川に流されたデビの話はこう伝えられています。 デビはいかだに乗って流されて、ベルナイ川の河口に着きました。いかだはゆらゆらと川面を流されていき、 誰にも出会うことはありませんでした。そうやって流されていくうちに、いかだはアワンベドの船のそばに近づき、 船員に発見されたのです。この知らせはアワンベドにすぐさま知らされ、アワンは急いで甲板に走って、 その不審ないかだを見にいきました。いかだの上に気を失って横たわって居る女が見え、 アワンはその女を船に連れてくるように言いつけました。運ばれてきた女性はデビでした。 いかだに乗っていた女が自分の妻だったなんて、アワンベドはどんなにびっくりした事か。 デビは手厚く介護され、まもなく気がつきました。デビもそこに愛しいアワンを見つけて大変嬉しく思い、 昔にもどったような気持ちがしました。二人は再会を喜び合いました。 それから二人はそれぞれの話を一晩じゅう語り明かしました。 デビが二人の間に出来た子供が森に捨てられたという話をした時、アワンベドの顔は曇りました。 「どうやったら私たちは探せるのだろう。森のどこにいるかわからないのに。」とアワンベドは嘆きました。 森に捨てられたデビの息子の話はこう伝えられています。男の子が森に捨てられて7年の歳月が経ちました。 男の子は森のサルに育てらていたのです。毎朝3羽の鳥が男の子を起こしました。そのうちの2羽は大きな鳥でし た。 話せるようになると男の子は両親のことをよく尋ねるようになりました。ある日大きな鳥は知っていることを すべて話してくれ、両親の事を知ったの男の子は、町に行きたいと言い出しました。 大きな鳥は子供の為に古い上着とズボンを探してきてくれました。そして、一羽の鶏をくれたのです。男の子は 喜んで森を出発しました。鶏を抱え森の中をずんずん歩いていった男の子はしばらくすると河口に出ました。
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