入れる事が出来ます。
且つ便利の為、化粧室とトイレを添えました。階上は北に面して撮影室を広く取り、天窓(スカイライト)十分に広く明ければ降雨の日と云えども撮影が出来ます。
又暗室、洗浄室、焼付け室等をも添えました。なほ又階下厨房、土間及び風呂場の屋根上に椽側を取り付けて、焼付けの折に南方の直射を受けるようにしました。
階下の各室は日本室で時宜によりては西洋風にも変更されます。椽側には常に花卉を絶やさずしてかぞくてきにの撮影に適用されるようにして置けば大いに便利でしす。

2004・8・25   管理人
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