花のさやの姿に戻りました。戦いで疲れ果てていた王子もすっかり元気を取り戻しました。 ドラゴンの死体を見ていた王子の目に大木が映りました。木には小枝がたくさん生えていましたが、 その隙間に白いクドンドンの実が一つだけなっているのが見えました。 「あ、あれだ」と王子はつぶやきながらその木をよく見ました。全体がトゲでおおわれています。 王子はランダンを呼びました。「手伝ってくれるか」 ランダンはすぐにその木に登って行き、いとも簡単に実をもぎ取ってもどって来ました。 実を手に入れたサンゲンバール王子はすぐにウピピナンに乗って国へもどりました。 サンゲンバール王子は皆に騒がれないようにそっと宮殿に帰りました。けれどもサンデルマ国王が 気づいて、やがて宮殿中が喜びの声で満ち溢れました。 王妃が走り寄って王子に抱き付いてキスしました。王妃は嬉しくて涙をこぼしながら歌いました。 いとしい我が子 いつのまに行ってしまったの こんなに長い間 母を残して あなたは わたしの命よ サンゲンバール王子はその白いクドンドンの実を待ちかねていたセランカープリの大臣に渡しました。 大臣は大変喜んで何回もお礼を言うと、急いで国へともどっていったのでした。 後編へつづく
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