ときめきDiary Ten After Year
〜古式ゆかり〜
 お風呂も入って、今日はもう寝るだけ。
「おやすみなさい」

 ………。
「あ」

 そういえばあしたは久しぶりに夕子と一緒。

「とてもたのしみですねぇ」

 久しぶりに夕子と出かける約束をしているのだった。
 きらめき高校を卒業してからゆかりと夕子は別々の道を歩んでいた。
 たまに電話で話すくらいしか接触がないのだった。
 夕子は相変わらずの性格で流行のスポットなんかへ出向いてそれを
記事なんかにしている、今、結構注目されているフリーのライターなんかになっているのだった。
 趣味と実益を兼ねた実に素晴らしい仕事についていた。
 当の本人も、「すごいっしょ」なんてゆかりに言っている。

「あしたははやいのでもう寝るといたしましょう」

 そう思ってみても、久しぶりの夕子と出かける。
 それを考えるとゆかりは眠れないのであった。

「どうしたのでしょう?おめめがぱっちり。眠れそうにありませんねぇ……」

 寝なきゃ、寝なきゃと考えると余計眠れないのであった。

「遅刻したら、夕子さんにしかられてしまいます…」

 そう思い、ゆかりは必死に目をつむって寝よう、寝ようと考えていた。
 けど、睡魔が襲うどころか逆に目は冴え渡る。

「どうしましょう?」

 どうしましょうと思っても目は冴え渡るばかり。

「寝ないと夕子さんについていけませんねぇ…。寝ましょう」

 そう思って目をつむる。
 静かな部屋に時計の音が小さく、コチッ、コチッと響き渡る。
 
「気になりますねぇ」

 いつもは気にしなかったその時計の音も今日は妙に気になるのだった。
 時計を見ると12時を回ったところ。

「大変。寝ないと夕子さんの雷が落ちてしまいます」

 ゆかりは忙しい時間の合い間を縫って自分と会ってくれる夕子のことを思っていた。
 高校時代、二人は大の親友。ふとしたきっかけで知り合ったのが、今でも繋がっている大切な
親友同士になっているのだった。
 
「さて、寝ましょう…」

 布団をかぶって目をつむって………。
 コチッ、コチッ、コチッ………。
 ………。
 一刻一刻と時間はすぎていく。
 ゆかりは……。
 眠れそうに無かった。

「寝ないと夕子さんと一緒のとき、ねむねむ〜で、倒れてしまいそうになりますねぇ…」

 そう思って必死に寝ようとするもその意思とは裏腹に眠気は一向に来る気配は無かった。

「どうしましょう…」

「そういえば彼らも来たがってましたねぇ…」
 
 彼らというのはほかでもなく。同級生の『彼』だった。きらめき高校の伝説で生まれたカップル。
 そして、その親友。
 大切な彼だからこそ、あした朝日奈夕子に会うということを話した。

 高校時代ではよく4人で遊んだものだった。
 遊園地へ行ったり、スキーへ行ったり、花火大会へ行ったり……。

「楽しかったですねぇ…」
 
 そして、高校卒業してそれぞれの道へ進み、道もばらばらになった。
 …『彼』以外は。
 でも『彼』とは確かに大切だが、ゆかりにとって『夕子』という存在は特別なもの。
 それは彼も知っている。だから、あしたは二人だけで、としたのだ。
 夕子のほうは「大勢のほうが楽しいじゃん、好雄君たちも一緒に誘おうよ。ひさしぶりっしょ?」
とかっていっていたけど、ゆかりが考え込んでいるのを夕子が察して二人だけでってなった。

「まぁ…。私一向に眠れそうにないですねぇ…」

 昔のことを考えると余計眠れない。

「どうしましょう?夕子さん、鬼のようにお怒りになりますねぇ…」

 ゆかりには鬼と化したゆかりの姿が見えた。

「恐ろしいですねぇ…」

 ゆかりはおばけとかのたぐいが大好きで…。恐ろしいとは思ってはみたものの、
ちょっとだけ興味が湧いた。

「…。いけませんねぇ…」

 その興味を振り払うように顔をふるふると横に振る。

「もう、寝ないと、本当に夕子さん雷の化身となりそうなので、寝るとしましょう…」

 そして、どうにかこうにかいろいろ考えて、考えつかれて眠りについたゆかりだった……。
 そしてー
 待ち合わせ場所…
「ごめーん。ゆかり」
 息を切らして、待ち合わせ場所にやってくる夕子。
「ごめん。ゆかりっ。遅れちゃった」
 はぁはぁいいながら夕子はゆかりに平謝り。
「大丈夫ですよ?30分くらいしかまってませんから」
「ぎくっ。ごめんね。久しぶりなのに…」
「そうですねぇ。でも、夕子さんが遅刻するのはいつもの事でしたから…」
「何高校時代のこと持ち出してるのよ」
「今でもそうじゃないですか」
「あのね…。とりあえず、ごめんっ。夕べなかなか寝付けなくてさぁ…。
あんたと久しぶりに一緒だって思ったら寝られなくて…。寝たの朝方だよ…」
「まぁー。そうなんですか?私もですよ?久しぶりに夕子さんと会うのでなかなか眠れなくて、
寝たのは12時過ぎです」

「なーんだ。ゆかりもか」
 二人で笑う。
「それじゃ、速攻行こ!」
「あ、そんなに走らないでください」

 二人、街の中へと消えていく…。

あとがき
第2弾はゆかり嬢です。
何気に古式さんのSSって、うちじゃ初めてなんだよね。
何でって?それは、書きにくいのです。
日向ぼっこする、ほのぼのシーンなんかはいいんでしょうけど、
なんか、こう、書きにくいと申しましょうか、
キャラが動いてくれないというか…。

なので、朝日奈さん絡みで登場です。

彼氏との絡みじゃなくてね。
この古式&朝日奈コンビって最高のコンビですよね。

まったく正反対の性格でも、どこか似ている部分ってのがあったりして。
彩のラブソングの脱力漫才は必見ですね。
見ていない方は是非かって見てください。
爆笑します。
10周年ってことで、彼女たちも10年経っても大切な友達でいるんでしょうね。
そう望みます。


日記風じゃないよなぁ…(滝汗)
[戻る]