| その115 残り香…? |
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カウンターに座り、まずは生‥と行きたい所だが、 いつも同じでつまらぬ男と思われたくない故、グレイスフルを注文した。 小さなグラスに注がれた真っ赤な食前酒は、豊満な葡萄の紹興酒のようで、
義坐エ門、月天酔、さらには芋焼酎まで手を出し、フラフラになりながら店を出た。
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| その116 通過儀礼かよ |
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遂にこの日がやって来た。 拒み続けて数年‥、恐ろしい健康診断を受ける羽目になった。 診断結果しだいで、酒飲み゛引退゛の危機が訪れる。 どす黒い血液を抜かれ、利き猪口様の紙コップで尿を取り終えると、
健康的な体?にキレイな酒を注ぎ込もうと、久保田を頼もうとしたら、急にグラッと目が回ってきた。
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| その117 鉄板レース |
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見事なまでの客引に引っ掛かり、自然にカウンターに座ってしまった。 浪曲の流れる店内、目の前の大きな鉄板では、怪しげな髭面の従業員が淡々とオーダーをこなしている。
琉球ホッピーが終わる頃、注文してた牛モツを焼き始めた。
髭面は偉大なるショーマンを気取りながら、たまに私の拳に高温の油を飛ばしてくる。
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