サンゲンバール王子の話を続けましょう。王子は休まずにいくつもの丘を越えて歩き続け

ましたが、とうとう疲れ果ててビンロウジの木の下で眠ってしまいました。

 王子が目をさますと、ウピピナン(ビンロウジのさや)が話しかけました。

「どうかわたしも、白いクドンドンの実を探しに行くのにお供させてください」

サンゲンバール王子はそれを聞いて大喜びしました。ウピピナンは言いました

「どうぞわたしの胸の上に乗ってください。すぐに目的地へご案内します」

ウピピナンは王子を乗せ空に舞い上がると、朝日が昇る方をめざして海を越え、嵐や障害物をすり抜けて飛んで行き

ました。やがて黄色いココナツの木の下のセジャパダンブアンガンの地に降りました。王子はのどがからから

に乾いていました。そこでヤシの木に登り、ココナツの実を落として果汁を飲み、そして果肉も食べました。

王子は再びウピピナンに乗って飛び、今度はセルダンニユール(ヤシの花のさや)からのあいさつをうけました。

セルダンニユールは、

「私は地面に落ちても鉄みたいに硬いですからきっと王子さまのお役に立ちますよ」

と言ってお供に加えてもらいました。サンゲンバールはウピピナンに乗りさらに旅を続けました。

  ウピピナンに乗った王子は 地平線の彼方を目指してしばらく飛び続け、ある河口を見つけて下に降

りました。王子は
ベンガルボダイジュの木の下でしばらく休みをとりました。リスの鳴き声が聞こえるので木を見上

げると、何十匹ものリスが枝の上を走りまわっていました。その中にランダンと呼ばれるボスがいました。

王子がそのベンガルボダイジュの木にもたれていると、ランダンがやってきて言いました。

「わたしも白いクドンドンの実をさがす旅にお供させてください」

それを聞いた王子は大変喜び、顔を輝かせて聞きました。

「きみには何が出来るのかい」するとランダンが言いました

「その果実を木からもぎ取ってさしあげましょう。あなた様にはたいへんなことでも、

わたしにはたやすいご用ですから」

その話をきいて王子は大喜びでランダンをお供に加えると

すぐに目的地へ飛んでくれ!」とウピピナンに言いました。

つづく

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