コアラ困った!
「あのね、今度バレンタインにこっそり大好きな人のかばんにチョコレート入れておくんだ!」

 …と意味不明の留守電−とはいってもある程度予想は出来る−を聞いて1ヶ月。
 ホワイトデー

 紛れもなく、いつもぶつかってくる名前のわからないぶつかってくる子からのチョコレートには
間違いはないと思う。もらったからには一応ホワイトデーというものがあるから、やっぱりお返しをしたい。


 どうするべきか…


 真剣に悩んでいた。
 好雄にも相談したが、「そんなん、自分で考えろよ。男だろ。もう、あたって砕けちゃえ」
なんて他人事のように言ってきた。…本人は大真面目なんだろうが。

 
 クラスは当然違う。おまけに名前もわからない。
 さらに本当にその彼女がチョコをくれたかどうかも100%確信がない。
 困る俺。
 女のこのことは任せてくれよ、なんていった好雄に聞いても、なんか彼女のことだけはデータがないらしい。
 すべて謎なのだ。
 

 俺は悩みぬいた結果、あるひとつのことを思いついた。
 チョコをくれたのはきっと間違いないはずと思い込むことにし、やっぱりお返しをしたいから、
俺もわざとぶつかってその隙にチョコを渡すなりかばんに入れるなり、してしまえと。
それだけじゃわからないだろうからちょっとした手紙も添えるて。



 そんなこんなでついに、ホワイトデーが来てしまった。


 しかし、そういうときに限って彼女は現れないという事実。
 ぶつかってくるのは決まってるわけじゃぁない。

 もう、自分からぶつかるしかない。

 そう、覚悟を決めていた。ホワイトデー

 1時間目がすぎ、2時間目がすぎ、伊集院にはいやみを言われ、お返しのチョコをひそかに持ち
廊下で待つ休み時間はあっという間にすぎていく。

 お昼休みも終りチャンスはあと少ししかない。



 そのラストの休み時間。
 ふと俺は何をしているんだろうか、なんて考えてしまう。
 堂々と彼女の教室に行って探して手渡せばいいじゃないか。

 …名前もわからないのに?
 とよぎる。

 名前はわからなくても、いつもぶつかってくるから見た目はすぐわかる。
 そうだ。
 そうしよう。

 でも、もし、チョコをくれたのが彼女じゃなかったら?

 不安になる。

 だが、俺には他にチョコをくれる女子なんか他にあてもはない。

 とりあえず…

ドン!

 ぶつかった!
 1人でぼーっと考え事してたら誰かにぶつかった。
「「ごめんなさい…」」

 ぶつかった人も同じく声を出す。
「あっ…」
 と、声がでた。いつもぶつかってくる声。
 留守電にいつも入っている声。
 間違いない。

 さて、どうしよう。
 多分このまま彼女はごめんなさいっていって、去って行ってしまう。
 彼女より先に声を出さなければ…、なんて思っていたら
「ごめんなさい。また…。急いでいたので…」
「ごめん。俺のほうこそぼーっと考え事してたから」

「あの、それじゃ」
「ちょっとまって」

 俺は彼女が行くのを止めた。いつもならそのまま過ぎ去る彼女が困惑している。

 肝心の用をなかなか切り出せないでいる自分がもどかしい。
 本当に彼女がチョコをくれたのか?
 まだ疑問に思っている自分がいるから。

「あ、あの…。本当にごめんなさい」
「いや、違うんだ。ぶつかったことはいいんだけど…」
 どうやって渡そう。目の前に彼女がいるのに。

 なんて切り出す?
「あの…?私急いでいるんですけど…」

 もう、どうしようもないから
「あ、あの、これ。どうぞ」

 どうしていいかわからないから俺はもうお返しのチョコを何も言わずに彼女に差し出した。

「私に…、ですか?」
「そう、きみに」
「な、なんで私に?」
「えっと、それは…」
 バレンタインのお返しってはっきり言えばいいのに、それがいえない自分がいた。
「えっと…。いつもぶつかってくるから」

 なんて適当なことをいってしまったんだろうかと後悔する。

「受け取っていいのかな?」
「うん」
「でも…」
「ごめん。さっきの嘘。今日ホワイトデーだから」
「…!」
 驚く彼女。
「私でいいのかな…」
「多分、いいとおもう」
 そして、俺はそれじゃ、とだけ言ってその場を後にした。
 いつもは彼女がそうしているように…。


 だけど、これでよかったのだろうか?
 せっかくもっと色々聞けるチャンスだったのに。
 でも、これでいいんだ。
 そうだ…。これで…。






 そんなこんなでどたばたなホワイトデーも終了し、夜。
 留守番電話が入っていた。

 いつもの彼女の留守電
「大好きな彼から直接お返しもらっちゃったんだ。自分は直接渡せてないのに…。ゴメンなさい。
コアラ困ったー!でも、すごくすごく本当にうれしかったんだ。ありがとう」


 そうか。やっぱり彼女でよかったんだな。喜んでくれたみたいでよかったな。

 でも…コアラ困ったーってなんだろう?
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超久しぶりなSS

'11'3'18
ホワイトデーもすぎているのにホワイトデーネタを書く俺…。


実際のゲームの中では、こういうことは起こりえないんですよね
館林さんはチョコくれないし。
電話で、チョコあげるとかって言う留守電がでるのは3年目。
もし3年目にチョコをもらえたとしても3年目の3月は卒業しているから実際はありえないのでした。

もし、ありえるなら2年目かな?

てか、いいのか?こんなないようなことネタにして…

まぁ、いいか


コアラ困ったー!