放課後の出来事
 気がつくと俺は保健室にいた。
 回りを見渡す。
 …頭が痛い。
 …気持ちが悪い。
「うっ」
 と声を漏らし、口を押さえる。
「あ、目が覚めたみたい」
 そうどこからともなく声が聞こえる。
 …カーテンの向こう側から?
 ベッドに上半身を起したままの俺の目の前に朝日奈さんが現れた。
「もう、大丈夫?いきなりくらくら〜って倒れちゃうんだもん、ビックリしたわよ!」
「……」
 状況をよく判断できない。
「ねぇ、それより大丈夫?頭痛くない?どこもぶつけてない?これ以上頭悪くなったら最悪だかんね?」
「……」
 まくし立てられても、頭が冴えない。
「んもう!突っ込んでよね!」
 怒った。
「……」
「もう、いいわよ。それよりさぁ、本当に大丈夫?」
 朝日奈さんが覗き込んでくる。
「…。どうにか…」
「もう、本当に心配したんだからね。あたしとゆかりで3人で話していたて急に倒れちゃうんだもん」
 


 
 放課後の教室で3人で話をしてた。受験勉強とか、もう忙しくてなかなか遊べないよねという話題。
 朝日奈さんはフリーターになるつもりらしく、別に苦手な勉強をしないでもいいいのだが…。古式さんは二流大学
を受験するらしい。俺はというとやっぱり苦手な勉強はやりたくないのだが、やりたいことがあるので、
三流大学を受験するのだが…。もともと勉強嫌いな俺は四苦八苦。この3年の間際になって勉強を本格的に
始めたもんだから、詰め込み式もいいところで、どうにかなっているという感じだ。それを見た朝日奈さんが
最近、俺と一緒に勉強してくれていたりする。今まで出会ってきてから二人で、時には古式さんと3人で、
さらには好雄と3人だったり4人だったりで遊んできた俺と朝日奈さんにはとてつもない壁だった。今ごろに
なって「勉強しておけばよかったー!」なんて後悔しても後の祭りで。
 そんなわけだから朝日奈さんをも巻き込んでいるので「なかなか遊べない」のであった。




「ココまで二人で運んでくるの大変だったんだから。途中で暇な好雄君が手伝ってくれたから助かったけど」
「そう、ありがとう…。好雄がか」
 朝日奈さんのマシンガントークが次から次へと出てくる。
「ゆかりも今さっきまでいてくれたんだから、クラブがあるからって、いったけどさあ…」
「古式さん…」
「ゆかりも好雄君もマジで心配したんだからね」
「うん。ありがとう」
 ……。なんか恩着せがましいぞ?
「ねぇ、先生は疲れと風邪じゃないかって。医者へ行ったほうがいいって言っていたよ?」
「そう…」
「最近受験勉強で頑張ってるでしょ?」
「うん…。やりたいことがあるから…」
「あたしは…。ほら…。フリーターになるつもりだから、いいんだけど……」
 とか言いながら俺と一緒に勉強してくれているんだよ…。
「……」
「なんていうかぁ……」
 腕組して悩んでしまった。
「……」
「あーん。もう、しめっぽいのダメダメ!あたしの性に合わないわ」
「ねぇ」
「なに?朝日奈さん」
「あ、あたしに看病してもらうなんて、滅多な事はないぞ?」
 そういうと顔を真っ赤に染めた。
「ありがとう」
 看病とはいっても、そばにいるだけしかないのだけど…。
「やっぱ、勉強だけじゃなく、たまには息抜きしなくっちゃ。あたしももともと勉強には向いていない体だから…」
「それでも俺に付き合ってくれているんだよね」
「そ、それは、ほら、あなたが勉強してあたしよりテストの点数がよくなったら困るからよ。あたしがやばいじゃない……」
 後ろを向いてごにょごにょ言っている。
「朝日奈さん」
 呼んでみる。
 振り向かないで、
「なに?」
「ありがとう」
 心から、感謝。そして……。
「うん」
 振り向くときらりと光るものが見えた。
「朝日奈さん?」
「あ、ほら、大丈夫なら帰ろう?もう日が暮れちゃうよ?鞄とか持ってきてあるからさ」
 そう言って俺の前に突き出す。それを受け取ると、俺の手を取り、
「ほら、早く、早くー」
 いつもの朝日奈さんだった。
 俺の手を握っている朝日奈さんの暖かさが伝わってきた。
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あとがきのコーナー
SS書くの久々だよなぁ…。
んで、よりによって?朝日奈さんからのスタート。
たしかぁ…。
初めて書いたSSも朝日奈さんだったよなぁ?

リハビリを兼ねたSSっす。
一発書きはもはやお家芸(笑)
プロットないのもお家芸(爆)
ほのぼのなのも〜(以下略)


まぁ、そんなわけで…(汗)