2人
 もう、彼女に声をかけるのは何度目だろうか?
「紐緒さんは、何をそんなに熱心にPCに向かっているの?」

 キーボードをたたきながらさっきからPCとにらめっこしている紐緒さんに声をかける。
 何度も声をかけたが、「今はだめよ」の一点張りだった。
 しかも、モニタをのぞこうとすると「あなた、秘密を知るにはそれ相応の覚悟がいるのよ」
としか言わない。きっと、またとんでもないことをしているのだろうとは容易に想像はつくが
それがどのようなものなのか少し気になって仕方がない。

「そうね、もうだいぶいい感じね。これをみなさい」

 そういって、俺を呼び、モニタをみなさいよ、と指をさす。

「なに、これ?」
 そこには日本を中心とする地図が出ていた。

「あなた、これただの地図に見える?」
 紐緒さんがこんなただの地図を作っているはずもなく、ただの地図ではないことは確かだ。
「うーん。紐緒さんのことだから、ただの地図じゃないよね…」
「最近あなた私のことが少し理解できるようになってきたじゃない。さすがね」
 それはもう3年間も一緒にいるわけだし、紐緒さんの考えていることはある程度わかるようになったよ…。
 ただ、そうはいっても、その地図が何を意味しているのかは少しわからなかった。

「うーん…。なんだろう…?」
「ほら、考えて見なさい」
 そうは言われても…。

 そういって少しあいだを置いて
「しょうがないわね、シミュレーションよ」
「なんの?」
 といって、もしや…、と思った。
「何の、って決まっているでしょ」
「そ、そうだよね…」
 聞いた俺がアホでした。
「今不法占拠している竹島に私”たち”が攻め込んだらどうなるかのシミュレーションよ」
「ふむふむ。って、私”たち”?」
 日本がってことだろうか。
「そうよ。不法占拠している不貞な輩を排除するのよ」
「不法占拠してることは知ってるけど、できるの?」
 …鋭い視線が俺を刺した。
「誰に言っているの?私は紐緒結奈よ!邪魔者は叩き潰すのよ!」
 はぁ、そうですか…。いつものことですね。
「それで…?」

「もう、鈍くなっちゃったわね。私たちが攻め込んだら日本を含むほかの国がどう動くかのシミュレーションよ」
「はぁ、なるほど。…って。日本を含むって、ことは?どういうこと?」
 しょうがないわね、って顔を俺に向ける。
「いい、これは腰抜けの政府に変わって私たちがやるのよ。そのためには伊集院君にも力をいやでも借りるわ」
「…」
「彼の持っている私設軍隊は使えるのよ」
「はぁ…」
「そのためのシミュレーションよ」
「いい、よくみてなさい。私たちが組めば竹島尖閣は簡単に落とせるのよ!世界征服の第一歩よ!」
 燃えてきたわ!といわんばかりにふっふっふ、と笑っている。
 もはや紐緒モードに入っている。
「日本も私たちの敵になることは間違いないわ。そのため…」
「ちょっとまった!」
 俺はそこで強引に話を止めさせた。
「なによ?不満なことでもあるの?」
「あのー、日本も敵になるということは、日本政府を敵に回すということでしょか?」
「当然よ」
 さらりと答えてくる、紐緒さん。
「んで、そのあとは…」
「みればわかるでしょ、隣の国も攻めてくるから相手にするのよ」
「それはわかった。そんな他国を相手にして勝てるの?」
「やってみなければわからないわ。でも、勝算はあるのよ。私を誰だと思っているのよ?」
「ひ、紐緒さん…」
「そうよ、世界を征服する、紐緒結奈様よ!」
「で、さらに確認なんだけど…」
「何かしら?」
「その私たちってさっきからいっているのは…」
 そういって、俺?と自分で指をさす。
「ほかにいないでしょ?」
「…」
「一緒に新世界を作るのよ!」

 あー、もうだめだ。完全に切り替わっている。
 こうなったら彼女は止められない。

「ふっふっふ。邪魔者は叩き潰すのよ!この私が、この手で自ら!世界征服の野望は誰にも止めさせないわ」

「あの、紐緒さん…?」

「なによ?」

「お言葉ですが…」

「あなたも私の野望の邪魔をするつもり?」
 そしてまた俺をにらんでくる。
「そんなつもりじゃ…」
「そう?ならいいのよ。あなたは私についてくればいいのよ」
「は、はぁ…。そうですか」
 逆らわないでおこう…。

 紐緒さんにはもう強行にやることしか考えてないのだろうか?

「なによ。しょうがないでしょ。突破口を見つけないと世界征服はできないわ」
「…」
「今、日本の政府が弱っている今こそがチャンスなのよ」
「…」
「なによ、その目は…」
「俺は何もいってないよ」
「目が訴えているわよ」
「…」
「私だってあなたと3年間近くすごしてきたわけじゃないのよ。あなたの考えくらい少しならわかるわ」
「…」
「でも、しょうがないじゃない。この今の状況を見ていたら」
「そうだけど…」
「誰かがやらないといけないのよ」
「…」
「だから、私がやるのよ。誰もやらないからこそ。そうすれば世論を私に向けられるわ。そうすればこっちのものよ。いい?私の科学力を見せ付けるときなのよ!」

 もはや、はぁ、そうですか、としか言い様がない。
 失敗したときはどうなるのか…。というか、どう考えても伊集院の軍隊が何人いるんだか知らないけど彼らを使ってたとえ決行したとしても他国を相手に勝てるわけがないのではなかろうか…?
 民衆の世論を得たとして勝てるのだろうか?

「何よ?まだ何かいいたそうね…」
「…」
「シミュレーションではうまくいっているけど、実際はこのとおりにいくとは限らないのは私も理解しているわ」
 そういって、一息つき、冷静になる。
 モードが切れたのだろうか。
「…」
「まぁ、いいわ。このシミュレーションもまだ完全じゃないのよ」
「そ、そう…」

「でも、いずれはこの世界は私のものよ…」

 そうですか、としかやっぱり言いようがない。
「さ、もう、遅いし帰りましょう」
 そういわれて時計を見る。…あれ。いつの間にか18時過ぎていた。
「そうだね」


「ねぇ、紐緒さん」
「何よ?」

「俺、紐緒さんとずっと一緒にいたいな」
「な、なによいきなり…」
「だから、戦争は…」
「そうね…。でも、必要なときにやらないとだめなのよ」
「…」
「私も、大切な人を失うのはいやよ。だから、よ」
「え…」

 少しの沈黙。
 
「ほら、帰るわよ」
「うん」


「大丈夫よ。あなたを失うようなことはさせないから」
「え…」
「ほら」

 そういって、ぐいと引き寄せられる。いつになく大胆な紐緒さん。
「あなたを失ったら、こういうこともできないじゃない…」
「…」
「でも、いずれは世界は必ず私のものにしてみせるわ!」
 …もはや何もいうまい。
 紐緒さんの手のぬくもりが伝わってくる。
 つめたいようで、暖かい。
 そんな紐緒さんのぬくもり。 
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2012/3/2


竹島は不法占拠され尖閣もごらんのありさま
沖縄は中国が『沖縄大虐殺』なんて意味不明なものを作り上げ沖縄を取ろうとしている現実
いまだに北方領土は帰ってこずで、さらに日米同盟もあやふやな状態



日本どうなる?

宙ぶらりんの憲法9条
隣には核武装している国が我が物顔で日本を脅す
また、隣の小国はやはりでっち上げの慰安婦を持ち出して謝罪と賠償(ry)をしてくる

何もいえない日本政府。

どうにもできない現状

国内はデフレでお先真っ暗
政治屋は増税とか寝言を言う始末

女系天皇とか言い出し、日本人少なくなるから移民とか意味不明なことをさらに言う民主党


いまだからこそ、考えないといけないのだ。
いろいろな問題をどうするべきかと。