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「あの街にならあるかな」
マニーは右手側に空中都市を見ながらつぶやいた。
「わたしもあんな都会に住みたいなあ。そしたら買い物ひとつでこんなに遠くにこなくてもいいのに・・・。
<魔女の森>って何であんなに物がそろってないんだろ?
だからみんな出て行っちゃうんだよ」
マニーが羨望の瞳を空中都市に向け、故郷の不満を口にしながら白い雲の上を飛んでいると、都市の向こうの雲から
大きな大きな<何か>が出てきた。
「ふ・・わぁ・・・、クジラだぁ・・・!」
それは雲海クジラだった。雲海クジラはゆったりとその大きな体を白い雲の海に浮かばせている。
「すごおい!あんな大きいのはじめて見た。
なんか今日はいいことあるかも♪」
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空中都市に降りたマニーは街中で動きやすいように、マントを縮めてホウキを背中にかつぐようにした。魔法の力で背中にぴたっとくっつく。
大人と子供の声、車の音、店から流れ出るさまざまな音楽。いろんな料理や草木や人工物のにおい。賑やか色彩豊かで、たくさんの物であふれかえっている都市の中、マニーはキョロキョロと視線を移し
「わあ・・・綺麗このドレス・・・。
こんなの着てみたいなぁ。 いつもいつもこの服じゃとてもじゃないけど都会のダンスパーティとかなんて行けないもんなぁ・・・。
あ、あのペンダント可愛い〜。はぁあ!この靴―」
などなど、いろいろな物に目移りしながら歩いている。
「都会には何回か来てるけど、やっぱり<魔女の森>から来るとその差を感じずにはいられないよ・・・はぁぅ〜・・・」
どうしても愚痴が出てきてしまうのは、やはりオシャレがしたい年頃のせいか。
ふと彼女はここにきた目的を思い出した。
「それにしてもアレはどこにあるんだろ。他の街じゃ結構すぐ見つけられたのに・・・。
うーん・・・・・・あ、あった! 」
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つづく |
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