『新・ふるさとの神々』(上)加筆
第4章 天狗神
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▼04-07「日本の天狗の代表・八天狗」
【略文】
だれが決めたか日本を代表する大物天狗だとする「八大天狗」と
いうものががあります。これは室町時代あたり?からか、自然に
選び出されたといわれている8人の天狗たちのことだという。「八」
としたのは「大峰八大金剛童子」(金剛童子は天狗と見なされてい
る)がもとになっているという説があるそうです。
▼04-07「日本の天狗の代表・八天狗」
【本文】
山の妖怪としておなじみのものに天狗がいます。天狗には大天狗
・中天狗・小天狗・烏天狗・水天狗など、もろもろといますが、
なかでも大天狗は鼻の高いよく見る天狗です。その大天狗のなか
でも「なんとか坊」などの名前のあるのは大物だそうです。
室町時代以降、霊山や有力な山伏集団のいる山では、天狗に対す
る崇敬を強めるために、次つぎに天狗に名前をつけていったとさ
れています。有名なのは誰が決めたか「日本八天狗」と呼ばれる
面々。
その名は京都の愛宕山太郎坊(あたごさんたろうぼう)、滋賀県比
良山次郎坊(ひらさんじろうぼう)、長野県飯縄山の飯綱三郎(い
づなのさぶろう)、奈良県大峰前鬼(おおみねぜんき)、京都の鞍
馬山僧正坊(くらまさんそうじょうぼう)、香川県白峰相模坊(し
らみねさがみぼう)、神奈川県相模大山伯耆坊(さがみおおやまほ
うきぼう)、福岡県の彦山豊前坊(ひこさんぶぜんぼう)の八天狗
です。(彦山は今は英彦山と書く)。
なかでも愛宕山太郎坊は、八天狗の筆頭で全国愛宕社約800社に祭
られており、その前身は聖徳太子の恩師であるともされる日羅(に
ちら)だともいわれます。太郎の次は次郎が順序です。比良山に
住む次郎坊は平安後期の『今昔物語』(巻第二十)にも登場。讃岐
の国の万能ノ池(まののいけ)の主の竜に襲いかかったり、比良
山の僧につかみかかり、比良山の竜のいる洞窟に投げおろしたり
と、その乱暴ぶりが紹介されています。
「三男」の飯綱三郎は長野県の飯縄山(いいづなやま)におり、
静岡県の秋葉山、東京の高尾山、群馬県の迦葉山(かしょうざん)
などの飯縄系天狗の総元締めになっています。次の大峰前鬼は、
その妻といわれる後鬼(ごき)とともに役ノ行者(えんのぎょう
じゃ)の忠実な従者です。大峰山を守る護法天狗といわれていま
す。いまでも大峰山中には前鬼の里があります。
▼【参考文献】
・『修験道の本』(学研)1993年(平成5)
・『図聚 天狗列伝・東日本編』知切光歳著(三樹書房)1977年(昭
和52)
・『天狗の研究』知切光歳(大陸書房)1975年(昭和50)
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【とよだ 時】 山の漫画文著作
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