スニーカーとお弁当
 ピリリリリ・・・
 ピリリリリリリリリ・・・・
 ピリリリリイリリリリリ・・・
 目覚し時計が鳴り響く・・・
 日曜日の朝。6時。
 天気がいいようで、すずめたちが
 仕切にチュンチュン鳴いている。
「ん・・・ん・・・ふあ〜あ・・・」
 さくらんぼのかわいい寝巻きを着た女の子は目をこすり、眠たそうに起きるとカーテンをあけて、朝一番の気持ち良い空気をいっぱいに吸いこむ。
「おはよう・・・今日は良い天気!絶好のデート日よりだね」
 風が彼女の髪の毛を揺らす、心地よい風。
 彼女は虹野沙希。きらめき高校の生徒で、きょうは好きな彼とデートなのだ。
「よし。お弁当をつくらなきゃ!彼、楽しみにしてたから」
 とはいっても、昨日のうちに下準備は終わっていて、きょうはおかずを揚げたり、焼くだけ。
 彼の大好きなから揚げ、ウインナー、もちろんタコさん。お弁当に定番の卵焼き。
 それと、五目煮。サラダにマカロニと、卵、玉ねぎ等をマヨネーズで合えたもの。
 と、高校生が作るものとしてはかなりこっていた。
 沙希の弁当は通称「虹弁」などと呼ばれており、男子達にはあこがれているものだったが、彼女自信は
そんなことまったく気にしないようだった。
「うん、きっと、喜んで食べてくれるよね…。彼の好きなものばかり入れたから」
 沙希は少々自信なさそうにつぶやく。
「それじゃあ、ごはんをおにぎりにしてっと」
 といいながら、沙希はおにぎりを作る。
 その手つきは手馴れたもので、簡単に、ひとつ、ふたつ・・・ななつと作っていくのだった。
「ええと、作りすぎちゃったかな?でも運動してるしこのぐらい食べちゃうよね、きっと。
さーて、出来た!!・・・もう少し時間があるみたい・・・」
 そしてバスルームへ向かうと服を脱ぎ、シャワーを浴びる。


 ・・・・・・(あれ?変な想像した?残念でした!!)
 (・・・。by沙希)
 ・・・・・・


「うん、気持ち良かった。・・・そろそろいいかな?」
 と、時計を見るど7時半。
「あれ、ちょっとまだ早いな…。でもいいか。」
 とっておきのお気に入り白のスニーカーをはく。
 そう、彼が去年の誕生日に買ってくれたもので、一回沙希がはいてデートに行ったら、すごく似合ってる、といってくれたのだ。
 沙希自信もこの白いスニーカーをすごく気に入っていた。
 軽くて、履きやすくって、それでいて、どんな洋服にも合うものだった。
「いってきまーす」
「気をつけるんですよ。いってらっしゃい。」
母親にそう言うと、少し急いで歩く。うれしくてしょうがないのだ。


 歩くこと約10分、沙希はバス停につく。
「・・・やっぱり、少し早かったかなぁ」
 バス停では、バスを待つ人が数人。
 きらめき中央公園にはここからバスで約30分。
「バスは…あと10分か。」
 ここのバスは一時間に3本しかないのだった。
「早くバスこないかな…」
 ・・・
 ・・・
 (彼、すっごく楽しみにしてたからな。もしかして、私と一緒で早く来てるかも)
「クスッ」
 と一人、はにかむ。



「あ、来た。」
 と、バスが到着。プシュゥ〜と、入り口が開く。
 すると、見なれた姿が一人。前を向き、青と白のストライプの洋服。
「あ・・・」
 と声をあげるとそこには彼がいたのだった。
 彼も気がついたようで。
「おはよう、虹野さん」
「おはよう。早いね。」
「なんか待ちきれなくって」
「えへ、あたしも…」
「なんか、早起きしちゃってさ。今日が待ちどうしくって」
「あ、そう。私、飛びっきりのお弁当作ってきたから、一緒に食べようね」
「もう、腹ペッコペコ。この為に、朝飯抜いてきたんだ」
「え、よかった。おにぎり大き目のを7個もつくってきたから。
それに貴方の好きなから揚げも作ってきたからね!」
「ほんと?すっげー楽しみ。早く食べようよー」
「まだだよ、お昼になってからね」
「おーし、張りきって食うぞ」
「うふふふ・・・」
「あ、そのスニーカー。はいてきたんだね」
「うん。ありがとう。気がついてくれて。私のお気に入りだから」
 沙希は彼がスニーカーに気がついてくれたことをうれしく思った。

 彼がくれたスニーカー。
 誕生日に買ってくれた、始めての物だったから・・・
 そんなことで楽しんでいる二人、バスの中。
 デートはこれから。
 何かが起こりそうなさわやかな時間。
 沙希と彼は中央公園で二人、爽やかな時をすごしたのだった。

 言うまでも無く、沙希の弁当は最高だった。
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