■網焼きする

網焼きは、焼き網が必要になるだけにマイナーな調理方法ですが、網さえ買ってしまえば特に難しい作業もないし、油も使わず加熱できる分とてもヘルシーな調理方法です。また、工夫次第で鍋を使わず全部網焼きで加熱を済ませる事もできるので、洗い物も少なくすます事もできます。

1.道具

使っているコンロにグリル(引き出し状の焼き網)が付いていればそれを使えば良いのですが、無い場合は焼き網をガスコンロの上にのせて焼きます。焼き網を使う場合、余裕があれば五徳(=ごとく)と天ぷらガードがあると更に便利です。これらの使い方については後述します。
焼き網についてですが、最近売っている物は網だけでなく、蓋と取っ手ついた遠赤外線の出る黒いプレートでできている物が殆どです。僕もそのタイプの物を使っていますが、直接ガスで焼くより中まで火が通るし、焼いた時に出る汁などでコンロを汚さないので非常に重宝しています。これから焼き網を買おうと思っていう方はこのタイプのものを買う事をお勧めします(特に蓋があると便利です)。入手方法ですが、近所のスーパーで大抵1000円くらいで売っています。

2.下ごしらえ

まず、材料を切りましょう。下ごしらえでは、早く火が通るように薄くする事が重要です。野菜はそれほど神経質にならなくてもいいのですが、豚肉や鳥肉、魚は火が通らないと食中毒を起こす事があるので、きちんと火が通る厚さに切りましょう。
魚は種類によって切り方が異なりますが、サンマやアユなら丸のまま、アジやサバは2、3枚におろして、サケやブリ、マグロなどは切り身で焼くのが一般的です。基本的には売っている厚さのままで焼いても問題ないと思いますが、もし身が厚いと感じるようなら盛り付ける時裏になる面に包丁で切り込みを入れましょう。
また肉の場合は、様々な厚さの物が売っているので、必要に応じて切る必要があります。鳥肉の場合、胸やももを丸ごと焼く時は魚の場合と同じように切り込みを入れましょう。そうで無い時(例えば串焼きにする場合)は一口で食べられるサイズに切る事を心がけましょう。豚や牛を焼く時は、かたまり肉でも1〜2cmくらいの厚さになるように切りましょう。

3.下味付け

網焼きでは、焼いている最中や食べる時に味付けする場合(ドレッシングや焼き肉のたれなどを使ったりする場合)を除いて、材料にあらかじめ味を付ける必要があります。コツというほどのことではありませんが、特に肉や魚などに下味をつける場合、買ってきた時付いてくる発泡トレーに下味付け用の調味料を入れると簡単に済みます。それでは一般的な味付けについて述べてみます。

・塩
最も簡単な方法で、素材の両面に塩を振っておくだけです。特に肉、魚はこれだけでも十分美味しいので面倒臭い時はこれがベストです。
・和風
醤油をメインに使います。特に魚などを焼く時は日本酒と一緒に一緒にネギ、ショウガ、にんにくなどを千切りにして(もしくはおろして)漬け込むと臭みが消えます。他にはワサビ、梅干しなどを漬け込んでもいいんではないかと思います。市販の和風ドレッシングを持っている場合は、それに漬け込むと簡単に下味付けが出来ます。
・中華風
基本的には醤油ですが、和風との違いを出すには紹興酒を使います。他に長ネギ、ショウガ、にんにく、トウガラシなどを多めに入れたり、トウバンジャンやオイスターソースなどの中華風な調味料を使ってみたりするとより中華風になります。油を使うのであれば胡麻油などを混ぜて漬けてもいいと思います。また簡単にすませるために中華風のドレッシングに漬けるという手もあります。
・洋風
洋風の網焼きというと具体的なイメージが思い浮かばないかもしれませんが、味付けに関してはいわゆるオーブン料理と同じと考えてもいいと思います。基本は塩味で、そこにスパイス、ハーブを使います。使うハーブは、胡椒、ローレル、タイム、クローブ、ナツメグ、フェンネル、キャラウェイなどです。また、フランス料理などは特にそうですが、洋風料理は焼いてからソースなどで味付けする方が多いので、そうする時は下味は控えめにしましょう。そうで無い場合は植物油(オリーブオイル等)とワインビネガーなどにハーブ類を加えたマリネ液に漬けておくのが便利です。これは野菜(玉ねぎ、にんじん、オリーブなど)の下味付けにも使えます。面倒なら洋風ドレッシング(いわゆるフレンチドレッシングタイプ)に漬けるのも手です。

4.焼き方

まず焼き網を強火でガンガン熱します。そうする事で素材が網にくっつくのを防げるので必ずやりましょう。そうして焼き網が熱くなったと思ったら材料をのせて焼き始めます。この時五徳があれば、五徳の上に焼き網をのせ代えて、遠火の強火にします。こうして片面がいい色に焼けたら裏返して蓋をします。五徳を使っている場合はそのままの火力で、そうでない場合は弱火にして中に火が通るまでじっくり焼きます。天ぷらガード(アルミホイルのような素材でできているコンロを囲うやつ)がある場合は焼き網の周囲を囲うように置くと火力を節約できます。
いい具合に焼けたら、蓋をしたままコンロの火を止め(もしくは弱火にして)他の料理ができるまで放っておきましょう。遠赤外線の出るプレートは意外に保温効果が大きいので、しばらくはアツアツの状態に保っておく事ができます。

5.味付け

下味をしっかりつけていれば焼きおわった後すぐに食べられますが、そうでない時は味付けが必要です。味付けに使うソース等を作る場合は、焼き上がりに間に合うようにあらかじめ作っておきましょう。それでは、様々な味付けについて列記します。

・焼き肉のたれ
薄切りの肉(特に牛肉)にあいます。野菜も一緒につけて食べる事ができるので、味付けに手間がかからないのがメリットです。火力の強い(3000kcal以上)卓上コンロがあれば、焼きながら食べる事もでき、大人数でパーティーをする場合などに向いています。また、焼き肉のたれは自作するのが非常に面倒臭いので、僕個人としては市販の物で済ますのが得策だと思っています。
・大根おろし&醤油
ブリ、サンマなど油っぽい魚や、薄切りの牛肉などを焼いた時に使いましょう。油っぽい味をすっきりさせたい人向けです。大根はあらかじめ下ろし、ギュッと絞って水気を切っておきましょう。必要に応じて生姜やしそなどの薬味を刻んで混ぜると美味しいです。
・ポン酢
上と同じで油っぽい物をすっきりとした味で食べたい場合に使います。市販のものを使わない時は、レモン汁と醤油とだし汁を1:1:1くらいで混ぜて自作しましょう。野菜も同じ味付けですます事ができるのもメリットの一つです。もちろん薬味を刻んで混ぜるのもありです。
・ドレッシング
焼き肉サラダを作りたい時は、野菜(焼いた物もしくは生)の上に焼いた肉をのせてドレッシングをかけましょう。ドレッシングを自作する場合は【初心者編】のサラダの所を参照してください。

と、こんな感じです。何か新しい味付けを発見しだい追加していきたいと思います。

■簡単ホイル焼き

オーブントースター(か焼き網もしくはグリル)とアルミホイルさえあればいつでも作れる上、皿も洗わなくていいという便利な調理方法ですので、実は初心者に向いている調理方法です。特に一人分を作るのに向いており、一人暮らしの人にはもってこいの調理方法といえます。また、他の料理を作っている時にも加熱したまま放っておけるので、実質火力が一つ増える事になり、料理のスピードアップにも繋がるので自炊の上級者にも欠かせない調理法と言えます。

1.道具

・加熱器具
エネルギー源で分けると大まかに2種類あります。1つはガスを使う物で、コンロについているグリルや、コンロの上に乗せて使う焼き網などです。もう一つは電気を使う物でトースターや電子レンジのオーブン機能です。
まずガスをエネルギー源とするものから説明いたしますと、まずこのタイプの特徴は自分で火力を調節しなくてはなりません。したがって焼き始めてからもちょくちょく焼き具合を確認しなくてはならないのが弱点です。しかし、その裏返しとして細かい火力調節が自分でできるのが良い所です。つまり、中まで火を通したい時は、はじめは強火で加熱しその後は弱火でじっくり焼く、というような事ができます。したがって上級者向けとも言えます。具体例を挙げると、我が家で主に使っているの物として焼き網があります。これはホイル焼きに使う加熱器具の中でも最も火力が強い部類に入るので、素早く加熱する事ができます。ただ難点としては、コンロを1つ占領してしまうのでコンロが一つしかないようなキッチンで料理をする場合は、あまりメリットを享受できません。これに対してコンロについているグリルは、コンロを占領しない上に火力が強くまたその調節も簡単なため、ホイル焼きには最適の火力源だと思われます。(私は使った事がないのではっきりは言えません・・・。)
次に電気をエネルギー源としたタイプのものです。これはガスをエネルギー源とした加熱器具に比べて全体的に火力が弱いのが弱点です。その代わり加熱時間などを設定して一度スイッチを入れてしまえば、後は火力の微妙な調節が要らない(できない)ので、初心者や確認するのが面倒な方にはオススメです。また、コンロを占領しないので他の料理と平行して加熱をする事ができます。電子レンジにオーブンもしくはオーブントースター機能がついた物も同様の事が言えます。ポイントは、これらは消費電力が非常に大きいので、特に一人暮らしの人はブレーカーが落ちないように気をつけれなければなりません。しかしそこにさえ注意すれば、一人暮らしの強い味方になる事請け合いです。

また、一応書いておきますが、電子レンジでホイル焼きを作るのは非常に危険なので絶対挑戦しないでください。やった事のある人なら分かると思いますが、アルミホイルを電子レンジで加熱すると火花が出るのでとてもおっかないです。使うにしてもあくまで電子レンジのオーブン(トースター)機能なので、間違えないでくださいね。

・アルミホイル
これは特に種類もないので、市販の安い物を適当に選んで買ってもらって良いと思います。ただ、あまり幅のない物だと素材を包みきれないという事態が発生するので、余裕を持って30cm以上の幅がある物を買いましょう。

2.作り方

具体例として魚のホイル焼きを挙げて説明します。魚のホイル焼きは主菜を作る上で一番簡単な調理方法です。直接網焼きする場合やフライパンでの焼きつけと異なり、網やフライパンを洗う必要も無い上に火加減がそれほどシビアでもないので、魚料理の初心者や忙しい人には打ってつけの調理方法ともいえます。

材料:
・メインの魚
サケやタラ、マグロなど臭みのない魚を使います。1人分で1切れ(100g)程度用意しましょう。

・添え物
シメジやエノキなどのきのこ類やにんじん、ナスなどなんでもOKです。魚の臭みが気になる場合はネギやにんにく、生姜などの香味野菜を入れると良いです。ちゃんと火が通るように量は少な目にするのが大切です。
手順:
  1. まず、魚の下ごしらえをします。切り身の魚を使う事が多いと思うのでさばく手順は省略しますが、味の淡白な魚や臭みのある魚を使う場合は下味付けをした方が美味しいです。具体的には、買ってきた時に入っていたトレーなどに魚の切り身を入れ醤油、日本酒を適当に入れて10〜20分くらい放っておきましょう。どうしても臭みが気になる場合は、香味野菜を(できればすりおろして)下味付け用の調味料と一緒に入れておくとかなり臭みが減らせます。
  2. 魚の下味付けをしている間に他の野菜を切ります。ポイントはは短時間に火が通るように薄く小さく切る事です。特ににんじんやイモなど火の通りにくい野菜を入れる場合は、大きくても厚さ5mmくらいにしておかないと、なかなか火が通らなくて面倒です。
  3. 魚の下味付けが終わったら、アルミホイルをかなり広めにとり最初に魚、その上に野菜を乗せていきます。もし素材から出てくる脂や水分が多いのが気になる場合は、アルミホイルを一旦クシャクシャにしてから素材を包むと脂などがアルミホイルのしわの中に落ちるので、わりとさっぱりとした味わいにする事ができます。また一つのアルミホイルに入れる分量は、火のとおりを考えて多くても2人分(魚2切れ+野菜少々)くらいにしておきましょう。
  4. 素材をアルミホイルの上に全部乗せたら、調味料として醤油、日本酒をカレースプーン1杯づつくらいかけて味付けをします。もし下味付けして余った調味料がある場合、それをかけてもOKです。
  5. その後アルミホイルの四方を返して素材が完全に隠れるように包みます。
  6. 焼き網の上に素材を包んだホイルを置いて、(あれば)蓋をしてコンロの上に置き強火で加熱します。
  7. ホイルの中から「ジュー」という音が聞こえてきたら、中火くらいに火を落としてしばらく加熱しておきます。
  8. 素材の中に火が通ったらコンロの火を止めてます。アツアツの方が美味しいと思うので、早く火が通ってしまった場合などは食べる直前にもう一度加熱しましょう。
  9. 皿の上にホイルを乗せて食卓に出し、食べる時になったらホイルを開けて食します。

と、こんな感じで作る事ができます。焼き網で作るポイントは、いくら火力が強いからと言ってずっと強火で加熱すると焦げてしまう事があるので、一旦中身が沸騰したら沸騰し続けられる程度の火力に落として中まで火を通す所です。またオーブンやトースターを使った場合、逆に火力が弱すぎるので、一人分を作るのに20分くらい加熱しても火が通らない事がざらです。そんな場合は余裕を持って長めに加熱し、食卓に出す前に必ず火の通り具合を確認しましょう。

他に使える素材としては、肉で言えば豚もも肉や豚ばら肉、鳥なら胸肉やもも肉など臭みの少ないものが向いています。しかしこれらにも臭みがあるので、特に下味付けと加熱の際に香味野菜を使うなどしてしっかりと臭みを抜いた方が良いです。特にレバー等の内蔵関係は、臭みがきつ過ぎるのでやめた方が良いでしょう。また野菜では、白菜、ナス等の水分の多いものを使う場合味が薄まるので、調味料の分量には気を付けなくてはなりません。
また、ちょっとオマケになりますが、ホイルにティースプーン1杯くらいの水気を足してサツマイモを包んで焼くと、焼きイモを作ったりもできます。初心者の人は加熱時間の感覚をつかむために、焼きイモから始めてみると良いかもしれません。また初心者に限らずとも、肉や魚を無理に入れずに、野菜のみでホイル焼きしても結構美味しい物ができるので、いろいろ試してみる価値はあると思います。

味付の面では、和風以外の味付けもなかなか美味しいです。洋風に作る場合は、日本酒の代わりにワインを使い、味付けは塩を主体としてオリーブオイルや生クリーム、トマトソースなどをかけます。また、スパイスやハーブをたくさん使ったり、チーズをはさんだりするとそれらしく作る事ができます。中華風にする場合は、日本酒の代わりに紹興酒を使い、味噌ダレ(中華風の味噌に砂糖を入れ、その他にいろいろ混ぜたもの)を作ってかけるのがあうと思います。基本的な事は【こだわりの味付け】を参考にしてもらうと良いかもしれません。