テンポイント生誕の秘話

 テンポイントの祖母クモワカは昭和23年生まれで32戦11勝の名牝だったが、5歳の6月、伝染性貧血症
(馬の伝染病)と診断され、薬殺処分を命じられた。 しかし、関係者はこの診断が間違いであるということ、
この馬の血を絶やすものかということに強い信念を持ち、クモワカを殺すに忍びなかった関係者は、極秘のうち
に津軽海峡を越え足掛け4年にわたって密かにクモワカを北海道・吉田牧場に落ち延びさせた。
当時の交通手段、馬を連れてとなると、いかに苦難の旅だったかが偲ばれます。

 吉田牧場主の吉田一太郎氏は血統名を、丘高(オカコウ)という名で繁殖牝馬登録をしたのでが、協会は登
録を認めなかったため馬主が裁判を起こし、約11年の永き裁判の末なんとかクモワカの無実を勝ち取りよう
やくクモワカは血統書に甦った。そのクモワカが昭和38年に生んだ仔、牝馬ワカクモはみごと昭和41年の
桜花賞を制し、クモワカの伝貧が誤診であったことを証明するとともに、母が果たせなかったクラシック制覇
を娘が成し遂げたわけで、ワカクモはまさに孝行娘といえるでしょう。
 ワカクモは繁殖に上がりコントライトとの間に1頭の栗毛の美しい馬を産んだ。それが後のテンポイントである。
名前の由来は、新聞に大きな活字(10Point)で載るようにと願いを込めて命名されました。


母:ワカクモ   鹿毛 1963年生    母系祖母:クモワカ(丘高) 鹿毛 1948年生
父:コントライト 鹿毛 1968年生