■お米の炊き方

自炊で空腹を癒していくためには、お米は必需品です。パンでも良いんじゃない?と思う人はいるかも知れませんが、お米はパンに比べて腹持ちが良く、ちょっと手間をかければ安価に美味しく食べる事が出来ます(一般的に、パンは美味しい物を食べようとすれば高い既製品を買わなくてはならないと思います。パンを自宅で焼ける人は別ですけどね)。つまり、なるべく要らない出費を減らし自分で作れる物は全部作るという自炊のコンセプトからすれば、やはり白いご飯が一番経済的かつ効率的なわけです。そうすると、どういう風にすれば安く美味しい白飯を簡単に作れるか?という話になるわけです。

1.必要な道具

・炊飯器
一人暮らしの場合、お米を鍋で炊いたりするにはコンロの数が少ないし他の料理を作りながら炊く事も面倒なので、炊飯器の使用をお勧めします。そのサイズは、市販の炊飯器の場合一度に炊ける量が小さい物で3〜4合、大きい物で10合程度と幅広くあります。どれを選ぶかについては、「1週間でどのくらいお米を食べるか」と「一度のどれくらいのお米を食べるか」との兼ね合いになると思います。我が家の場合お米は主に昼食時にしか食べないので、1週間に7食分炊ければ充分なわけです。ちなみに僕は結構小食なので、一回で0.6〜0.7合程度のお米を食べます。そうすると、一週間に一度だけ炊くとすれば4合炊きの炊飯器で充分という事になります。
そうは言っても、自炊を始めたばっかりの方は自分の食べる量が分からない場合がほとんどだと思います。したがって、いちいち炊くのが面倒なら一度に多く炊ける物を、そうでないなら小さいサイズの物を購入すればだいたい何とかなります。
・米を磨ぐ道具
ざるとボール米の研ぐ時に使う道具は人それぞれで、メジャーな物では炊飯器の内鍋、その他にはザルとボール、専用の容器(いわゆる便利グッズと称するもの)などがあります。この中でどれを選ぶかについてですが、まず炊飯器の内鍋はあまりお勧めできません。その理由ですが、まず第一に最近の内鍋は均一に熱を伝えるために多重構造になっており、大変重い事が挙げられます。そして第二に米を磨ぐ過程で内鍋の内壁を傷める可能性がある事です。内鍋を使うと洗い物が減るのはいいのですが、その代わりにこれらのデメリットが存在するので、僕としては総合的にマイナスなのではないか考えています。
そんなわけで、僕はザルとボールを使う事をお勧めします。ざるは金属製の(米が漏れない程度に)目が細かい物、ボールはざるより直径が2cm程度大きいものを使いましょう。ボールの大きさですが、我が家では直径25cm程度の物で4合のお米を研いでいて特に問題が無いので、基準にしてみて下さい。
あと米を磨ぐための専用の容器についですが、他に用途が無い事を考えるとそれほど便利な物だとも言えません。したがって、もし台所のスペースに余裕のある方は購入してみても損はないと思いますがお勧めはしません。
・しゃもじ
炊けた米を返したりするのに使います。たいていの場合炊飯器に付属してくるのであえて買う必要はありません。でももし買う機会があった場合、プラスチック(樹脂)製の物を買いましょう。木製のしゃもじは炒め物などに使えるので買っても損はないのですが、お米を扱う場合に限ればプラスチック(樹脂)製の物の方がお米がくっつきにくく、洗うのも楽なのでお勧めです。
・計量カップ
これも最近の炊飯器には付属している事が多いので、特に購入する必要はありません。もし付属してこなかった場合は、ごく普通の料理用計量カップを購入しましょう。料理用の計量カップには200ccの物と180ccの物がありますが、炊飯器の米量の表示は大抵「合」単位なので180ccの方が使いやすいです。180ccのお米が1合と考えて使いましょう。

2.作り方

ここでは、我が家で使っている4合炊きの炊飯器を使った例を示します。炊飯器によって炊き方が多少異なる事もあるので、説明書をよく読んでそちらの内容を優先して行って下さい。

材料:
米4合(=180ccのカップで4杯)、水は炊飯器の表示に従う。
手順:
  1. まずザルを上にしてボールを重ね、中にお米4合を入れます。
  2. ザル+ボールに水を8割程度注ぎ入れたら米を手でよく混ぜ、表面に付いた汚れを取ります。
    ざるとボールざるとボール
  3. 水が濁ってきたらザルを引き上げ水を切り、ボールの中に入っている水を捨てます。
  4. 2→3の操作を3回くらい繰り返します。
  5. 2と同じ様にザル+ボールに水を入れたら今度は混ぜながら手のひらを押しつける様にして米を研ぎ、3と同じ様に水を捨てます。
  6. 5の操作をやはり3回くらい繰り返すと、ボールに残った水が透き通ってきます。
  7. 最後にザルに水を流して米を洗い、よく水気を切ってから炊飯器の内鍋に入れます。
  8. 炊飯器の表示にしたがって水を入れ、蓋をしたらしばらく(20分以上)放っておきます。
  9. 所定の時間がたったら炊飯器のスイッチを入れて40分程度待ちます。
  10. 炊飯器が「お米が炊けた」というメッセージを発してから、また20分程度待ってお米を蒸らします。
  11. こうして完成です。しゃもじで良く混ぜてからいただきましょう。

3.ご飯作りのコツ

上でいい事ばかりを書きましたが、白飯にも問題があります。それは作るのが面倒という事です。なんせ食べる度に米を磨がなくてはならず、できるまでに1時間くらい待ってなくてはなりません。これでは、自炊はしたいけど食事を作る時間をそれほど取れない人にとって、白飯はとっても困った料理になってしまうわけです。
そういう環境への対策は、とにかく白飯を冷凍するという事です。一度に3〜4合炊いて冷凍してしまえば、食事をする時は電子レンジで2〜4分ほど再加熱して食べる事が出来ます。一人暮らし用の炊飯器で3〜4合炊けるので、一度に少なくとも4〜7食分の白飯を作る事が出来るわけです。これなら1日3食食べても、2日おきに炊けば済んでしまうわけです。
それでは、ここで具体的な冷凍のコツに移ります。

  • まず、炊き立てを冷凍する事です。炊いてから5時間も保温にしておいたようなお米は、冷凍してもやっぱりまずいです。したがって炊き立て(といっても蒸らしはしっかりしてある物)を一度に冷凍してしまいましょう。
  • 冷凍する時は1食分をラップに包んで保存するわけですが、この時お米は板状にしてラップに包みましょう。おにぎり状態で冷凍すると、解凍時にレンジの火の通り具合にムラができてうまく解凍できません。面倒でも板状にしましょう。
  • ラップに包む前にお米はよくほぐし、空気に触れさせておきましょう。同時にラップに包んだ時に手を水で濡らしておき、パッパッと水気を加えておきましょう。こうする事で、米の芯まで火が通り、かつ解凍した時にベチャベチャになり難いです。
  • 解凍する時は、レンジでの加熱を2〜3回に分けて、その度に冷凍白飯の上下をひっくり返したりしましょう。こうしないと加熱ムラが生じて、ラップが破れたり冷たい部分が残ったりします。
  • レンジで解凍し終わってもすぐにはラップをはずさない様にしましょう。こうして米を蒸らす事で炊き立てに近いフィーリングが得られます。また、ごく希に冷凍焼けという現症がおきて米の一部が極度の乾燥状態になってしまう事があり、これが起こってしまった米粒はとても硬くとても食べられる状態ではありません。しかし、解凍し終わった白飯をしばらく放っておくことでそういう米粒にも水分が補給され、何とか食べられる硬さにする事ができます。

そんなわけで、以上を参考に白米炊きにチャレンジしてみましょう。

■鍋で米を炊く

上で書いたように炊飯器で米を炊くのが一番簡単と言えば簡単なんですが、炊飯器が壊れてしまった場合や一時的に米を炊ければ良い場合は鍋で炊く事も必要だったりします。そんな時のために、鍋でお米を炊く事にも挑戦してみましょう。

1.必要な道具

・鍋
厚手のアルミ鍋

米を上手く炊くためにはある程度の保温と加圧があった方が良いです。なので鍋で米を炊くには保温効果の高いある程度の厚さを持った鍋が適しています。とは言っても米を炊くのに最適な羽根釜のような設備を持っている人はあんまりいないと思うので、実際は厚手のアルミ鍋やほうろう鍋、土鍋などで十分だと思います。雪平鍋みたいな薄手の鍋でも工夫次第で上手く作る事はできますが、最初は家にある一番厚手の鍋を選ぶのが無難だと思います。
また加圧をかけたい点から、縁に注ぎ口がついているものは向いていません。この辺は蓋との兼ね合いになるんですが、蓋をしたとき隙間が開くような構造の鍋は避けた方が良いと思います。

・鍋蓋
鍋でお米を炊く場合欠かせないのが蓋です。と言うのも鍋に蓋をする事で保温と加圧を十分にする必要があるからです。そのため隙間ができたりすぐ動いたりする蓋(木精の落し蓋や乗せ蓋など)はあまり適していません。鍋の縁が密着し、かつ簡単にずれたりしないようなある程度重みのあるもの(もしくは引っかかり部ついたもの)を選びましょう。実際には上で書いた厚手のアルミ鍋やほうろう鍋、土鍋等などに付属する蓋が上の条件を満たしている事が多いと思うので、それを利用するのが一番手っ取り早いと思います。
・バスタオルや毛布
これは何に使うかというと、保温のために鍋をくるむのに使います。他に良い保温手段があれば無理に用意する必要はありませんが、ここではバスタオルを使った方法を書こうと思っているので挙げてみました。保温のために使うことからなるべく厚手で、鍋をぐるぐる巻きにできるくらいの大きさのものを用意しておきましょう。
ちなみに他に保温に適したものというと、発泡スチロールの容器、新聞紙、ダンボール箱、布団等があります。この辺は工夫次第でどうにでもなる所があるので、自宅にあるもので使えそうなものを選びましょう。
・その他の道具
しゃもじやザルやボールなどは上のお米の炊き方に準じます。

2.作り方

例として、直径22cm程度のアルミ鍋とバスタオルを使った例を説明して行こうと思います。

材料:
米4合(=180ccのカップで4杯)
方法:
  1. 米を研いで水を切るところまでは普通に米を炊く場合と同じなので省略。
  2. アルミ鍋に研いだ米を入れ、米の上1cmくらいの高さまで水を入れ30分以上置いておく。
  3. 米の表面に凸凹がない事を確認したら、鍋に蓋をしてコンロにおき強火で加熱する。
  4. しばらくして沸騰してきたと思ったら中火にする(湯気が出てくるのが目安)。
  5. 10分程度中火にしておくと鍋の底の方からプツプツと音がしてくるので、数十秒間その音を聞いたら火を止める。
  6. すぐさま鍋をバスタオルに包み、30分程度放置する。
  7. 放置時間が過ぎたらはバスタオルを取って蓋をあけると、うまく炊き上がっているはず。
    鍋をタオルで包む鍋で炊けた米

3.鍋で炊く場合のコツ

結局の所、鍋で米を炊く場合の最大のポイントは米の中まで火を通せるかどうかにかかっていると思います。そのためにはできるだけ長時間保温ができる事、そして煮立てた時にでる蒸気を逃さない事が要求されると言えます。なので毛布やタオルを使った保温と、適した蓋と鍋を使って隙間を作らない事は徹底してください。それでも失敗てしまうという場合は火加減に問題があるかもしれません。ひとまず失敗の内容別に解決策を下に整理してみたので、参考にしてみてください。

  • 米の中まで火が通らない場合
    「中火」が強過ぎるか最後の放置の時間が足りない、もしくは保温が弱い。
  • べちゃべちゃになる場合
    プツプツ音をさせている時間が短い
  • 焦げまくる場合
    プツプツ音をさせている時間が長い

という感じで、鍋で米を炊くというのはいかがでしたでしょうか。実はこのサイトに訪れてくださった方からメールで質問をいただいて初めて挑戦してみたんですが、実際にやってみて意外に簡単で面白いことがわかりました。特に炊飯器ではワンパターンになりがちな炊き具合が、鍋で炊くと毎回異なるのが面白いです。慣れてくれば、細かい火加減で米の炊き具合を自分でコントロールできるようになると思うので、米を炊くのを極めたい方には向いている方法と言えます。
そうでなくとも炊飯器を買うほどではないけど米を食べたい方や、炊飯器が壊れてしまった場合などにも役立つと思います。炊飯器を買うのが嫌で米を炊くのをためらっていた方などは、ぜひ試してみてください。