barcy - ishibashi  Present's

        寄り道エッセイ

大森居酒屋ストリート  第拾六巻



  その46 たまには…ね(苦笑)
 

  いつもの居酒屋でいつもの仲間と飲む。
  人数分の生と秋刀魚塩焼を注文しガッつく。ぷはっ!仕事後の麦酒は天からの恵みだ。

  ジョッキで6杯までは一気に片付け、岩手の男酒あさ開へと移行する。
  秋刀魚を臓器まで食べ尽くすと他愛もないトークが展開されるのが定石だが、
  今宵はお堅い仕事話しになってしまった。
  久しぶりに地酒が塩っぱい‥こんな事ってあるんだねぇ。
  珍しく悪酔い宣言である。

  帰り、自転車でフラフラと我が家の花壇や玄関に衝突し、お隣の八百屋さんに救出された。
  大きなコブが頭にできてとにかく痛い。
  が、このコブと全身の生傷は酒飲みの勲章なのだ。
 


     その47 懲りてねぇ!
 

      二日酔いから復活すると、再び居酒屋に来ていた。
      胃腸が弱っているので、麦酒も日本酒もハートが受け付けない。
      そういう時は無性に体にいいドリンクを欲するものだ。

      大森では昨今、静かなレモンブームが起きている。
      血液をサラサラにしてくれるからだろう。
      今が旬?のレモン酎ハイと何故か酒場でツナサンド。
      妙に健康的で嬉しくなった。
      とどめにUGS(栄養ドリンクの焼酎割り)を頼み、完全復活をはかったが簡単に断られた。
      店長曰く、まずいから止めたんだと反省の様子がない。
      次までに復活させてくれとお願いしたら嬉しそうに承諾してくれた。
      しかし、二度と注文する事はないだろう。
 


  その48 晩秋一夜
 

  予想外の寒さと雨にも降られ、震えながら居酒屋に入った。

  小さな茶碗に熱々の煮込みが御通しで出てきて、店主の心遣いに驚いた。
  この鮪と大根の煮込みに七味を効かせると、身も心も温まり地酒への欲求が高まる。
  ちょっと甘めのなめろうにシャープな墨廼江を合わせ、
  鷹勇のわがままを聞きながらホルモン焼きに舌鼓する。

  最後に串味噌カツがやって来た。
  分厚いカツに八丁味噌とウスターのブレンドソース。
  たまらず口に放り込むと、豚と長葱が同時侵入してきた。

  肉の旨味と葱の甘み、極上ソースが渾然一体となって馬鹿みたいに美味い。
  菊姫がこれを簡単に洗い流すから腹が立った。
 


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