そんなある日のこと、バワンメラのお母さんが川で洗濯をしていると、誰かが後ろからそっと

近づいてきました。次の瞬間とつぜんバワンメラのお母さんは背中を押され、

川の中へ落とされてされてしまったのです。川の流れがとても速く、あっという間に

お母さんはどんどん流されていってしまい川の中に沈んで見えなくなってしまいました。

バワンプテのお母さんはそれを見届けるとほくそえみ、商人が家に帰ると何食わぬ顔で家に帰

り、悲しむふりをしてバワンメラのお母さんがすべって川に落ちておぼれ死んだと伝えたので

す。商人はその話をうのみにしてしまいました。

 お母さんがなくなったあと、バワンメラはしだいに家の中の仕事に追いたてられるようになり

ました。毎日バワンメラは泣きながらくらし、心の中でお母さんを呼んでいました。

ところがある晩のこと、バワンメラはお母さんがカルイという魚になって、家の近くの池に

すんでいるというふしぎな夢を見ました。次の朝、急いでその池にいってみると池のなかに

夢で見た魚がいたではありませんか。バワンメラはとびあがって喜びました。

それからというもの毎日お母さんのためにご飯粒を持って池に通いました。そのうち、

バワンプテの母親はバワンメラの行動が何かおかしいと疑い始めました。

それでバワンプテにバワンメラは何をしているか探ってくるようにといいつけました。

バワンメラの後をつけていったバワンプテは、バワンメラがまるでお母さんと話すように

魚とおしゃべりしているのを見つけてびっくりしました。そしてこのことを母親に告げました。

不審に思ったバワンプテの母親は何日かたって、こっそり池に行き、バワンメラのふりをして

魚を呼んでみました。けれども魚は出てきませんでした。

そこで網を使って魚を捕まえてしまいました。

 その晩バワンプテの母親はその魚を料理し、何食わぬ顔をしてバワンメラに食べさせ、

残った魚の骨を裏庭にまいて捨ててしまいました。

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