■前書き

料理を始めてみよう人にとって加熱という作業は、とても複雑で難しそうな気がすると思います。実際鍋などの道具が必要だし、使えばそれらを洗わなくてはなりません。結局はこの面倒さが料理初心者のやる気をなくさせる原因の一つなんではないかと思うんですよね。そんなわけでまず料理をすると思いたった場合は、加熱するような料理は避けて生の素材を切ったりするだけで作れる料理をしてみましょう。
加熱の要らない料理をするためには、生で食べられる素材を使わなくてなりません。生で食べる素材というとサラダに使う野菜ばかりを思い浮かべるかもしれませんが、生で食べられない素材でも塩や酢に漬ければ食べられるものなども忘れてはいけません。他にも納豆や乾燥ワカメ、海苔、豆腐や練り物、ごまなどいろいろあります。生で食べようと思うとワンパターンな食生活になりそうな感じですが、先に挙げたように生で食べられる素材自体は意外に多いので、味付けなどをいろいろ工夫して飽きない食生活を構築してみましょう。

■サラダを作ろう

最も簡単な料理といえば、ただ材料を切って盛り付けるだけの「サラダ」です。実際、ぼくが最初に作った料理もサラダでした。冬期以外の朝食は毎日サラダだった事もありました。これを聞いた人は「よく飽きないなぁ」って思うらしいのですが、実は工夫次第でいくらでも味が変えられるのもサラダの特徴だったりします。実際に工夫するポイントは、

  1. ドレッシングを変える
  2. 材料を変える

ってとこですかね。まあ初心者の人にはそんな事関係ないのでこの話題は後回しにして、とりあえず作り方だけ書いてみます。

道具:

まな板、包丁、サラダを盛るお皿、フォークもしくはお箸。

材料:

キャベツ、レタス、トマト(プチトマト)、サラダ菜、きゅうり、セロリ、にんじん、ピーマン(緑色以外の方が甘くて食べやすいです、高いけど)、大根、かいわれ大根、かぶ、玉ねぎ(水にさらした物)、山芋、粒トウモロコシ(缶詰)、もやし、干し果物(レーズン、プルーン等)、ナッツ類、豆腐、かまぼこ、ちくわ、ツナ缶、刺し身、納豆、乾燥ワカメ、焼き海苔、かつお節などを適当に組み合わせて使うのがよいのですが、ここでは典型的な例として以下の物を使ってみます。

・にんじん(適当)、・レタス(葉っぱ1〜2枚)、・ピーマン(1〜2個)、・プチトマト(4〜8個)、・トウモロコシの缶詰(粒状の物、一握りくらい)、・市販のドレッシング。

手順:

  1. レタスの葉っぱをさっと洗ってから適当にちぎります。
  2. にんじんを千切りにします。別に極細にこだわらなくても食べられる範囲でやれば問題無いと思います。
  3. ピーマンは縦半分に切って中の種を出します。そしたらまな板に寝かせて千切りにします。
  4. 1〜3で作った物をまな板の上で混ぜ合わせ、皿に盛ります。
  5. トウモロコシの缶詰を開けて、中のトウモロコシを皿の上に適当に盛ります。(残った缶詰は中の汁を捨てて、別の容器に移して冷蔵庫にほうり込んでおきましょう。1週間くらいはもちます)
  6. プチトマトを適当にならべて、ドレッシングをかけて出来上がりです。

これらの作業がだいたい15分くらいで終わるので、とても速くて簡単でしょ?。自炊を始めたばっかりの人にとっても、ほとんど苦痛にならない程度の作業だと思います。特に初心者には欲張って他の料理には手を出さずに、しばらくサラダを作る練習をして欲しいです。簡単で、かつ基本的な動作の練習になるので、朝食なんかで毎日作るのがおすすめです。朝起きるのがつらい人は、夜のうちに作っておいてラップして冷蔵庫に入れておくのがいいでしょう。

■漬け物を作ろう

漬け物っていっても本格的に漬ける方の漬け物ではありません。もっと簡単な、強いて言えば浅漬けに近い漬け物です。ここで紹介する漬け物の特徴は、作り方が簡単で、また一度作ってしまうと3日くらいは持つ事です。そういうわけで塩漬けをメインに作り方を説明していきます。

道具:

まな板、包丁、ボール、密封容器

材料:

キャベツ、白菜、にんじん、大根、かぶ、昆布、きゅうり、セロリ、(水につけて戻した)干し椎茸、なすなどを適量。あと調味用の塩。

手順:

  1. 材料を切ります。キャベツ、白菜は適当な大きさにざく切りしてください。にんじんなどの根菜類となすは薄くスライスして、セロリ、きゅうり、干し椎茸は薄く小口に切りましょう。あと、なすはちょっと特別で、小口に切ったあと水に10分位さらしてあくを抜いたほうが美味しいと思います。
  2. こうして切った材料をボールに入れ、まんべんなく塩を振ります。塩の分量はキャベツ半分に対してティースプーン1〜2杯分位でいいです。そうしたら、握ったりボールの底に押し付けたりしながらよく揉んで、しばらく(30分〜1時間程度)ほっときます。
  3. ボールの底にたまった水を捨てて、材料を密封容器に移し替えます。

以上が塩漬けの作り方です。ただ塩漬けは味が単純で飽きるのが早いと思われるので、その他の味付けの例を下に示しておきます。ただしこれらの味付けをすると水気が多くなりやや日持ちしないらしいので、だいたい3日を目安に食べてしまいましょうね、食中毒は恐いですから。

味付け:

  • 醤油+日本酒
    手順の2.で、塩の代わりに醤油と日本酒を1:1の割合で材料が見えなくなるくらいボールに入れ、もう少し長く(3〜5時間)くらい漬けておきます。
  • 醤油+カレー粉
    手順の2.の塩の代わりに、醤油とカレー粉を3:1位の比率で材料の半分くらい密封容器に入れます。材料に色が着いたら漬け汁を捨てます。
  • こぶだしの素+みりん+日本酒
    塩を手順の通りに入れ、みりん、日本酒を1:1の割合で(カレー食べる時に使う様な)普通のスプーンに1杯づつくらい入れます。こぶだしの素は適当に入れてください。これは半日くらい漬けとくと良いそうです。ちなみに昆布だしの素ではなく昆布そのものを使う場合は、一緒に一切れつけておくだけでOKです。
  • 酢(米酢、果実酢、バルサミコ酢等)
    手順どおりに作って、そこに酢をプラスします。初心者という事で、味的な面と長持ちさせる必要がないという考えをとると、酢の量はティースプーン1杯〜5杯くらいにとどめておくのが無難だと思います。

あと、オプションとして味の素(適当)、唐辛子(1本〜半分)、生姜(お好み)、レモンスライス(1枚くらい)、トウバンジャン(適当)なんかを適当に入れておくと味に変化が付きます。
漬け物はとっつきにくいと思うかもしれませんが、こんな感じの簡単な物なら意外に簡単なものなので是非挑戦してみてください。あと、漬け物に関しては私もまだ研究段階なので、もし他に良い味付けがあったら教えてくださいね。

■いろいろ混ぜてみよう

生で食べられる素材をいろいろ混ぜるだけで、ちょっとした料理を一品作れます。特に下ごしらえも要らないので、もう一品おかずが欲しい時など時や、時間がない時に手っ取り早く作れるのが魅力です。僕はベースには納豆、山芋を使うので主に和食用の付け合わせになるのですが、代わりにマヨネーズやヨーグルトを使う事で洋食の付け合わせにする事も不可能ではないです。

道具:

まな板、包丁、菜箸(普通の箸やフォークなどでも代用可能)、素材をいれるための器

材料:

ベースとして納豆、山芋、豆腐(木綿、絹ともにOK)、生卵、マヨネーズ、ヨーグルト、カッテージチーズ等。その他の素材はサラダに準じます。ここでは和食用という事で、ベースに納豆(パック1個)、その他の素材に長ねぎ(半分)、かいわれ大根(20本くらい)、かつお節(1つまみ)、焼き海苔(適量)を使います。

手順:

  1. 長ねぎはみじん切りにして、かいわれ大根は食べやすいように半分に切っておきます。
  2. 器にみじん切りにした長ねぎを半分くらい入れ、その上に納豆を入れて、さらにその上に残りの長ねぎを入れます。
  3. 納豆に付属している調味料+水、醤油をお好みで入れます。付属していない場合は、醤油をティースプーン2杯分、水を同量、好みに応じてからしを適量入れます。お好みというのは出来上がりの粘度に応じてという事なので、後から入れてもOKです。
  4. 器の中の素材を箸で混ぜます。
  5. かつお節、焼き海苔、かいわれ大根を盛り付けて出来上がりです。食べる時に混ぜて食べましょう。

茹でた素材を使うとあえ物と一緒になってしまうのですが、加熱する手間がかからない分だけ初心者向けの料理と言えるでしょう。上の例の場合はご飯にあうおかずに仕上がっています。洋食的な素材を使えば当然洋食の付け合わせになるので、とにかくもう一品必要になった場合はにとても便利です。
また味付けに関してなんですが、基本的にはドレッシングに準じて考えてもらってもいいですが、無理に油は入れる必要はないです。また特に塩味をつける必要もないので、酢だけで味付けするのも悪くないです。

■自作ドレッシング

上で作ってみたサラダなんですが、毎日これじゃ飽きますよね。なんたっていつもおんなじ市販のドレッシングを使う事になりますから。ドレッシングは市販の物をいろいろ買って使い分けてもいいのですが、どうせなら自分で作りましょう。そっちの方がバリエーションが多いのでまず飽きません。それが面倒だっていう方は、ここを読み飛ばして次へいきましょう。
まず、ドレッシングを作るのに最低限必要なのは植物油(液体の物)と酢、それをいれるカップ(初めは計量カップで作るとやり易いです)です。これに塩や醤油なんかを加えて作るんですが、僕は実際に以下の種類ものを作って使っています。

  1. 洋風ドレッシング
    サラダ油:ワインビネガー(ない場合はいわゆるミツカンの酢でも可)=2:1。これに塩、胡椒、粒マスタード、あればハーブやスパイスを加えます。工夫する場合はビネガーを赤、白ワイン、シェリー、バルサミコに変更したり、オイルをピーナッツ、菜種、オリーブにしてみると良いかもしれません。
  2. 和風ドレッシング
    サラダ油:酢:醤油=1:1:1。これにからし、ワサビ、胡麻、あれば山椒やしその葉なんかを少々入れます。工夫する場合は、油にごま油や菜種油など、酢に梅酢や米酢、果実酢を使ってみたりすると良いです。
  3. 中華風ドレッシング
    ごま油:黒酢(日本の酢でもよい):醤油=1:1:1。これにみじん切りの長ねぎやすり胡麻、トウバンジャン、あれば八角や丁字(クローブ)、ナッツ類なんかを少々入れます。
  4. イタリア風ドレッシング
    オリーブオイル:ワインビネガー(バルサミコ酢も可)=1:1。これに塩、胡椒を加えます。プチトマト(崩したもの)やバジル、オレガノがあるとより本格的です。

こんな感じの比率でカップに40ccくらい作り、フォークもしくはお箸でぐちゃぐちゃに混ぜます。普通のカップを使う場合は、お玉やスプーンなどを使って比率1に対して1杯の半分というふうにして計ると結構正確に作れます。
特におすすめなのが1と2ですね。ミツカンの酢かなんかを買ってきて両方に使えば何とかなるでしょう。あとおまけ技として、洋風ドレッシングにマヨネーズやヨーグルト、生クリームを適当に混ぜればクリーミーなドレッシングになります。
だいたい作れるようになれたら、油や酢をいろいろ変えてみたりいろんなスパイス、ハーブを入れてみると飽きません。ハーブ、スパイスについては調味料辞典を見てみてくださいね。