ゲルガシの気配がします。ゲルガシは食べ物の匂いを嗅いで、うれしそうに笑っていました。 その笑い声はだんだん大きくなってきたので、アワンはとても恐ろしくて、ふるえましたが、 覚悟を決めました。 その笑い声は遠く宮殿の中まで鳴り響いてきました。みなは人食い巨人が生贄を見つけたのだと思いまし た。王と巨人の約束は守られたのだから、ぺリンギン国は今回も これで安全だ。 とみな心の中でほっとしていました。 「は、は、は、食い物にありつけるぞ」とゲルガシが、オリの中にいる人間を見て笑いながら言いま した。巨人はオリを持ち上げようと近づいてきました。アワンは祈りながらすばやく形見の指輪をこすりま した。すると、突然ゲルガシはアワンの目の前でつんのめって前に倒れすんでのところでオリに届きませ んでした。 「ち。いまいましい人間め。お前みたいな人間ははじめてだ!」と巨人は吐き捨てるように 怒鳴り起き上がりながら文句をいいました。 アワンはまた指輪をこすり、大男はまた同じように転んで、気を失いました。アワンは大男の額 に指輪を向けてさらにこすりました。大男はもがきながら前に2三歩進みましたが、どすんと倒れ、ほ どなく息絶えたのです。アワンはこの国を長い間苦しめてきた巨人が倒れたのを見て狂喜しました。
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