気になる彼
「あ、おはよう」
そう声をかける、朝。彼はうつむいてこっちを見る。
「どうしたの?何かあったの?」
私は心配になる。なんか元気ないなぁ。本当にどうしちゃったのかな?
クラブで何かあったのかな?…でも金曜日は何もなかったよね?
「ねぇ、何かあったの?私でよかったら相談に乗るよ?」
とはいっても、私がどれだけのことができるかわからないけど。
でも、彼は
「大丈夫だから…」
そういってまたうつむいて教室のほうへ向かっていった。
大丈夫かな?彼。
私にできること…、なんだろう?
あ、授業が始まっちゃう。
私は急いで調理実習室へ急いだ。
そう、この授業は調理実習。
バレンタインも近いこの時期、お菓子作りなんてチョコを作りなさい、なんていっているようなものよね。…みんなチョコを作るんだけど。
一応私は何回か作ったことがあるから大体は大丈夫ね。
これならクラブのみんなも喜んでくれるねっ、って思って、小さいのをいくつか作るつもりだったんだけど…。
……彼のことが気になるな。
私は予定していた小さなクラブ用のものから大きいのをひとつ作ることにした。
みんな、いろいろな想いをこめて作るんだろうね。
私も…。
これで冷蔵庫で固めれば完成。
調理実習はあっという間に終わり。
そして、放課後。
クラブの時間が始まる。
…だけど彼は来ないな。2年生主体の今の時期、彼はレギュラーになるかならないかの大切な時期なんだけど。何かあったのかな?この時間に隙を見て渡そうと思ったのに。
コーチから聞くと何でも今日は休むとかで…。
理由は聞いておらず、一方的にみたい。
私は気になってマネージャーということを忘れて彼を探しに飛び出した。
彼の教室、ほかの教室、体育館………。
でも、いなくて。ついたのは屋上。夕日がきれいで、あたりをオレンジ色に染めていた。真正面に彼がぼーっと空を眺めていた。
私は近づいて、ぽんって背中をたたくと彼はびくっっとして私のほうを向く。
「どうしたんだよ?元気ないぞ?」
「……」
うつむいたままだった。
「君らしくないよ?」
「……」
「ね?」
夕日に染まる私たち、屋上に二人きり。まだ冷たい風が時折私たちを刺していく。
「ね?クラブは?」
「……」
「一緒に行こう?」
「休むって」
「どこか体の具合でも悪いの?」
「……」
「ねぇ、黙ってちゃわかんないよ。元気なあなたを見て、私ずっと応援していたいな」
「……」
「私には話せないことなのかな?」
「……」
「そう、……なんだね」
私と彼の距離がすごく離れたような気がした。
いつも私と一緒にいたと思ったのに。
「ごめん」
そう一言だけ言ってまたうつむく。
「でも、私はあなたのこと応援してるから。元気ないつものあなたに戻ってね」
「……」
そして私は渡そうと思っていたチョコを取り出した。ちゃんときれいに包装もしてある。
「これ、どうぞ」
「……」
「受け取って、くれるかな?」
そういうと彼は怪訝そうな顔で受け取ってくれた。
「今日調理実習があってね。ちょっと早いけどバレンタインの予行練習」
「え?」
「うふふ」
「ありがとう」
そういって彼は少し笑顔が戻った。
元気で笑顔の似合う君がいいよ。うつむいてちゃ君らしくない。
「元気出してね?私はずっと応援したいから…」
「……」
「それじゃ、私は行くね?私でよければ相談に乗るからいつでも声かけてくれるとうれしいな。一人で悩んでいるより楽になるよ?ね?」
そういって私はクラブに戻ろうとした。
「あ、待って」
私は振り向く。
「ごめんね。心配かけて。でも、もう大丈夫だから。ありがとう」
そして彼はいつもの元気な彼に戻った。
私がずっと応援していたい、そばにいたい彼に。
……落ち込んでいた理由は何だったのかな?
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あとがき書かんとこれじゃしょーもねぇだろ?
ってことで、名前が一切出てきません。
これで誰かわからんかったらおいらSS書き辞めます(うそ)
わかると思うんだけどなぁ?
わかるよね?(滝汗)
わからなかったら拍手にでも誰かわからんと突っ込んでください(死)
さて、彼が落ち込んでる理由。
設定、頭の中では幼馴染とデートして嫌われた〜です。
はじめはクラブでうまくいかないってことでとか考えていたんですが、どうもおかしくなるのよね。
んで、応援してくれている彼女に吹っ切れたと。
まぁ、こんな感じで。
ですんで、彼女には口が裂けても理由はいえないわけです(汗)
一応バレンタインも兼ねてます(苦笑)
今年もおいらは無関係……orz