さよならは言わない!
「未緒どうしたの?最近練習に身がはいっていないようだよ?」
「あ、さっちゃん…」
「うん、ちょっとね」
「あ〜分った!未緒、誰かに恋してるんだ!」
「え!!もう、さっちゃんたら」

私は如月未緒
きらめき高校の2年生
文化祭の演劇部の出し物に向けて
練習中です。
いま隣にいるのは私の友達で黒岡 幸恵ちゃん。
同じく演劇部のお友達です。
彼女と出会ったのは一年生の時
同じ演劇部にはいってすぐ仲良くなりました。
だって、彼女私と同じでいろいろ本を読んで
私と気が合うんです。
今年の出し物はちょっと不満です。
だって子供が見るようなだしものなんですもの。
九伊豆戦隊カルトマンなんて・。

「もう未緒ったら」
「あ、ごめんなさい。さっちゃん」
「まだ嫌って思ってるんでしょう?」
「うん…」
「しょうがないよ!未緒。私だっていやだよ。こんな劇。恋物語をしたかったよ」
「クス・・・私も恋物語が良いな。ロメヲとジュリエッタとか」
「三年生になったらそれをやろうね。未緒」
「ええ、出きるといいですね」
「じゃ、その為には今をがんばらなきゃね!」
「ええ。じゃ、頑張っていきましょう」


「はいはい!じゃ、一回最初からいくわよ」
 と部長さん。もう少しで本番なのだ。
 如月はカルトマンの敵役。
 謎ラーの手下その1。
 黒岡はというとカルトマンピンク役だった
 そのことでも如月はちょっと嫌だという気があったのだった。
 一緒に頑張ってきたのに私は名もない役。
 だがこんな役でもタイトルがタイトルなだけにどんな役でも嫌なものは嫌に他ならない。


 練習が始まりました。 
 …私は後半あたりからの出番なで
 すこし空きがあるんです。
 でも、しっかりさっちゃんたちの演技を見ていないと。
 でも私にはもうちょっと気になることがあるんです。
 私ある人に、恋してるんです。

「はいはい、ちがうでしょ!!もう、何回言ったら分るの?」
 また部長さんが怒鳴っているようですね。

 で、練習が止まる。
 そこへ 黒岡が未緒のところへやってきた。
「未緒!!どうした?」
「あ、さっちゃん…」
「やっぱしぼ〜としてるぞ!!」
「え。うん」
「もう!未緒!!友達でしょ!いいなよ」
「うん」
「友達の私にも言えないと言うと…。ああ、やっぱり恋だね」

 ―図星!!―
 未緒は断言され彼のことを一瞬想った。

「みーお?でしょ!!」
「あ、あてられちゃいました」
「で、相手はだれ?」
「そ、それは…」
「そうか、だれって聞いて名前を言えるような性格じゃないよね、緒は」
「ふう」
「まあ、がんばりなよ!応援するからね!」
「ありがとう!さっちゃん」

「ハイハイ、今日はもう終わりにしましょう!あと少ししか時間がないのよ。それぞれしっかりと練習しなさいね!!」
 と部長さん。
 今日も1日終わった。

「じゃ、未緒、一緒にかえろうか」
「はい、いいですよ」

 二人仲良く下校することにした。
 あまり友達を作らない未緒にとってはこの黒岡 幸恵と言う人が数少ない友達だった。
 後もう一人、元気で、明るい友達がいるのだが。
 彼女の名前は虹野沙希サッカー部のマネージャー。
 そう、未緒が好きな人がいるのもサッカー部だった。前に虹野と、好雄とその男の子と4人で遊園地に行ったのがきっかけだった。
 すごくやさしくて始めてあった人だというのになにか暖かい感じのした人だった。観覧車に乗って
本の話をしたら、彼もどうやら本が好きなようだった。
 それから何回か図書館や中央公園で、会ったこともあった。

「未緒、じゃ行くよ」
「はい、帰りましょ」
 と校庭にでると、運動部の掛け声らしき怒鳴り声が聞こえてくる。
 未緒はきっと今日も遅くまで頑張ってる彼のことを考えてしまった。

さん、今も練習中…」
 私は声を出してしまい、さっちゃんに聞かれてしまいました。
「未緒。って、 くん?」
「あ!!」
 私はもうどうしていいことか。顔が真っ赤になっていることでしょう。
「ふ〜ん、君か…」
「誰にも言わないで下さいね」
「言わないよ。安心してよ」
「そうです、彼とってもやさしいんです」
「確かにやさしいかもね。サッカー部の次期主将、キャプテン候補。きらめき高校サッカー部のエース。
でも君に幼馴染いなかった?」
「はい?そうなんですか?」
「いたはずだよ。たしか、同じクラスの藤崎さん。」

 私はショックでした。
 そんな事。私、ちっとも知らなくて、本人も言っていなかった。
 沙希ちゃんもそんな事言っていなかったのに。


「未緒?」
「あ、さっちゃん…私、急ぎます…」
「未緒!!」

 私は急いで帰りました。
 体が弱いのを忘れて無我夢中で。そして、家に帰るとずっと部屋で泣きました。

 そのさっちゃんの言葉は私に深く残りました。
 幼馴染=恋人そう思いました。

「藤崎さんじゃ。私、かなわないかな…」

 こんな友達も少ないし一緒にいても

 でもあの時の体育祭の彼のやさしさ。
 二人三脚。私が遅いのに、彼はかばってくれた。あのやさしい目で…。

 私は…?


 ………
 そのまま私はは眠ってしまったようです。
 不安がいっぱいで、想いを抱いたまま…。
 そして、次の日

 私はさんのことを想うと学校へは行きたくありませんでした。
 ―でも行かなきゃ―
 私はその重たい足取りで学校へ行きました。

「未緒!おはよう」
 校門でさっちゃんに会いました。
「あ、さっちゃん」
「もう、元気無いな」
「だって…」
「もう。ね、未緒。幼馴染がいるからってそれイコール恋人ってわけでもないでしょう?」
「だけど…」
「ねえ、未緒の想いってそんなものだったの?」
「でも、私じゃ…藤崎さんには…」
「もう!!弱気なんだから!未緒」
「良いんです。私があきらめれば」
「未緒!!」
 ちょっと大きな声で私の名前を呼びました。
「なんですか?そんな大声だして」
「しっかりしなさいよね!本当に好きだったら、ぶつかりなさいよ!本の中みたいな恋なんてそうはないよ!」
「さっちゃん…」
「ね。だからはっきり言っちゃいなよ!勇気をだして!」
「で、でも・・・もし、もしも藤崎さんのことが好きっていわれたら私は立ち直れません。」
「でもね言わないで終わりになんて出来ないよ!きっと後悔するよ。だったら言って後悔したほうがいいでしょう?」
「そうですけど…」
「もう、じゃ、言わないでおくつもりだったんだけどひとつ教えてあげる」
「はい。なんでしょう?」
君は藤崎さんのこと好きじゃないって!」

 私はそれを聞いて少し驚きました。
 なぜさっちゃんがそんなことしってるのでしょうか?

 チリンチリン。チリンチリン。
「じゃ、未緒そういうことだからね!がんばりなよ!」
 とあわてて 黒岡はさっていった。未緒は始業のベルに気がつくのが少しおくれ急いで教室へいく。

 いつもと変わらない授業。
 でも未緒にはさっきの言葉がまたずっと心に残っていた。

 ふとそとを見る未緒。
 そこではA組が体育の授業だろうか、サッカーをしていた。
 見なれた男の子の影が見える。2階だがそれは未緒にはちゃんと見えていたのだ。

 私はぼーっといつもならちゃんと受けられるはずの授業がなにも耳に入らなかったのです。
 さっきの言葉がのこっていたせいでしょうか?
 それとも校庭の君が見えるから?


「如月!!どうした?なにぼーとしてる?具合でも悪いのか?」
「あ、す、すみません」
 窓を見ていたら先生に怒られてしまいました。
「じゃ、如月、この問題を解いて見ろ。いつものお前ならできるはずだろう」
「はい」



 そんな感じでぼーとしていた私でした。

 放課後いつもの様に演劇部、体育館に行きました。
「未緒!やっほ!!」
「あ、さっちゃん。いつも元気ね」
「まったく、未緒はまた暗いぞ!いったでしょう!君は藤崎さんのこと好きじゃないって」
「でも、どこからきいたんですか?」
「それは、ちょっとね。ある情報だよ」
「確かなんですか?」
「大丈夫でしょう。あの人なら君の親友だし…」
「というと早乙女さん?」
「知ってるじゃない!そうよ。好雄君」
「知ってます。さんから聞いてます。あいつは親友だって」
「なら問題無いじゃない!確かな情報でしょう」
「でも、だからといって…」


 そう話していると、聞きなれた声がする。
 未緒は『はっ』となってみるとそこには憧れのがいた。

「あ、さん。どうしたんですか?」

 私はもうどうしたらいいのか。
 頭の中が真っ白です。
「ね、如月さん!今日はクラブ休みでね。でどんなものだか様子を見に来たんだよ」
「お〜い!!!!まったく、どうしてお前はそうせっかちなんだ!」
「あれ、好雄、今ごろきてなにやってるの?」
「いっしょに行くって言っただろう!」
「そうだっけ?」
「まったく!すぐコレだよ。如月さんのことになると」
私は早乙女さんの言ったことを聞き逃しませんでした。
「クス」
「あれ、どうしたの?如月さん?」
「もう、君たらちょっと鈍いな…」
 と、さっちゃんがいいました。
「もう、さっちゃんたら」
「なんだよ、みんなして?俺にゃさっぱりわからねーじゃねーか!え、説明しろよ。!」
「もう、うるさいぞ、好雄は!」
「そうですか、ではコレから通し稽古するのでよかったら見ていってください」
「あら〜。未緒、嫌じゃなかったの?」
「いえ、私は頑張ります。来年こそ『ロメオとジュリエッタ』をやる為です」
「そう、じゃ、そのときのロメオは君がいいかな?」
「なんでそうなるん?俺サッカー部だぜ。 黒岡さん」
「良いのよ、飛び入り参加大歓迎!」
「しゃーない。そのときは如月さんと一緒にやりますか?」
「あ、私も…」
 なにも言えない私でしたが嬉しかったです。
 さりげなく言った、さんの言葉に感激していました。

「ちぇっ、俺だけかやのそとかよ。ってあ、 黒岡さん。どうだったの?如月さんは?」
「見てのとうりよ。大丈夫でしょう」
「ま、は俺の親友だからな。協力するぜ!」
「もう、好雄君たら!!私も未緒の親友だから応援するのよ」

 私は不安が無くなりました。
 いつものやさしい目。
 そして、一緒にいると落ちつく感じ。
 彼、さんもきっと、私のこと想ってくれているんでしょう。



 そして練習が始まりました。いつものとうり私は敵役手下その1
 でもさんが見ていてくれてるんですものしっかりやらないと。

 と、そのとき,
 ダン!!!
 と大きな音がしました。
 いきなりセットが さっちゃんの足にセットの一部が落ちてきました。
 私は何が起きたのかすぐには理解できなかったですけど、大変な事になりました。
「大丈夫?さっちゃん」
「つー…足…」
「誰か。あ、ちょうど良いわ。そこの男子!!」
 部長さんは好雄さんを指名したようです。
「はい?おれですか?」
「そうそう、ちょうどいいから黒岡さんを保健室に連れて行ってあげて」
「は〜。ま、いいですよ。」
 

「だいじょうぶか? 黒岡さん。」
「だ、だいじょうぶ。じゃ、ないみたい」
「じゃ、負ぶって行こうか?」
「肩を貸してくれれば良いわ」
 と二人は保健室へ行きました。


「さーて。困ったわね。女子の部員は少ないし。ピンク役…」
 そうです。女子は私とさっちゃんと後輩2人あわせて4人しかいないんです。
「じゃ、如月さんやってみる?いや、如月さんしかこの役はいないわ」
「でも、わたし…」
「いいじゃない。如月さん。この機会にやってみたら?如月さんならできるって!!」
「…さん」
「大丈夫、俺が応援してるから」
 私はうれしかったです。さんの言葉が。

 そして、私がピンク役をやることになりました。
 黒岡さんも私のことを応援してくれました。

 そして、当日は…、いうまでもありません。
 さんのおかげでしっかりやることが出来ました。

 私は確信しました。
 この想いはつながっている、と。


 そして、3年生になって
 私は彼と伝説を実現したのです。
 やさしいさんといっしょに。
 あの、伝説を…
END
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