アワンケラビはカンピと一緒に村に帰りました。 家に帰るとアワンはこの悲しい知らせを年老いた両親に伝えました。 明日は、アワンはゲルガシに食べられて、この世から消えてしまうのです。 永遠に別れなければならないことを思い、親子三人はむせび泣きました。 が、その時 突然ファキルが言いだしました。 「おい、アワン。ひとつだけゲルガシに対抗する手があるぞ。お爺さんが残してくれた形見の指輪 があるのだ。その指輪は代々男の子だけに受け継がれていく指輪で、もし息子が生まれなければ男の 子の孫に渡すように決められているのだ。今、お前に譲ろう。この指輪にはきっとご利益がある。 明日、ゲルガシに会うときにはめていくといい」 ファキルはある部屋に入り、やがて小さな箱を持ってくると、中からすりきれた黒い布を取り出し ました。その中には古びた由緒ある指輪が入っていました。指輪はアワンに渡されました。 「この指輪をはめなさい。そうすれば落ち着くだろう。きっと安らかに眠れるよ。」 とファキルが言いました。指輪をはめるとアワンはなぜか心が晴れ晴れとし、もう何も心配すること はないような気がしました。 それから、その晩は 夕飯を食べて父さんと母さんと楽しくおしゃべりをし、早く寝ました。
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