ときめきのTELL
「もしもし、コアラのリボンの女の子です。あのね、今日素敵なケーキ屋さん見つけたんだ。
今度一緒に行こうね」
 何回目だろう?
 彼に電話をするの。
 私、ずっと彼のこと想ってきた。
 うーん
 彼、私の事気がついてくれてるのかな。
 見晴はベットに横になり考えていた。
 入学式の日に人目ぼれした彼のこと。
 これまで、何回か留守電にメッセージをいれ、学校ではわざとぶつかった。
 そう、彼に出会うきっかけを作るためだった。
「でも、ぶつかってばかりだし、
留守電にも『コアラのリボンの女の子』
だもの、名前とかわからないよね」
 と、一人悩む。
 ーでもはずかしいー
 う〜んと考え、
 本当に一緒に、ケーキ屋さんに行けたらいいな。
 
 今日、友達の美樹原さんと一緒に行ったのだ。
 美樹原さんとは同じクラスで、
 大の親友、そして、彼女は藤崎さんの親友で
 藤崎さんは彼の幼馴染……
見晴は、もう一回電話をしようと、
受話器ー子機ーを取る。
もう11時過ぎてるから、寝ちゃったかな?
ぷるるるるるるる…
ぷるるるるるるる…
ぷるるるるるるる…
 でない…
 また留守電に変わるのかな?
 でも、出ちゃったらどうしよう?
 なんて見晴はどきどきしながら受話器を握っていた。
 がちゃ
「はい、もしもし」
−っあ!!どうしよう!!
 見晴は心臓が破裂しそうなほどどきどきしていた。
「もしもし、どちら様ですか?」
−うわっ、うう……
 見晴は声が出ない。
−せっかく彼が出たんだから何かいわなきゃ
「もしもし。いきなりごめんなさい。コアラのリボンの女の子です」
 これが精一杯だった。
 もし、怒っていたら?なんて考えるとまた心臓が破裂しそう。
「あ!!コアラのリボンの女の子って
いつも留守番電話にいれているひと?」
−覚えていてくれたんだ。それだけでもすごくうれしかった。
「はい。そうです。いつもいつもごめんなさい」
−なんで誤ってるの?私…。
「いや、別にいいんだけどね。
でもどうしたの?いつもは留守番電話なのに…」
−え…。どうしよう?
「……」
 言おうとすると彼のほうから先に、
「ねえ?いつも学校でぶつかってくるよね?」
 −あああああ!!
 どうしよう?怒ってるのかな?
「あの、いつもいつもごめんなさい」
 誤るのが精一杯。
 緊張して何も言えない。
「別に怒ってないよ。あのさ、今度ぶつかるんじゃ無くて
ゆっくり一緒に話をしたいなって…」
 −え!!
 見晴はうれしくて泣いた。
 彼から誘ってくれるなんて。
「はい。私うれしいです。今度あえる時は、
一緒にケーキ屋さんに行って…」
 あとが続かない。
「もしもし?大丈夫?」
 −やさしいな、彼。
「はい。大丈夫です。この次ぎはちゃんと
ぶつからないであいたいね。」
 −あ。もう私、心臓が破裂しそう!!
「うん。あもうこんな時間だ。明日学校だから
そろそろ寝るから」
 −あ、ちょっと長く話しちゃったかな?
「はい。おやすみなさい。明日学校であえるといいね」
−明日はちゃんと会ってお話できるかな?
「そうだね。じゃお休みなさい」
 がちゃ
 ツー
 ツー
 ツー
 
 はじめてかな?
 彼とまともに話すのって。
 でもよかった。
 彼、怒ってないし。
 ちゃんと会おうって言ってくれた。
 明日はぶつからないで、
 ちゃんといえるかな?「私、館林見晴です」って…。

 さ、もう寝よう。
 
 そして 

 勇気を出して

 ちゃんと

 お話するんだ。
END
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