| その85 その地のやり方 |
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都会の煩さに疲れ果て、鬼怒川に癒されにやってきた。 鬼が怒った様に流れる川ゆえ゛鬼怒川゛と呼ばれるらしいが、実にクールに私を迎えてくれた。
霜降りの赤々とした肉をサッと昆布だしに潜らせ、上等なポンズで頂く。
グラスを牛鍋に沈め、燗にしたら、七井が感心する程旨くなり、栃木酒の底力を思い知った。
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| その86 (魚)神かけて |
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サラリーマンの人影が全く見えぬ週末に、ポツンと一件、営業している串焼き屋がある。 カウンターの中で焼き台と向き合うお爺さんが、ドリンクも会計も一人でこなしている。
新しく学生風の団体客がやってきて、一気に手詰まりのお爺さん。
綺麗に食べ終えた二匹の鰰の口と口を合わせ、彼女との永遠の愛を誓い店を後にした。
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| その87 思い出も一杯。 |
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友人宅に遅く迄おじゃまし、直ぐに帰ればいいものを、珍しくラーメン屋に立ち寄った。 6、7年前に毎週通っていた深夜のラーメン屋に、よく話に付き合ってくれたマスターが今も働いていた。
当時の私は、ふぐの調理を怒鳴られながら教わっていて、仕事後、彼に何度も勇気づけられたっけ‥。
グラスビールと味噌ラーメン。心もお腹も一杯になった。
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