第参五巻 

  その103  汝、マヨうなかれ

 仕事が忙しすぎ、睡眠も不十分‥
 早く帰って体を休めたいと思っていると、飲みにいこうと誘いがきた。
 仲間を大事にすべきか、体を重んじるべきか考えるが、結局居酒屋へ行く羽目になった。

 凍ったジョッキの生をゴクリとすると、一瞬にして疲れなど消えてなくなり、
 ちっぽけな事を考えていたと反省してしまう。

 注文していたイカ一夜干し、サラダピザ、イカお好み焼きがテーブルに並んでるが、
 どれもこれもマヨネーズが付いて気分が悪い。
 万能調味料マヨネーズに依存しすぎる料理人が気に入らないからだ。
 岩手のあさ開を空けるが、マヨ料理のせいで再び麦酒をオーダーする事になった。
 


  その104 おちゃめなおやG

 やっと片付けが終り、職場の連中と飯でも食べようと、中国料理屋に入った。

 差しつ差されつ瓶ビールを注ぎ合い、仕事場での健闘を讃え合っていると、熱々の炒飯がやって来た。
 大森一と謳われる炒飯は流石に美味い。
 犬の睾丸を漬け込んだ焼酎は、薬草の香りと雄犬の生命力を感じ、ひとまず仕事の疲れは解消された。

 隣のテーブルで飲んでいた近場の居酒屋の親父が、会計をしてたので
  「車の運転に気を付けて」と気遣ってみせると
  「大丈夫だよ!」と自信満々だ。
 しかし振り向きざま、自動ドアに顔面をぶつけてしまった。
 茶目っ気があって、守ってあげたくなる男だ。
 


 その105 後輩を訪ねる

 我が親愛なる後輩の働く居酒屋を訪れた。
 威勢のいい掛け声とは裏腹に、落ち着いた店内。愛想の良い接客係。
 きめ細かい泡のハートランドBEERをゴクリとすると「いい店だ」と素直に思った。

 ぞくぞくと並ぶ創作料理の中に、後輩自らが考案したメニューがあった。
 筍田楽、鰆味噌クリーム焼がソレである。
 少し照れながら口にすると、数年間別の店で修業をして、随分と腕を上げたんだなぁ、と感心した。

 絶妙なバランスを誇る黒部峡から、瑞泉、海王と一人チャンポン。
 いつの間に豆乳ウオッカまで飲みだし、記憶が半分飛んでいった。
 よき後輩を持てて幸せだなぁ〜。千鳥足の駄目な先輩は思った。
 


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barcy-ishibashi  2003