バワンプテとバワンメラ |
むかし、サマンプタラという国に、メンダムエラヒという村がありました。 この村に、ひとりの金持ちの商人が住んでおりました。 この商人には美しい女房がふたりいましたが二人目の女房は性格が悪く、 大変なやきもち焼きでいつも一人目の女房の悪口ばかり言っておりました。 やがて二人の女房に女の子が生まれ、一人目の女房の娘はバワンメラ(たまねぎ) 二人目の女房の娘にはバワンプテ(にんにく)という名前が付けられました。 二人目の女房は子供が生まれてからも、最初の女房を目の敵にして、子供たちが大きくなると なんのかんのといっては一人目の女房に家事を押しつけるようになっていったのです。 気の弱いところのある一番目の女房−バワンメラのお母さんは毎日川で洗濯をさせられて いました。バワンプテは遊んでばかりいるというのに、バワンメラはお母さんと同じように 働かなければなりませんでした。そのことで不満を言うと、お母さんは文句を言いに 行ってはくれるのですが最後にはいつも、引き下がってしまいます。 バワンメラのお母さんは争いごとが嫌いな優しい性格だったからです。 そうしたある日、バワンメラのお母さんが具合が悪くなり倒れてしまいました。 バワンメラはお母さんの代わりに洗濯をしたり、掃除をしたり、料理をしたり、薪を切ったりと 一生懸命働きました。働きながらも早くお母さんが元気になりますようにと、神様へのお祈りも 毎日かかしませんでした。バワンメラの祈りが通じたのか、お母さんの病気はまもなくよくな り、バワンメラはとても喜びました。でも、恐ろしいことに2番目の女房はバワンメラの母親が そのまま死んでしまえばよかったのにと思っていたのです。 元気になったバワンメラの母親は、また前のように忙しく働き、バワンメラはまたお母さんを よく手伝いました。
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