| その97 逆鱗おやじ |
|
地酒の扱いには特に煩い親父がいる居酒屋に入った。 まずは十四代の燗から始まり、翠露、天青、九平次と展開していく。
テーブルの上に沢山の利き猪口が並んでいるので、
桝に移したら木の香りが付くからダメだ! 親父の逆鱗に触れ、盛り上がってたテーブル席が一瞬で静寂に包まれた。
|
| その98 背筋が…。 |
|
行き慣れぬ゛高級゛串焼き屋を訪れた。 女将の落ち着いた笑顔にホッとしつつ、琴の音色に耳を傾けると、やはりソワソワしてしまうものだ。 麦酒で肩の力がスッと抜けた頃、粒の大きな砂肝が出てきた。
一度やってみたかった久保田の紅寿、碧寿の呑比べをして幸せを噛み締めていると、
|
| その99 今日の〆は! |
|
70種もの地酒を試飲し、記憶も飛び、クタクタな筈なのに、懲りずに居酒屋へ向かう事にした。 獺祭のぬる燗の絶妙な温度に衝撃を覚え、この店にカリスマ燗師がいる事が容易に解った。 冷やで注文した喜平治は、菜の花の苦みにそっくりで、 かつて何処かのお年寄りに教わった文句を思い出した。 冬の間じっとしていた体には毒素が蓄まるので、春野菜の苦みで解毒するんだよ‥。
麦御飯の上に半熟オムレツ、そこに無菌豚のルゥがかかっていて、全身から涎が出てくる程旨そうだ。
|