Sang gembar

   末っ子の姫とサンゲンバール

 

      前編

 これはセランカープリという国に伝わるお話です。王様の名前はザイマンアリ、お后様の名前はラトナサリ

といいました。王様にはお后様がまだ他に3人いました。

セランカープリ国はのどかで平和な国でしたが、王様は跡継ぎが生まれないことをとても悲しんでいました。

 ある日、王様は総理大臣を呼び、子宝に恵まれる薬を探して欲しいと頼みました。

王様の願いを聞いて、大臣はすぐに祈とうしや医者に相談に行きました。

一方、王宮の庭園で飛び跳ねていた白リスにもその話は聞こえました。白リスは気の毒に思い王様のために力

になりたいと思いました。

  やがて、国中の祈とう師、医者が次々と宮殿にやってきました。若い祈とう師も年寄りの祈とう師も

それぞれ薬を持ってきましたがうまくいきませんでした。王様とお后様の嘆きはつのるばかりでした。

 ある日、王様は大臣を呼んで言いました。「しばらく国を留守にしようと思うのだが」

大臣はすぐに返事ができませんでした。王様の苦しい胸のうちが痛いほど分かったからです。

大臣は考えた末にこのように言いました。

「お許しくださるのでしたら、わたくしが今すぐにでも薬を探しに旅に出かけます」

王様は大臣の言葉を嬉しく思い、大臣に休暇を与えることにしました。

大臣が国を離れるという話が他の家来たちの耳に入りました。

家来たちは大臣をなんとか引き止めたいと思い、大臣からいくら代理を頼まれても誰も引き受けよう

とはしませんでしたが、大臣は出発することにしました。

 つづく

−1−