あとがき


バワンメラとバワンプテはマレーシアだけでなくインドネシアなどにもある有名なお話です。

マレーシアやインドネシアがまだ一つの国として形を持たない時期から語り伝えられてきたお話でしょう。

たくさんのバリエーションがあるそうです。インドネシアには、バワンメラが川に洗濯に行くとおじいさんがいて

親切にしてあげるとかぼちゃをくれた。そのかぼちゃの中には宝物が入っていて、それを妬んだバワンプテが

川に洗濯に行ってバワンメラのまねをして、やさしく勤勉なふりをしておじいさんからかぼちゃをもらうが

かぼちゃの中はがらくたばかりだった。というお話があるそうです。バワンメラのお話を集めてみるのも

面白いかもしれません。共通しているのは名前がみな、バワンプテ(にんにく)とバワンメラ(たまねぎ)

という名前ということです。二人の娘がいて一人は心やさしく一人は意地悪だったり怠け者だったりします。

マレーシアのお話に出てくる名前は具体的な何かをさすことも多く、それがまたその人の性格や

人物をあらわしていることが多いのですが、このお話のにんにくと玉ねぎに関してはなぜそんな名前なのか

分かりません。お母さんがどんどん生まれ変わっていく所は、輪廻転生のようなお話しで面白いと思いました。

このお話は二人の妻が出てきますが、ご存知のとおりイスラム教では4人の妻を持つことが許されています。

完全に平等に扱うようにと決められているとはいえ、女性の立場からすると心穏やかなものではなかったこと

が想像されます。この点バワンプテの母親のことも一概に責められないなあ・・という気がするのです。

バワンメラはそういう事も理解してたのでしょうか。最後には二人を許してあげるように王子にお願いしています。

                                                                             Miki

あとがき追記

このサイトを休止状態にしていたのだけれど、ちょっと、面白い事が見つかったので、
忘れないうちに書いておこうと思います。
「ダーリンは外国人2」というマンガを読んでいたら、(日本人のマンガ家と結婚した語学オタクの
外国人が主人公なのですが、)中国の古い話で、シンデレラによく似た話があるといって紹介されている話がこのバワンメラによく似ているじゃないですか。後半はシンデレラなのですが、前半はバワンメラなんですよ。この話はシンデレラの話しよりも800年くらい前なんだそうで、南方熊楠という人が発見、海外の学会で発表しているが、あまり相手にされなかったとか。

その部分を抜き出してみると、

ある少女が継母と娘にいじめられている。ある日少女は川に棲む大きな魚と会い世話をし始める。
しかしそのまま母がその魚を殺し、骨を埋めてしまう。少女はお告げにより魚の骨を見つける。
大きなお祭りの時魚の骨は消除のドレスやくつに変わる。お祭りに出かけた消除は王様に見初められるが
帰らなくてはならずその時にくつを忘れる。くつを頼りに探しだされた少女は魚の骨を持って王に嫁ぐ

後半はシンデレラだけれど、前半はバワンメラによく似ているでしょう。
この話はインドにもっと古い話があるという説もあるそうです。

マレーシアの歴史を調べてみると、イスラム文化の前は、インドの文化が支配的でしたから
当然、このお話しのルーツはインドにあると見るべきでしょうね。
発祥がインドで、世界中にこの話が広がっていって、いろんなバリエーションが出来たのですね。

2005.6.2.

 

 



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