Si  Awang Kelubi 

      人食い巨人

 

コタ べリンギンという国のお話をしましょう。王様の名前はインデラ セガラといいました。

べリンギン王国はとても広い国で、強くて勇敢な兵士や士官、そして大勢の農民と商人が少し

住んでいました。王国は年ごとのある一日だけをのぞけば、とても平和でした。セガラ王はその日

が近づいてくると、大きな悲しみに心がふさがれました。

 その三年間が終わりに近づいたある年の晩、王様は皆を集めて会議を開きました。

「今晩の議題は、忌まわしいあの日のことだ。人食い巨人のゲルガシ・カリキタ は我々が約束を破れ

ば暴れる。
年が経つのはなんと速いことだ。」と王は沈んだ声でいいました。

高官たちもそれを聞いて悲しみました。

「お情け深い王様、」と大臣のペンダハラが口を開きました。

「申し上げます。ゲルガシと我々との約束は三年目ごとの最後の日に約束を果たしさえすれば、

それでよいのです。我々は若い男をひとりあきらめ、生贄として国境にすぐに連れて行くのがよいで

しょう」

「辛いことだ」と王様は言いました。

「また罪の無い若者が無理やりに忌まわしいゲルガシの犠牲になるのか。今まで何十人の若者が犠牲

になってきたことか」

                                                 

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つづく